皇国の栄光

ypaaaaaaa

文字の大きさ
11 / 57

1920年の再来と英雄の死

しおりを挟む
10月10日。
ポーランド大統領のスクワトコフスキは悩んでいた。
独ソ両軍の攻勢は一旦落ち着いてはいるものの、再攻勢をかけられたときには恐らく無理だろう。
いくら日本の支援があるといっても無理がある。
だが幸いなことに、いま戦線が膠着したことで国民が次々に中立国に避難できた。
それでも受け入れてくれる国がいない。
1920年の時と一緒だ。
早く見つけなければ。
その時彼に朗報が届いた。
「大統領!日本がポーランド難民を受け入れてくれるそうです!」
側近が駆け込んできた。
「そうか!」
スクワトコフスキは少し明るい顔をした。

10月12日、犬養は思案していた。
ポーランド難民の扱いについてだった。
ユダヤ人の時は植民地に送ることで解決できた。
だが今は植民地も発展し、他が入り込む余地がなかった。
すると石原が訪ねてきた。
「首相。ポーランド難民についてなのですが。」
石原は席に着くなり言う。
「なんだ?」
「彼らを中華に送り込んだらどうでしょう。」
犬養にとってそれは予想外だった。
「なぜだ?それならば日本が受け入れた意味がないだろう。」
石原はまってましたと言わんばかりに言った。
「中華はドイツからの支援を受けており、ポーランド難民を受け入れればその支援を切られる可能性があります。ですが我が国からの要請で受け入れたのならば表面上は問題ありません。」
「なるほど。やはりきみは面白いな。そうしよう。助かった。ありがとう。」
こうして中華の政府や工場にポーランド人が見られるようになった。
こっれにより中華は力強く発展していった。

10月24日。
ついに独ソ両軍が攻勢を再開したのだ。
ポーランド軍は頑強に抵抗したもののずるずると撤退していった。
そしてワルシャワにも独ソ空軍が進出してきた。
これに対してポーランド空軍と日本義勇航空隊が出撃。
ただあまりにも数が違い過ぎた。
『敵機、左より3機接近!』
『数が多すぎます!樫出隊長!』
樫出は周りをみた。
味方はよく戦っているがそれでも数にはかなわない。
すると無線が入った。
『樫出、君は帰れ。』
スカルスキだだった。
スカルスキの戦闘機には桜が書いてあった。
先日樫出たちが書いたものだった。
「なにを言っている!我々は君たちを助けに来たのだ!最期まで戦う!」
するとスカルスキは言い放った。
『我々こそ。客人たちを死なせるためにはいかない。』
そう言い終わった後、樫出の反応を聞く前に離れて行った。
呆然と操縦桿を握っていた。
そして後ろに敵機がいることに気づく。
樫出は避けようとするが避けきれない。
彼は覚悟を決めて、その時を待っていた。
だがなかなか来ない。
後ろを振り返る。
そこには今まで後ろにいた敵機が落ちていくのが見えた。
『陸さん。大丈夫かい?』
その機体は隼ではなかった。
「あんたは、だれだ?」
『俺は岩本だ。それはそうと、陸さん。はやくここから抜け出すぞ。』
「わかった。あと俺の名前は樫出だ。」
『じゃあ樫出。陸さんの方の誘導を頼む。俺は少し暴れてくる。』
そういって岩本は敵機に向かっていく。
その時の戦闘は芸術だった。
その後、何とか撤退に成功した義勇航空隊は補給を受けた後リトアニアに飛び立った。
岩本も遅れながらも合流した。
そこには政府要人の輸送機とポーランド残存空軍がいたが桜が書かれた戦闘機はいなかった。
その後、10月31日にワルシャワが陥落。
スクワトコフスキは最後までワルシャワに残り国民を鼓舞し続けを続け、ついにドイツ軍の爆撃によって行方不明となった。
そして11月12日にポーランドは降伏した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜

雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。 そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。 これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。 主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美 ※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。 ※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。 ※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。

大日本帝国、アラスカを購入して無双する

雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。 大日本帝国VS全世界、ここに開幕! ※架空の日本史・世界史です。 ※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。 ※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。

戦神の星・武神の翼 ~ もしも日本に2000馬力エンジンが最初からあったなら

もろこし
歴史・時代
架空戦記ファンが一生に一度は思うこと。 『もし日本に最初から2000馬力エンジンがあったなら……』 よろしい。ならば作りましょう! 史実では中途半端な馬力だった『火星エンジン』を太平洋戦争前に2000馬力エンジンとして登場させます。そのために達成すべき課題を一つ一つ潰していく開発ストーリーをお送りします。 そして火星エンジンと言えば、皆さんもうお分かりですね。はい『一式陸攻』の運命も大きく変わります。 しかも史実より遙かに強力になって、さらに1年早く登場します。それは戦争そのものにも大きな影響を与えていきます。 え?火星エンジンなら『雷電』だろうって?そんなヒコーキ知りませんw お楽しみください。

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。 ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。 また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。 その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。 この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。 またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。 この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず… 大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。 【重要】 不定期更新。超絶不定期更新です。

天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜

岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。 けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。 髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。 戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!??? そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

帝国夜襲艦隊

ypaaaaaaa
歴史・時代
1921年。すべての始まりはこの会議だった。伏見宮博恭王軍事参議官が将来の日本海軍は夜襲を基本戦術とすべきであるという結論を出したのだ。ここを起点に日本海軍は徐々に変革していく…。 今回もいつものようにこんなことがあれば良いなぁと思いながら書いています。皆さまに楽しくお読みいただければ幸いです!

処理中です...