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閑話2
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また頭が組員にも何も告げず夜中に突然いなくなった。
その後ふらりと戻ってきたが、再び部下を伴わずどこかに出かけていった。
夕方から薔薇輝組との会合があるからそれまでには必ず戻るだろう。頭のことは信用している。しかし組員も多くが何事だと首を傾げている。
まあ、おそらくあの掃除屋の女絡みだろう。
敵を欺くにはまず味方から。頭は何かの作戦を秘密裏に進めているに違いない。
おそらく女が掃除屋と気付いている組員は俺以外いないだろう。頭の作戦のためにも、全てが明らかになるまでこの事実は隠さねば。
ーーーーー
そしてこの数日後、頭は追川を伴って街中に出かけていった。今回の運転は俺だ。頭も俺が何かを察していると感じているのだろうか。しかし何も言われないということは信頼されているということなんだろう。
それにしても、普通にしていても目立つ人なので何か対策をしてほしいんだが……そう思っていたら最初に服屋に入っていった。
しばらくして出てきた頭の服装は……地味な茶色のズボンに緑色のチェックのワイシャツにフレームが厚めのメガネ姿で現れた。髪型はキャップで隠しているが、これは、地味……なのか?元々の素材がいいせいで単に地味めのファッションを着こなす頭にしか見えん。
追川も同じことを思ったらしく、小さい声で「イケメンの弊害め……」と恨めしそうに言った。
そして再び車で市街地を移動。しかしその間何度か。
「あ、すみません少し……」
そう言って追川は外に出てただの街中の写真を撮り始める。なぜかそれには頭まで付いていき、撮った写真に対して何か言っているようだった。
まさかここで仕事をするつもりで、その情報収集か。こんななんの変哲もない街中の風景なんて撮っても映えやしないしな。
「そういえば逆の件、隠していたみたいですみません。どちらとも取れるようにカプ名はやめときますね」
「あの時は俺の自衛が甘かった」
頭と追川は時折小声で何かを話している。たまに聞き取れるが、何を話しているのかはよくわからん。
まず、かぷめいってのは……?何かの隠語か?いや、革命……?この女は何かに革命をもたらそうと?
あの頭に自衛が足りなかったなんて言わせるとは、敵はよっぽど手練れで、今ここで話し合っているのは街の構造を利用した作戦か。
なるほど確かに、攻めやら地雷やら転落やら不穏な単語が聞こえてくる。
その時、頭がある場所に行くよう指示した。そこは前に頭が潰した百合川組が倉庫に使っていた、今は無人の貸しビルだ。
なぜそんなところに用事があるのか。以前の俺なら聞いていただろう。だが今は違う。何か考えがあってのことだと理解しているからあえて何も聞くまい。
「承知しました」
道も空いていたのですぐに到着した。
頭は追川を伴ってその建物に入っていく。
相変わらず追川はよくわからない角度で写真を撮っているから、作戦に関係があるんだろう。俺はすぐに車を動かせるよう構えつつ、その後ろ姿を見送った。
10分ほど経っても出てこない。何時に戻ってくるかは聞いておくべきだったか、と己のミスを責めていた時だった。
こんな人通りの少ない道に誰かが近付いてきた。自転車や車は数台通ったが、近付いてきているあの男たちは……俺と同業の匂いがした。
幸いにも俺の存在には気付いていないらしい。男たちが無人のはずの貸しビルに入っていく。
って、よく見たらあいつら、百合川組の奴らじゃねぇか。しかも、うちひとりは龍門寺辰……うちの奴らがよく世話になってる、ここいらじゃ最強のヤクザ。
まずい、頭の身が……!と慌てて車を降りようとしたが、ドアに手をかけて思い留まる。
頭と追川が入っていった直後に、奴らは入っていった。誘い出されたのか?追川がやたらと写真を撮っていたのは何かの合図で、それに釣られて?
それなら俺が入って行っても邪魔になるだけか。それに、追川の実力を知るいい機会かもしれん。これで無傷で戻ってきたなら、俺はもう追川を疑うことは……
「うわぁぁっ!!」
そんな声と共に、先ほど入っていった奴らが情け無く敗走していくのが見えた。少し遅れて、這うように出てくる龍門寺。
ドアにかけていた手が緩む。あの2人にかかれば、俺の出る幕はないらしい。
やがて頭と追川さんが貸しビルから出てきた。しかしさすがに龍門寺の相手は疲れたのか、追川さんは少し疲れた顔をしていた。頭は不機嫌そうだが、まあ普段通りだ。
「お疲れ様です!」
「いきなり入って来やがった。まあ、大したことねぇ奴らだったが。先生の邪魔しやがって」
そんな小芝居を頭は打っていますが、ご安心を。俺は頭が話すまでは何も聞きません。
追川さんは小声で「片付け、あれが片付け……」と何か言っている。この後は屋敷に戻るそうだから、いい茶菓子を持って行かせよう。
俺は帰りの手土産もどこかで買っておくべきか考えながら、車を走らせた。
ーーーーー
いや、びっくりしたぁ……!
まさか資料集めに興味を持った深田さんに、背景にいんじゃないかと勧められたビルに行ったら、百合川組とかいうヤクザの群れに襲われるなんて。でも部屋の隅で震えてるうちに深田さんがばったばったと薙ぎ倒してくださったので、私は無傷。それどころかあの1番強そうだった、龍門寺とかいうカッコいい名前の人は強いだけにボッコボコにされてちょっと可哀想だったな。
どうやら私が深田さんと連れ立ってあちこち写真撮って回っているのが百合川組の方々に伝わったらしい。何かを探っていると思われてしまったのかな。
深田さん目立つからと思ってちょっとダサ……地味めの服に着替えてもらったのになぜ。まあ、イケメンは何着ても許されるのか。これが格差。
いや、でもすごかったな深田さん。ただでさえ属性過多なところにさらに腕まで立つなんて。なんとなく察してはいたけどさすが深田さん。
そんなわけで、驚いて写真どころじゃなくなりすぐに車に戻った。
「お疲れ様です!」
車に戻ると、待機していた榎木さんはやけに上機嫌だった。どうしたんだろう。あ、敗走していく方々を見ていたのか。
深田さんすごかったんですよ~と言いたくなったけど、まああの実力はご存じだよね。
そうしてとても貴重なものを見せていただいたからか、お屋敷でいただいたお茶とお菓子がいつもより美味しく感じた。
ついでに深田さんを見てちょっとインスピレーションが湧いたので、その日は筆がよく進んだ。
その後ふらりと戻ってきたが、再び部下を伴わずどこかに出かけていった。
夕方から薔薇輝組との会合があるからそれまでには必ず戻るだろう。頭のことは信用している。しかし組員も多くが何事だと首を傾げている。
まあ、おそらくあの掃除屋の女絡みだろう。
敵を欺くにはまず味方から。頭は何かの作戦を秘密裏に進めているに違いない。
おそらく女が掃除屋と気付いている組員は俺以外いないだろう。頭の作戦のためにも、全てが明らかになるまでこの事実は隠さねば。
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そしてこの数日後、頭は追川を伴って街中に出かけていった。今回の運転は俺だ。頭も俺が何かを察していると感じているのだろうか。しかし何も言われないということは信頼されているということなんだろう。
それにしても、普通にしていても目立つ人なので何か対策をしてほしいんだが……そう思っていたら最初に服屋に入っていった。
しばらくして出てきた頭の服装は……地味な茶色のズボンに緑色のチェックのワイシャツにフレームが厚めのメガネ姿で現れた。髪型はキャップで隠しているが、これは、地味……なのか?元々の素材がいいせいで単に地味めのファッションを着こなす頭にしか見えん。
追川も同じことを思ったらしく、小さい声で「イケメンの弊害め……」と恨めしそうに言った。
そして再び車で市街地を移動。しかしその間何度か。
「あ、すみません少し……」
そう言って追川は外に出てただの街中の写真を撮り始める。なぜかそれには頭まで付いていき、撮った写真に対して何か言っているようだった。
まさかここで仕事をするつもりで、その情報収集か。こんななんの変哲もない街中の風景なんて撮っても映えやしないしな。
「そういえば逆の件、隠していたみたいですみません。どちらとも取れるようにカプ名はやめときますね」
「あの時は俺の自衛が甘かった」
頭と追川は時折小声で何かを話している。たまに聞き取れるが、何を話しているのかはよくわからん。
まず、かぷめいってのは……?何かの隠語か?いや、革命……?この女は何かに革命をもたらそうと?
あの頭に自衛が足りなかったなんて言わせるとは、敵はよっぽど手練れで、今ここで話し合っているのは街の構造を利用した作戦か。
なるほど確かに、攻めやら地雷やら転落やら不穏な単語が聞こえてくる。
その時、頭がある場所に行くよう指示した。そこは前に頭が潰した百合川組が倉庫に使っていた、今は無人の貸しビルだ。
なぜそんなところに用事があるのか。以前の俺なら聞いていただろう。だが今は違う。何か考えがあってのことだと理解しているからあえて何も聞くまい。
「承知しました」
道も空いていたのですぐに到着した。
頭は追川を伴ってその建物に入っていく。
相変わらず追川はよくわからない角度で写真を撮っているから、作戦に関係があるんだろう。俺はすぐに車を動かせるよう構えつつ、その後ろ姿を見送った。
10分ほど経っても出てこない。何時に戻ってくるかは聞いておくべきだったか、と己のミスを責めていた時だった。
こんな人通りの少ない道に誰かが近付いてきた。自転車や車は数台通ったが、近付いてきているあの男たちは……俺と同業の匂いがした。
幸いにも俺の存在には気付いていないらしい。男たちが無人のはずの貸しビルに入っていく。
って、よく見たらあいつら、百合川組の奴らじゃねぇか。しかも、うちひとりは龍門寺辰……うちの奴らがよく世話になってる、ここいらじゃ最強のヤクザ。
まずい、頭の身が……!と慌てて車を降りようとしたが、ドアに手をかけて思い留まる。
頭と追川が入っていった直後に、奴らは入っていった。誘い出されたのか?追川がやたらと写真を撮っていたのは何かの合図で、それに釣られて?
それなら俺が入って行っても邪魔になるだけか。それに、追川の実力を知るいい機会かもしれん。これで無傷で戻ってきたなら、俺はもう追川を疑うことは……
「うわぁぁっ!!」
そんな声と共に、先ほど入っていった奴らが情け無く敗走していくのが見えた。少し遅れて、這うように出てくる龍門寺。
ドアにかけていた手が緩む。あの2人にかかれば、俺の出る幕はないらしい。
やがて頭と追川さんが貸しビルから出てきた。しかしさすがに龍門寺の相手は疲れたのか、追川さんは少し疲れた顔をしていた。頭は不機嫌そうだが、まあ普段通りだ。
「お疲れ様です!」
「いきなり入って来やがった。まあ、大したことねぇ奴らだったが。先生の邪魔しやがって」
そんな小芝居を頭は打っていますが、ご安心を。俺は頭が話すまでは何も聞きません。
追川さんは小声で「片付け、あれが片付け……」と何か言っている。この後は屋敷に戻るそうだから、いい茶菓子を持って行かせよう。
俺は帰りの手土産もどこかで買っておくべきか考えながら、車を走らせた。
ーーーーー
いや、びっくりしたぁ……!
まさか資料集めに興味を持った深田さんに、背景にいんじゃないかと勧められたビルに行ったら、百合川組とかいうヤクザの群れに襲われるなんて。でも部屋の隅で震えてるうちに深田さんがばったばったと薙ぎ倒してくださったので、私は無傷。それどころかあの1番強そうだった、龍門寺とかいうカッコいい名前の人は強いだけにボッコボコにされてちょっと可哀想だったな。
どうやら私が深田さんと連れ立ってあちこち写真撮って回っているのが百合川組の方々に伝わったらしい。何かを探っていると思われてしまったのかな。
深田さん目立つからと思ってちょっとダサ……地味めの服に着替えてもらったのになぜ。まあ、イケメンは何着ても許されるのか。これが格差。
いや、でもすごかったな深田さん。ただでさえ属性過多なところにさらに腕まで立つなんて。なんとなく察してはいたけどさすが深田さん。
そんなわけで、驚いて写真どころじゃなくなりすぐに車に戻った。
「お疲れ様です!」
車に戻ると、待機していた榎木さんはやけに上機嫌だった。どうしたんだろう。あ、敗走していく方々を見ていたのか。
深田さんすごかったんですよ~と言いたくなったけど、まああの実力はご存じだよね。
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