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41 解散です 

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 二時間が過ぎて鈴木課長の締めの挨拶で、今日の飲み会が終了しました。さっそく小田係長がこちらにやってきました。バッグからお財布を出して用意します。先ほど青木さんからお借りしたお金があるので安心です。
 
 「集金にきました。女性は一人2,000円お願いします。ああ、青木君も2,000円ね」

 「えっ。私たちもいいの? 2,000円で」

 近藤さんと桧垣さんが小田係長に聞いています。

 「いいの。いいの」

 小田係長は、さくっとみんなからお金を集金して鈴木課長のところに行ってしまいました。さすがに青木さんは少し渋っていたようですが、最後は小田係長に言われた通りお金を払っていました。

 「よかったわね。青木君いいのよ。気にしなくて。小田係長と鈴木課長、青木君が検針してくれて喜んでいたし」

 近藤さんに言われ、青木さんもほっとしていました。そんな二人のやり取りを見ているうちにふと思い出しました。そうだ。先ほど青木さんからお借りした五千円札使いませんでしたね。青木さんに返してもいいのでしょうか。

 「青木さん」

 私が青木さんを呼んだ時です。近藤さんが私たちに話してきました。

 「さあ、行きましょうか。ねえ柳さんはどうやって帰るの?」

 「あっ、また家族が迎えに」

 「そう。じゃあ安心ね。桧垣さんはうちの車に乗っていったらいいわよ」

 「いいの?」

 「もちろん。主人が迎えに来るから」
 
 「ありがとう」

 そうして私たちは、ビアガーデン会場を後にしました。その時です。ちょうど会計のカウンターで会計を済ませた人たちの声が聞こえてきました。

 「ねえ、今日のお料理よかったでしょ。また行こうと思ったんだけど、あのお料理今日限定だったんだって」

 「そうなの?」

 「うん。久しぶりの晴れもあって、今日限定でやったイベントだったらしいのよ」

 「残ね~ん。おいしかったから、また行きたかったのに」

 「でもね。さっきお会計の時に、割引になるくじを引くイベントもあって、割引が当たったよ。だ・か・ら、このお金プールしておいてまた飲みに行こうよ!」

 「「「いいね!」」」

 よかったですね。今日限定だったんですね。

 

 「そうだったんだ。残念ね」

 近藤さん達にも聞こえていたんですね。近藤さんもお料理を気に入っていたので、とても残念がっています。

 一階に着くと、ホテルのロビーにみんないったん集まりました。

 「さっきイベントとして、くじ引きをしたらなんと当たってしまいました。今日の会費は一人2000円になります!」

 いつも冷静な鈴木課長が嬉しそうにみんなに言いました。鈴木課長のこんな顔見たことがなかったので新鮮です。こういう機会でもないとなかなか見られませんね。

 「だから女性陣には、さっき集めたお金はお返しします。男性陣もまた計算して後日お返しします。今日は酔っていて頭がうまく働かないのですみません」

 鈴木課長の話に皆が拍手しました。もちろん私も拍手しましたよ。傍らにいる近藤さんも割れんばかりの拍手をしています。そして解散になりました。

 「柳さんと青木君、今日はありがとう」

 鈴木課長が私と青木さんのところにやってきました。後ろに小田係長が続いています。

 「こちらこそ、ありがとうございました」

 「今日は、ありがとうございました」

 私と青木さんはさっそくお礼を言いました。

 「柳さんはどうやって帰るの」 

 鈴木課長に聞かれました。部下思いのいい方ですね。

 「ご家族がお迎えに来るようですよ」

 近藤さんが代わりに答えてくれました。

 「そうか。気を付けてね」

 「ありがとうございました」

 鈴木課長はそういって小田係長と帰っていきました。帰っていくほかの皆さんにもお礼を言います。

 「じゃあ、またね」

 近藤さんと桧垣さんも帰っていきました。気が付けばロビーに残っているのは、青木さんと私だけになっていました。

 「お迎えはどこに来るの?」

 「たぶん、ここの駐車場かと思います」

 「そうか。さっきの事だけど、いつにする?」

 「ああスイーツの事ですね。青木さんはいつがいいですか。あっ、お金お返ししますね」

 「いや。その時でいいよ。明日はどう? 空いてる?」

 「いいですよ」

 「じゃあ、明日ね。時間は11時で。ここに待ち合わせでいいかな」

 「はい」

 「じゃあ。明日!」

 青木さんはそういうと、不思議と後ろを気にしながら帰っていきました。青木さんに手を振ってから後ろを振り返ると、またちょうど何か作業をしているのか、カートを持ったここの社員の方がいました。

 私は、青木さんがいなくなったのをちょうど見計らったかのように、お迎えの人が来て家に帰りました。帰りに本屋さんへ寄ってもらいました。


 
 「まだ起きていらっしゃいます?」

 もう寝るばかりになった私がベッドで雑誌を読んでいると、久美ちゃんがやってきました。どうやら久美ちゃんも外出をしていたようです。

 「うん。起きてるよ」

 久美ちゃんがハーブティーを持ってきてくれました。いい香りです。二人で飲みながら、私は今日のことを報告しました。久美ちゃんはにこにこして私の話を聞いてくれます。

 「今日のビアガーデンのお料理おいしかったよ。今日限定だったんだって」

 「それはよかったですね」

 久美ちゃんの目がきらりと光った気がしたのは、気のせいですね。きっと。そういえば明日の事も報告しておかないといけませんね。

 「明日、会社の人とスイーツを食べにお出かけしてくるね」

 「そうですか。どこへ行くんですか?」

 「それなのよ~。今日スーツのお店特集が載ってる雑誌を買ったんだけど、迷っちゃうのよね~。どこもおいしそうで」

 「じゃあ、ここはどうですか?」

 久美ちゃんが教えてくれたのは、雑誌にも載ってるホテルのスイーツバイキングでした。時間を見ると、お昼もやっているみたいですね。サンドイッチなど軽食もあるみたいですよ。ここならよさそうですね。でも雑誌を見ると、人気のようです。明日は土曜日ですが、入れるでしょうか? 

 「大丈夫ですよ。ちゃんと予約しておきますから」

 「うれしい! 久美ちゃんありがとう!」

 私が心配したことを久美ちゃんは気が付いたのでしょう。久美ちゃんが太鼓判を押してくれました。こういう時に社長令嬢の肩書が役に立ちますね。私は、思わず久美ちゃんに抱き着いてしまいました。久美ちゃんからはほんのりいい匂いがしました。

 「よかったらまた教えてあげるね。久美ちゃんも航さんと行ってくるといいよ」

 今世では、初めてのスイーツバイキングです。ふむふむ、目の前で焼いてくれるパンケーキがおすすめなんですね。明日が楽しみですね~。
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