小沢機動部隊

HW作戦

オアフ島陥落

「敵艦は針路そのままです」
栗田の報告に南雲は口角を釣り上げる。
「全艦、砲雷撃戦始め！」
すぐさま9隻の重巡から20.3㎝砲弾が放たれる。
例え命中したとしても戦艦に対してはかすり傷程度だろうが、重要なのは雷撃だった。
日本海軍は開発した61㎝酸素魚雷は射程2万mを誇る世界一の魚雷だった。
この酸素魚雷が4本も命中すれば、戦艦であろうとたちどころに撃沈できる。
ただ2万mで雷撃しても、命中率がひどいことになるだけだ。
なので、大体1万mまで近づいて雷撃を仕掛ける。
今回は敵戦艦が砲撃戦の最中ということで全艦がきれいに横腹をさらしながら1列に並んでいた。
これをみすみす逃す南雲ではない。
距離1万2000mで魚雷を発射し、砲戦を開始した。
これは駆逐艦の雷撃を敵重巡に邪魔されないようにするためだった。
敵重巡は4隻でこちらは9隻。
圧倒的な火力優勢の中、南雲艦隊は次々と命中弾を与えていく。
そしてついに1隻の重巡が耐え切れずに波間に沈んでいった。


その頃、砲撃戦も苛烈さを増していた。
「流石にこの武蔵でも辛いな」
古賀は落ち着いて言った。
既に武蔵は40.6㎝砲弾を12発喰らっていた。
その影響で第3砲塔と対空火器のほとんどが使用不能となり、艦前部から海水が流入して速力も27ノットから20ノットに減速した。
それでも武蔵はバイタルポートは貫通されず、致命傷を負っていない。
対してアメリカ艦隊は悲惨であった。
先頭を行くサウスダコタは46㎝砲弾を4発、41㎝砲弾を3発、36㎝砲弾を３発喰らってすでに満身創痍の状況であった。
すでにハルゼーは退艦しており、すぐに航行を停止。
沈みこそしていないものの戦艦としての機能は停止していた。
また二番艦のインディアナも46㎝砲弾1発と36㎝砲弾3発をすでに喰らており、中破の損害となってた。
そこに追い打ちをかける様に南雲艦隊が放った酸素魚雷、合計176本が到達。
戦艦達は次々と被雷して左に傾いていく。
サウスダコタのみ被雷を逃れたが他の3隻は3本から5本の酸素魚雷が命中していた。
ハルゼーはただただ沈みゆく戦艦達を見守ることしか出来なかった。
ハワイ沖夜戦は武蔵と羽黒が中破の損害を負ったのに対して3隻の戦艦、2隻の重巡を血祭に上げた。
この後、ハワイ上陸軍である山下奉文大将指揮下の第14軍が絶大な艦砲射撃、航空支援の元進撃し月が替わった9月1日にハワイ守備隊は降伏。
9万名居た軍人の内、3万名は死に、6万名は捕虜となった。
また、ニミッツなどの軍司令部は最後の最後までオアフ島に残っていたが、8月29日に潜水艦に乗って西海岸に退避した。