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学園編
王子様は追い詰められる
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「そういうわけではっ……!」
「ですが、その発言はそれと同意かと思われます。戦争が起こったとて、起こる可能性があるという段階では動けなかったから仕方ない、と言い訳なさるということですよね?」
私のなじる言葉にぐっ、と返事に詰まっているところへソフィがさらに畳み掛ける。
「はじめに犠牲になるのは、私たち国民です。国境の領地であるルートヴェング領は特にそうでしょう。確かに私達は王族のため、国のために動くことは厭いませんが、それを当たり前のことと思われるのは心外です。……今日は、処刑覚悟でこのことを伝えに参りました。気に入らないとあらば、この場で切り捨てくださいませ」
「エルンスト殿下、私も同じ意向です」
戦争に対する責任を持ちたくないから聞かなかったことにすると言うなら今この場で殺せ。そう意味を込めた言葉は確かに伝わったらしい。
王族らしい、威厳のある佇まいを崩すことはなかったが、明らかに顔色を失って、呆然としている。
……うん、想定通りに進んでるね。
この王子は王族にあるまじき、というくらいのレベルで根が優しい。優しすぎる。友人で、同級生の私達を切り捨てて殺すなんてことができるはずがない。だから、きっとこの提案を受け入れることになる。人柄を見て、利用することを前提にした悪辣な作戦を立てた自分自身にちょっと苦笑いしてしまいたいくらい、可哀想な方策だ。
「……分かった。これでも次期王候補だ。一部の軍を動かしたり、協力者も集めたりすることくらいしかできないが、それでもいいなら戦争回避に全面的に協力しよう」
「十分です。ありがとう存じます」
ソフィが私と目を合わせて、やったね、と言う感じでテーブルの下に下ろしている拳をコツン、と合わせた。
「エルンスト殿下、協力していただけるとまで言ってくださったのに不躾なお願いなのですが、契約書にサインをして頂けますか? 今回のことに関して、少し。こういうことはきちんとしておいたほうがいいかと思いまして」
内容はこう。エルンスト殿下が全面的に戦争回避について、ソフィア・ルートヴェングとミカエル・フィレネーゼに協力すること。そして、協力したあかつきには、エルンスト殿下が王になるための後ろ盾としてソフィア・ルートヴェングとミカエル・フィレネーゼがつくということの二つ。
十分向こうにも利がある条件のはずだ。エルンスト様が第一王子である分、候補として最も有力なのは確かだけれど、今のままでは十分兄弟姉妹にも立場を覆される可能性が残されている。その中で公爵家の令嬢の後ろ盾を二人も得られるのは大きいと思う。一応、私は学園の首席という肩書まであるし。
その予想はやっぱり当たっていた。王子は契約書を読み進むにつれて、愉しそうに、値踏みをするように口角を上げる。
「抜け目ないな、こうして契約書まで用意するとは。……分かった、今すぐサインさせてもらおう」
エルンスト殿下はどこからともなく万年筆のようなペンを取り出してスラスラっと名前を書き、指輪についている第一王子の証である印章を押した。これで契約成立だ。
「では、改めて。これからよろしくお願いします」
「ですが、その発言はそれと同意かと思われます。戦争が起こったとて、起こる可能性があるという段階では動けなかったから仕方ない、と言い訳なさるということですよね?」
私のなじる言葉にぐっ、と返事に詰まっているところへソフィがさらに畳み掛ける。
「はじめに犠牲になるのは、私たち国民です。国境の領地であるルートヴェング領は特にそうでしょう。確かに私達は王族のため、国のために動くことは厭いませんが、それを当たり前のことと思われるのは心外です。……今日は、処刑覚悟でこのことを伝えに参りました。気に入らないとあらば、この場で切り捨てくださいませ」
「エルンスト殿下、私も同じ意向です」
戦争に対する責任を持ちたくないから聞かなかったことにすると言うなら今この場で殺せ。そう意味を込めた言葉は確かに伝わったらしい。
王族らしい、威厳のある佇まいを崩すことはなかったが、明らかに顔色を失って、呆然としている。
……うん、想定通りに進んでるね。
この王子は王族にあるまじき、というくらいのレベルで根が優しい。優しすぎる。友人で、同級生の私達を切り捨てて殺すなんてことができるはずがない。だから、きっとこの提案を受け入れることになる。人柄を見て、利用することを前提にした悪辣な作戦を立てた自分自身にちょっと苦笑いしてしまいたいくらい、可哀想な方策だ。
「……分かった。これでも次期王候補だ。一部の軍を動かしたり、協力者も集めたりすることくらいしかできないが、それでもいいなら戦争回避に全面的に協力しよう」
「十分です。ありがとう存じます」
ソフィが私と目を合わせて、やったね、と言う感じでテーブルの下に下ろしている拳をコツン、と合わせた。
「エルンスト殿下、協力していただけるとまで言ってくださったのに不躾なお願いなのですが、契約書にサインをして頂けますか? 今回のことに関して、少し。こういうことはきちんとしておいたほうがいいかと思いまして」
内容はこう。エルンスト殿下が全面的に戦争回避について、ソフィア・ルートヴェングとミカエル・フィレネーゼに協力すること。そして、協力したあかつきには、エルンスト殿下が王になるための後ろ盾としてソフィア・ルートヴェングとミカエル・フィレネーゼがつくということの二つ。
十分向こうにも利がある条件のはずだ。エルンスト様が第一王子である分、候補として最も有力なのは確かだけれど、今のままでは十分兄弟姉妹にも立場を覆される可能性が残されている。その中で公爵家の令嬢の後ろ盾を二人も得られるのは大きいと思う。一応、私は学園の首席という肩書まであるし。
その予想はやっぱり当たっていた。王子は契約書を読み進むにつれて、愉しそうに、値踏みをするように口角を上げる。
「抜け目ないな、こうして契約書まで用意するとは。……分かった、今すぐサインさせてもらおう」
エルンスト殿下はどこからともなく万年筆のようなペンを取り出してスラスラっと名前を書き、指輪についている第一王子の証である印章を押した。これで契約成立だ。
「では、改めて。これからよろしくお願いします」
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