小沢機動部隊

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続・FS作戦

十五試局地戦闘機

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年も暮れも暮れ、三菱が十四試局地戦闘機の開発に苦戦しているのを余所に川西が十五試局地戦闘機の試験飛行に臨もうとしていた。
場所は厚木飛行場で、空技廠の和田も出席していた。
「十四試より早くできてしまうとはな…」
和田は少し肩を落とす。
「いえ、十四試は出来れば日本で最強格のインターセプターになります。我々のこれは艦載機にも転用可能ですので」
十四試のフォローを入れつつ、艦載機として売り込む開発者に和田は”やり手だな”と直感した。
「それで、まだなのか?」
「今、最終点検を行っている所です」
和田の見つめる先にあるのが十五試局地戦闘機だった。
十五試局地戦闘機には20㎜機関銃が4挺装備されており、かなりずんぐりとした機体となってた。
それでも、翼面荷重などの数値は理論上ではあるもののF4Fに準ずるか凌ぐものであった。
また、新機軸として自動空戦フラップや独特な主翼構造など織り込まれていた。
これに加えて部品の数も零戦に6割程度に抑え込むことに成功し、かなり安く大量に生産できるようになる予定だった。
「そろそろです」
開発者の言葉に我に返り和田は機体を見る。
すでに試験搭乗員が乗り込み、エンジンが掛かろうとしていた。
快活な音を立ててエンジンが動く。
ゆっくりと機体が動き始める。
そして地面を蹴って大空に飛び立った。
それから10分ほどは高度確保のためただ待つ時間が過ぎた
「速度は難なく時速600㎞を超えています」
開発者に言葉を疑い、速度計を見る。
確かに600㎞は出ていた。
その後、各種試験を行い十五試局地戦闘機は飛行場に戻ってきた。
和田はこの場で決断した。
「十五試局地戦闘機が艦上戦闘機として運用可能かどうかを来年の1月に判断する。それまでに試作機を製作するように」
川崎の開発者は満面の笑みで答えた。
「はい!ぜひともやって見せます!」


十五試局地戦闘機は艦上戦闘機としては運用できるのか未知数ではあるものの、基地防空のための局地戦闘機としてなら申し分ないとして、海軍はこれを制式採用に踏み切った。
制式化された名前は紫電一一型。
これまで零戦が担ってきた基地防空や、重爆迎撃の任務にあたるため、ポートモレスビーに最初に充当されることに決まった。
「時速600㎞越えが出たか」
山本はどこか感慨深いものがあった。
山本が航空主兵主義に目覚めたころは日本の航空機は二流三流だった。
それが、今やアメリカ海軍の戦闘機をも凌駕する機体を製造できるようになった。
(日本人は、やればできるんだ…)
そうしみじみ思うのだった。
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