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85.管制塔の制圧1
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「目的地付近に到達しました。
シェバリエ『赤薔薇部隊』発進どうぞ!」
スピーカーからナビゲーターがそう告げると、
ユウラ・エルドレッドは大きく息を吸った。
「ユウラ・エルドレッド! 赤薔薇部隊隊長機出撃する!」
戦艦White Wingから自身の搭乗するシェバリエが射出されると、
ユウラは体にかかる重力に顔を顰めた。
「くっ!」
バーニアを吹かせると、
シェバリエの背に光の粒子が翼のように輝いて、空を翔ける。
モニターに映し出されるその映像に、エルライドが敬礼する。
「ご武運を! 妃殿下」
◇◇◇
モニターに映し出される映像に注視すると、敵軍は作戦通りに
戦艦『White Wing』の方に気を取られて、正面ゲートにその戦力を集中させている。
「ユウラさん」
エマの映像がモニターに映りこむ。
「作戦通りね。
敵軍は陽動である戦艦『White Wing』に気を取られているわ。
その隙をついて管制塔の背後に回りこみ、一気に制圧するわよ」
エマの言葉に、ユウラがうなづいた。
「了解! 私とエマさんは管制塔の右側面から、
ダイアナとナターシャは左側面から回り込んで」
「了解なのだ!」
「ええ、分かったわ」
ユウラの指示に、ナターシャが唇を引き結び、
ダイアナが少し緊張した面持ちで答えた。
四機のシェバリエは着地すると、作戦通り守りの手薄な裏ゲートを襲撃する。
「いっくよう!」
ナターシャの機体の構える剣が、その姿を変えて、
巨大なハンマーが姿を現す。
「え? なにそれ???
物理的法則が全くわからないんですけど……」
モニターに映し出されるその映像に、エマが目を瞬かせた。
「ほらほら、そこをどくのだー!
邪魔するものはぶっ叩いちゃうぞ!」
ナターシャの機体は、次々に目の前に立ちはだかるシェバリエを、
巨大なハンマーでぶっ叩いていく。
その威力は凄まじく、鉱物の塊であるシェバリエが歪にひしゃげて、
シューっと音を立てて戦闘不能に追い込まれている。
「は……破壊神……。くっ、ナターシャ……。
ツインテールのロリキャラのくせに……やるわね」
エマがその光景に、ニヤリと笑う。
「じゃあ、私もがんばっちゃおうかな」
そう言って今度はダイアナが、機体の背中から武器を引き抜く。
巨大な鎖鎌だ。
ダイアナの機体が弧を描くように、巨大鎌を振り回すと、
周りを取り囲むシェバリエの手足や、頭が捥げて地面にゴトリと転がり、
機体が爆発する。
ナターシャとダイアナの二人で、
大方の敵機を屠ってしまったの見届けて、
ユウラとエマは機体を降りる。
「ダイアナとナターシャはここで守りを固めて」
そう言いおいて、ユウラとエマは小銃を抱えて管制塔へと突入する。
見張りの男二人を手刀で伸して、先へと進むと、
ユウラとエマに気づいた敵軍が発砲する。
銃撃を避けて素早く上の階へと歩みを進めるが、
銃弾の一発が蛍光灯を掠めた。
耳障りな音を立てて、その破片が辺りに飛び散る。
「くっ!」
ユウラが歯を食いしばり、エマをかばいながら
敵軍からは死角となる廊下の隅に隠れた。
「ケガはなくて? エマさん」
ユウラがエマを気遣う。
「ええ、大丈夫よ。ユウラさん」
ユウラが小銃の銃弾を補填する。
しかし敵兵にそれを構えるのをエマが制する。
「管制塔の見取り図は頭に入っているわよね。
上の階に行くにはここか、もしくは反対側にある階段を使うしかない」
エマが一瞬思案するようにユウラにそう言った。
「愚かなるレッドロライン兵士よ、出て来い!
さもなければ、我々が人質とした民間人を殺すぞ!」
そう言って敵兵の一人が、
一人の少女の頭に銃口を突き付けて立たせる。
「いやよ……いや……」
少女は青ざめて震えている。
「人質を取られているの?」
エマがきつく唇を噛み締めた。
「いいこと? ユウラさん。
わたくしが囮になるわ。
だからその隙に管制塔の最上部に行って、指令室の通信システムを使って
援軍を呼んでちょうだい」
立ち上がろうとしたエマの腕を、ユウラが掴んでもう一度座らせる。
「いけないわ。それがどれだけ危険なことかわかっていて?
エマさんをそんな危険な目に合わせるくらいなら、私が囮になるわ」
ユウラの真剣な眼差しを受けて、エマは小さく首を横に振る。
「いいえ、ユウラさん、
言ったでしょう。
わたくしの命をあなたに賭けさせていただくって。
あなたにはそれだけの価値があるの」
エマがユウラの手を握った。
「エマ……さん?」
そして微笑む。
「わたくしの愛したレッドロラインをお願いね」
そう言ってエマは立ち上がり、その手に持っていた小銃を放り投げた。
そして両手を上げて投降する。
「わたくしの名はエマ・ユリアス!
レッドロライン国務大臣の娘です。
わたくしが人質となりますので、彼女を開放しなさい」
エマの声が高く響き渡ると、敵軍の銃口が一斉にエマに向けられる。
「エマ……さん」
そう呟いたユウラの頬に涙が伝った。
ユウラは涙をぬぐって立ち上がり、最上階を目指して走り出す。
◇◇◇
幾多の銃撃戦の末に、最上階は目前だ。
しかしその銃弾は尽きようとしている。
(ここで敵兵に見つかってしまえば万事休す)
ユウラは大きく息を吸った。
いちかばちかの賭けではあったが、
ユウラは管制塔の指令室を目指して走り出した。
「いたぞ!」
敵兵の言葉と共に銃声が響き渡った。
ユウラはぐっと拳を握りしめた。
(もうだめだっ!)
覚悟を決めてきつくその目を閉じたときに、
ふいにその手を引っ張られ、抱きすくめられる。
シェバリエ『赤薔薇部隊』発進どうぞ!」
スピーカーからナビゲーターがそう告げると、
ユウラ・エルドレッドは大きく息を吸った。
「ユウラ・エルドレッド! 赤薔薇部隊隊長機出撃する!」
戦艦White Wingから自身の搭乗するシェバリエが射出されると、
ユウラは体にかかる重力に顔を顰めた。
「くっ!」
バーニアを吹かせると、
シェバリエの背に光の粒子が翼のように輝いて、空を翔ける。
モニターに映し出されるその映像に、エルライドが敬礼する。
「ご武運を! 妃殿下」
◇◇◇
モニターに映し出される映像に注視すると、敵軍は作戦通りに
戦艦『White Wing』の方に気を取られて、正面ゲートにその戦力を集中させている。
「ユウラさん」
エマの映像がモニターに映りこむ。
「作戦通りね。
敵軍は陽動である戦艦『White Wing』に気を取られているわ。
その隙をついて管制塔の背後に回りこみ、一気に制圧するわよ」
エマの言葉に、ユウラがうなづいた。
「了解! 私とエマさんは管制塔の右側面から、
ダイアナとナターシャは左側面から回り込んで」
「了解なのだ!」
「ええ、分かったわ」
ユウラの指示に、ナターシャが唇を引き結び、
ダイアナが少し緊張した面持ちで答えた。
四機のシェバリエは着地すると、作戦通り守りの手薄な裏ゲートを襲撃する。
「いっくよう!」
ナターシャの機体の構える剣が、その姿を変えて、
巨大なハンマーが姿を現す。
「え? なにそれ???
物理的法則が全くわからないんですけど……」
モニターに映し出されるその映像に、エマが目を瞬かせた。
「ほらほら、そこをどくのだー!
邪魔するものはぶっ叩いちゃうぞ!」
ナターシャの機体は、次々に目の前に立ちはだかるシェバリエを、
巨大なハンマーでぶっ叩いていく。
その威力は凄まじく、鉱物の塊であるシェバリエが歪にひしゃげて、
シューっと音を立てて戦闘不能に追い込まれている。
「は……破壊神……。くっ、ナターシャ……。
ツインテールのロリキャラのくせに……やるわね」
エマがその光景に、ニヤリと笑う。
「じゃあ、私もがんばっちゃおうかな」
そう言って今度はダイアナが、機体の背中から武器を引き抜く。
巨大な鎖鎌だ。
ダイアナの機体が弧を描くように、巨大鎌を振り回すと、
周りを取り囲むシェバリエの手足や、頭が捥げて地面にゴトリと転がり、
機体が爆発する。
ナターシャとダイアナの二人で、
大方の敵機を屠ってしまったの見届けて、
ユウラとエマは機体を降りる。
「ダイアナとナターシャはここで守りを固めて」
そう言いおいて、ユウラとエマは小銃を抱えて管制塔へと突入する。
見張りの男二人を手刀で伸して、先へと進むと、
ユウラとエマに気づいた敵軍が発砲する。
銃撃を避けて素早く上の階へと歩みを進めるが、
銃弾の一発が蛍光灯を掠めた。
耳障りな音を立てて、その破片が辺りに飛び散る。
「くっ!」
ユウラが歯を食いしばり、エマをかばいながら
敵軍からは死角となる廊下の隅に隠れた。
「ケガはなくて? エマさん」
ユウラがエマを気遣う。
「ええ、大丈夫よ。ユウラさん」
ユウラが小銃の銃弾を補填する。
しかし敵兵にそれを構えるのをエマが制する。
「管制塔の見取り図は頭に入っているわよね。
上の階に行くにはここか、もしくは反対側にある階段を使うしかない」
エマが一瞬思案するようにユウラにそう言った。
「愚かなるレッドロライン兵士よ、出て来い!
さもなければ、我々が人質とした民間人を殺すぞ!」
そう言って敵兵の一人が、
一人の少女の頭に銃口を突き付けて立たせる。
「いやよ……いや……」
少女は青ざめて震えている。
「人質を取られているの?」
エマがきつく唇を噛み締めた。
「いいこと? ユウラさん。
わたくしが囮になるわ。
だからその隙に管制塔の最上部に行って、指令室の通信システムを使って
援軍を呼んでちょうだい」
立ち上がろうとしたエマの腕を、ユウラが掴んでもう一度座らせる。
「いけないわ。それがどれだけ危険なことかわかっていて?
エマさんをそんな危険な目に合わせるくらいなら、私が囮になるわ」
ユウラの真剣な眼差しを受けて、エマは小さく首を横に振る。
「いいえ、ユウラさん、
言ったでしょう。
わたくしの命をあなたに賭けさせていただくって。
あなたにはそれだけの価値があるの」
エマがユウラの手を握った。
「エマ……さん?」
そして微笑む。
「わたくしの愛したレッドロラインをお願いね」
そう言ってエマは立ち上がり、その手に持っていた小銃を放り投げた。
そして両手を上げて投降する。
「わたくしの名はエマ・ユリアス!
レッドロライン国務大臣の娘です。
わたくしが人質となりますので、彼女を開放しなさい」
エマの声が高く響き渡ると、敵軍の銃口が一斉にエマに向けられる。
「エマ……さん」
そう呟いたユウラの頬に涙が伝った。
ユウラは涙をぬぐって立ち上がり、最上階を目指して走り出す。
◇◇◇
幾多の銃撃戦の末に、最上階は目前だ。
しかしその銃弾は尽きようとしている。
(ここで敵兵に見つかってしまえば万事休す)
ユウラは大きく息を吸った。
いちかばちかの賭けではあったが、
ユウラは管制塔の指令室を目指して走り出した。
「いたぞ!」
敵兵の言葉と共に銃声が響き渡った。
ユウラはぐっと拳を握りしめた。
(もうだめだっ!)
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