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52話:フンシャル花祭り2

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 役所が、最近力を入れて、金をかけて、世界中に宣伝してくれ、年々、観光客が増えて、その点ではホテルも潤っていると笑った。もう少し高いマディラワインが売れると、うれしいけどねと言ったが、反面高くなりすぎて、最近では島民が買えないのも寂しいと本音を漏らした。

 そんな話で盛り上がり今日も0時になり床についた。翌、4月24日、朝8時前にホテルを出て、伊賀夫妻が場所取りをして、通りの周辺の木を見ると、ジャガランダの花が咲き始めているのが見え、気分が盛り上がった。そして10時にフラワー・フェスティバルが始まった。

 いきなり、美女達がきれいな花の中に数人登場して観客に手を振って歓声答えた。次に美人さんと可愛い女の子のペアが手に花束を持って、とびっきりの衣装に身を包んで行進してくるとシャッターの音が響いた。このシーズンはフンシャル空港が大混雑する。

 ロンドン、パリ、ローマ、ヨーロッパ各国から、直接、フンシャル空港への直行便を出すようで島のホテルだけではとても収容しきれない人達を日帰りで参加できるようにしているという話を聞いた。11時なると会場の沿道は、いっぱいになり観光ツアーでは、5、6段のツアー客、専用の観客席を作っている所が見えた。また、観客の列が長く、最後の方まで見えないほどだった。

 続いて、地元の男性と女性が踊りながら練り歩いたり、妖精のような衣装を着て、手に持った多くお花を見物客にプレゼントしてくれるパレードもあった。また、非常に艶やかな黄色一色の美人さん達の踊り、縦縞、横縞のスカートの一団。また、大きなひまわりを髪に飾り、手に持って踊る女性達のグループ。

 今度はパレード用トラックに2人の美人さんが、まるで取り囲む花にも負けない美しさで、競いあり、ヒートアップして、投げキッスと送ってくれる女性も現れた。それを見ている男性達の目の色が変わった。その後、ペアの上手なバレーダンサーがバレーを披露しながらパレードをしてる珍しい光景も見られた。

 しかし、ホテルのフロントの人が言っていたが、「マディラ島の島民は、自分が、食べていけるだけの仕事して、それ以外の時間を人生を楽しむために使っている」。こう言う生活が、本当の理想かも知れないと、伊賀俊二が言うと、奥さんも、そうね、そんな人生を過ごしたいものねと、同感してくれた。

 昼食の弁当を広げながら、その後も続く、パレードを眺めていた。そして初日が終わった。しかし、こんな小さな島に、こんな美人さんばかり、大勢いるはずはないと、伊賀は考えて、まさかポルトガルでの美人コンテストで選ばれた女性が集められたという事もないだろう。

 どうやって、これだけの美人を派遣してるのか気になった。今晩ホテルに帰り、フロントの男に聞いて見ようと考えた。夕方17時にホテルに戻り、夕食後、20時からの飲み会で、その美人の話をするとフロントの男が薄ら笑いを浮かべて、良い所に気がついたねと言った。

 そして実は、この島の女性達は基本的に美人は少なく、島民は恥ずかしがり屋さんが多く、民族舞踊を仲間達の前で踊る以外、人前で踊るなんて事はしないと言った。どうやって集められているか本当のことは知らないと前置きして、これから後は聞いた話になると言って話し始めた。

 1つは芸能プロダクションの人がポルトガルの女優、ダンサーをめざす娘の中から渡航費用を出して参加させて宣伝に利用してるという話は聞いたと言った。しかし、ポルトガル以外から集めることはないらしい。その他には、自費で来て踊りに来る女性もいると聞いたと言った。

 ホテルのご主人が、世界一美味い、ピコ島のワインを一度、飲むと良いと言った。現在、手作りだけで作っていてピコ島に行かないと飲めないが、素晴らしい味だと述べた。そして、アゾレス諸島は、特別な島が多いと語った。

 アゾレス諸島は、フェリーで移動できると言い、この島のフンシャル空港から、アゾレス諸島のサン・ミゲル島まで、飛行機が出ていると教えられた。それを聞き、伊賀俊二が、奥さんに、こんなチャンスは、まずないから、アゾレス諸島も回ろうと言った。
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