54 / 67
それは海中から
しおりを挟む
第2航空戦隊は敵空母2隻撃沈という報告を聞いてはっきり言って浮かれていた。
「これでさっきの借りは返したぞ!」
中曽根すら浮かれていた。
「馬鹿者が!警戒をおこたるな!」
そのどすの効いた声に周りは静まる。
「まだ、戦闘中であるぞ!いつ何時アメリカが我々に攻撃を仕掛けてくるか分からない!」
中曽根も黙りこんだ。
だが、信濃の浮かれた空気までは払しょくしきれていなかった。
阿部がいる信濃でさえこうなのだから他の3空母はそのままだった。
「艦長!敵艦隊を発見しました!」
アルバコアの艦長であるリマー少佐は思わずガッツポーズをした。
マリアナ沖海戦では前哨戦の夜間強襲により空母が撃沈されたことに衝撃を受けた司令部から撤退を命令されていた。
「魚雷を一気に3発だす。これであの中央の空母を狙うぞ。」
静かに潜望鏡を海上にだす。
そして十分に狙いを定めてから魚雷を発射した。
「大鳳が被雷しただと!?」
指令室の空気は先ほどと打って変わって重たかった。
「2発命中なので沈没はしないでしょうが…。」
それでも阿部の周りの空気は変わらない。
沈まないにしても稼働できる装甲空母が1隻減ってしまった。
阿部は今後の戦闘を憂いていた。
外からの判断とは裏腹に大鳳の内部では激しい火災に見舞われえていた。
「大尉!鎮火がなかなかできません!このままだと他の部位までも…。」
大鳳は従来の日本空母に比べて格納庫などが密閉されていた。
これは波の侵入を防ぐ一方、火災などは外に逃がすことができなかった。
なのでアメリカ空母は開放型格納庫を採用しているが、こちらはこちらで波の影響をもろに受けてしまう。
嵐などが多い太平洋では戦闘前に損傷してしまうことも多く、どちらも一長一短だった。
そして、大鳳はその短の部分がもろに出てしまう。
爆発の衝撃で破壊されたタンクから気化した燃料に、火災が到達し大爆発を起こした。
脱出できたものはわずかに50名だった。
「大鳳は…だめか。」
大爆発を起こした空母はそれだけで将兵たちに悲壮感を与えた。
先ほどまで勝利の余韻に浸されていたのもあり艦隊の士気は下がっていた。
そこに攻撃隊が帰還した。
本来戻るはずの母艦がない大鳳の搭乗員は混乱と無力感でいぱいだった。
「敵の空母を撃沈!」
艦内で歓声が沸き上がる。
それもそうだ。
空母部隊が全戦力を費やして1隻だけしか撃沈できなかった空母を自分たちがやすやすと撃沈できたのだから。
そしてそのままハワイに撤退していった。
「これでさっきの借りは返したぞ!」
中曽根すら浮かれていた。
「馬鹿者が!警戒をおこたるな!」
そのどすの効いた声に周りは静まる。
「まだ、戦闘中であるぞ!いつ何時アメリカが我々に攻撃を仕掛けてくるか分からない!」
中曽根も黙りこんだ。
だが、信濃の浮かれた空気までは払しょくしきれていなかった。
阿部がいる信濃でさえこうなのだから他の3空母はそのままだった。
「艦長!敵艦隊を発見しました!」
アルバコアの艦長であるリマー少佐は思わずガッツポーズをした。
マリアナ沖海戦では前哨戦の夜間強襲により空母が撃沈されたことに衝撃を受けた司令部から撤退を命令されていた。
「魚雷を一気に3発だす。これであの中央の空母を狙うぞ。」
静かに潜望鏡を海上にだす。
そして十分に狙いを定めてから魚雷を発射した。
「大鳳が被雷しただと!?」
指令室の空気は先ほどと打って変わって重たかった。
「2発命中なので沈没はしないでしょうが…。」
それでも阿部の周りの空気は変わらない。
沈まないにしても稼働できる装甲空母が1隻減ってしまった。
阿部は今後の戦闘を憂いていた。
外からの判断とは裏腹に大鳳の内部では激しい火災に見舞われえていた。
「大尉!鎮火がなかなかできません!このままだと他の部位までも…。」
大鳳は従来の日本空母に比べて格納庫などが密閉されていた。
これは波の侵入を防ぐ一方、火災などは外に逃がすことができなかった。
なのでアメリカ空母は開放型格納庫を採用しているが、こちらはこちらで波の影響をもろに受けてしまう。
嵐などが多い太平洋では戦闘前に損傷してしまうことも多く、どちらも一長一短だった。
そして、大鳳はその短の部分がもろに出てしまう。
爆発の衝撃で破壊されたタンクから気化した燃料に、火災が到達し大爆発を起こした。
脱出できたものはわずかに50名だった。
「大鳳は…だめか。」
大爆発を起こした空母はそれだけで将兵たちに悲壮感を与えた。
先ほどまで勝利の余韻に浸されていたのもあり艦隊の士気は下がっていた。
そこに攻撃隊が帰還した。
本来戻るはずの母艦がない大鳳の搭乗員は混乱と無力感でいぱいだった。
「敵の空母を撃沈!」
艦内で歓声が沸き上がる。
それもそうだ。
空母部隊が全戦力を費やして1隻だけしか撃沈できなかった空母を自分たちがやすやすと撃沈できたのだから。
そしてそのままハワイに撤退していった。
6
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
小日本帝国
ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。
大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく…
戦線拡大が甚だしいですが、何卒!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜
岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。
けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。
髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。
戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!???
そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる