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10話:福島第一原発がやばい
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23時16分、日本経済新聞は「経済産業省原子力安全・保安院によると、冷却水を注水するための非常用ディーゼル発電機が稼働せず、現在はバッテリーで動かしている」と報じた。0時49分、東京電力は1号機の「原子炉格納容器圧力異常上昇」により、原子力災害対策特別措置法15条に基づく特定事象発生が発生したと判断。1時20分に通報を行った。
また海江田経産相は3時5分からの記者会見で原子炉格納容器の破損を防ぐため、1号機に関してベント作業、すなわち格納容器内の蒸気の放出作業の実行を発表。翌3月12日、7時すぎ、菅直人首相が、ヘリで第1原発に降り立ち、時間弱滞在し、職員らから状況の説明を受ける。10時17分、電源喪失状態の中で作業でベント作業が開始されたが、作業は難航。最終的にベテラン作業員1人の手により14時30分に弁の開放は成功した。
格納容器の破損は免れたが10分程の作業で人間が1年間に浴びても良いとされる放射線量の100倍以上に相当する106.3ミリシーベルト「約110万マイクロシーベルト」の放射線を浴び、作業員の男性は吐き気やだるさを訴え、病院に搬送された。午後、アメリカ軍のヘリコプターで真水を大量輸送することが可能か、東京電力から駐日アメリカ合衆国大使館への要請が行われる。
14時12分、原子力安全・保安院は、福島第一原子力発電所の1号機周辺でセシウムが検出され、核燃料の一部が溶け出た可能性があると発表した。15時29分、敷地内モニタリングポストにて毎時1015マイクロシーベルトの放射線が観測される。このモニタリングポストは、飯舘村の方向にあった。なお、東京電力から公表されたのは、3桁小さい原発正門付近での線量「毎時5.5マイクロシーベルト、15時30分の値」であり、毎時1015マイクロシーベルトの値は公表が遅れた。
15時36分、1号炉原子炉建屋で水素ガス爆発が発生。白い煙が確認され、東京電力社員2名、協力会社の社員2名が負傷した。なお、時間は前後するが、3時33分、2号機の非常用炉心冷却装置の原子炉隔離時冷却系「RCIC系」ポンプが作動していたことが確認された。19時55分、1号機の海水注入について内閣総理大臣が指示を出し、20時20分から1号機へ消火系からの海水注入が開始されたが、22時15分に発生した地震により、一時中断された。
21時前に行われた枝野官房長官の記者会見では、15時36分の爆発について、冷却機能を失った原子炉内において燃料被覆管を構成するジルコニウムと水蒸気との高温下での反応を由来とした水素を含んだ蒸気が原子炉格納容器内から漏れ出し、建屋内に充満して発生した水素のガス爆発であり、原子炉格納容器の損傷もないという見解が発表された。
1時23分、3月12日22時15分から中断されていた1号機への海水の注入作業が、津波の恐れが去ったと判断されたため再開された。使用する海水には、中性子を吸収し核分裂反応を抑える作用のあるホウ酸が添加されている。1時50分、東北電力女川原子力発電所のモニタリングポストが21マイクロシーベルト/時間を観測。同発電所では震災対応の真っただ中であったが、炉心温度100℃未満の「冷温停止」状態にあった。
加えて一部電源の破壊・停止もあったものの多重系により全原子炉の冷却系は稼働中であり、同発電所の原子炉からの放射性物質の大気放出を疑う要素は何らなかった。原子力安全・保安院は、検出された放射線は前日の福島第一原子力発電所1号機の水素爆発の際に放出された放射性物質によるものと判断した。2時44分、3号機の非常用炉心冷却装置の高圧注水系が停止した。
冷却水が沸騰して水位が下がり、4時15分から燃料棒が露出し始めた。5時10分に非常用炉心冷却装置の原子炉隔離時冷却系「RCIC系」による注水を試みるも起動しないため、東京電力は、5時38分に「冷却装置注水不能」として原子力災害対策特別措置法15条に基づく通報を行った。12日に爆発が起きた同原発1号機と同様に、格納容器内の圧力が高まるため、東京電力は放射性物質が混じった蒸気を外部に放出する準備を進め、海水注入も検討した。
8時41分、3号機の格納容器内の蒸気を排出し、内部の圧力を下げる弁を開けることに成功した。8時56分、放射線量の値が再び上昇し、制限値の0.5ミリシーベルト/時を超えたため、原子力災害対策特別措置法に基づく「緊急事態」の通報を行った。午前、福島県が合わせて22人の被曝を確認したと発表した。敷地正門付近で中性子が検出されていた午前の段階で、3号機が炉心溶融に至っていた。
午前の記者会見で、枝野官房長官は、1号機の原子炉圧力容器内部が海水で満たされていると判断されると述べた。1号機の水位計は正確に計測できない状態となっているため、ポンプの能力どおりに海水が供給されていることから判断したという。また、3号機については、9時5分に安全弁を開いたことで原子炉圧力容器内部の圧力が低下し、9時8分に真水の注入を開始したと述べた。
9時20分には格納容器の排気が開始され、9時25分にはホウ酸の混入が開始された。12時55分には、燃料棒の上部1.9mが冷却水から露出したため、海水注入に踏み切った。水位低下で核燃料が露出して溶融する恐れが出たため、13時12分から3号機の原子炉に海水の注入を始めた。13時52分に第一原発の周辺でこれまでで最も多い1.5575ミリシーベルト/時を観測したが、2時42分に0.1841ミリシーベルト/時に低下した。
枝野官房長官は午後の記者会見で、「爆発的なことが万一生じても、避難している周辺の皆さんに影響を及ぼす状況は生じない」と述べた。しかし、1号機と3号機は依然として十分な水位が確保できず、燃料が露出した状態になっており、海水注入後も水位に大きな変化が見られない。
2011年3月14日1時10分、汲み上げ場所の海水が少なくなったため、1号機と3号機への海水の注水を停止した。7時50分、3号機の「冷却機能喪失」により、原子力災害対策特別措置法第15条に基づく特定事象の通報を行った。11時1分に3号機の建屋が爆発し、大量の煙が上がった。この煙は灰褐色で、1号機のものと比べるとより高くまで上がり、炎が上がる様子も見られた。
また海江田経産相は3時5分からの記者会見で原子炉格納容器の破損を防ぐため、1号機に関してベント作業、すなわち格納容器内の蒸気の放出作業の実行を発表。翌3月12日、7時すぎ、菅直人首相が、ヘリで第1原発に降り立ち、時間弱滞在し、職員らから状況の説明を受ける。10時17分、電源喪失状態の中で作業でベント作業が開始されたが、作業は難航。最終的にベテラン作業員1人の手により14時30分に弁の開放は成功した。
格納容器の破損は免れたが10分程の作業で人間が1年間に浴びても良いとされる放射線量の100倍以上に相当する106.3ミリシーベルト「約110万マイクロシーベルト」の放射線を浴び、作業員の男性は吐き気やだるさを訴え、病院に搬送された。午後、アメリカ軍のヘリコプターで真水を大量輸送することが可能か、東京電力から駐日アメリカ合衆国大使館への要請が行われる。
14時12分、原子力安全・保安院は、福島第一原子力発電所の1号機周辺でセシウムが検出され、核燃料の一部が溶け出た可能性があると発表した。15時29分、敷地内モニタリングポストにて毎時1015マイクロシーベルトの放射線が観測される。このモニタリングポストは、飯舘村の方向にあった。なお、東京電力から公表されたのは、3桁小さい原発正門付近での線量「毎時5.5マイクロシーベルト、15時30分の値」であり、毎時1015マイクロシーベルトの値は公表が遅れた。
15時36分、1号炉原子炉建屋で水素ガス爆発が発生。白い煙が確認され、東京電力社員2名、協力会社の社員2名が負傷した。なお、時間は前後するが、3時33分、2号機の非常用炉心冷却装置の原子炉隔離時冷却系「RCIC系」ポンプが作動していたことが確認された。19時55分、1号機の海水注入について内閣総理大臣が指示を出し、20時20分から1号機へ消火系からの海水注入が開始されたが、22時15分に発生した地震により、一時中断された。
21時前に行われた枝野官房長官の記者会見では、15時36分の爆発について、冷却機能を失った原子炉内において燃料被覆管を構成するジルコニウムと水蒸気との高温下での反応を由来とした水素を含んだ蒸気が原子炉格納容器内から漏れ出し、建屋内に充満して発生した水素のガス爆発であり、原子炉格納容器の損傷もないという見解が発表された。
1時23分、3月12日22時15分から中断されていた1号機への海水の注入作業が、津波の恐れが去ったと判断されたため再開された。使用する海水には、中性子を吸収し核分裂反応を抑える作用のあるホウ酸が添加されている。1時50分、東北電力女川原子力発電所のモニタリングポストが21マイクロシーベルト/時間を観測。同発電所では震災対応の真っただ中であったが、炉心温度100℃未満の「冷温停止」状態にあった。
加えて一部電源の破壊・停止もあったものの多重系により全原子炉の冷却系は稼働中であり、同発電所の原子炉からの放射性物質の大気放出を疑う要素は何らなかった。原子力安全・保安院は、検出された放射線は前日の福島第一原子力発電所1号機の水素爆発の際に放出された放射性物質によるものと判断した。2時44分、3号機の非常用炉心冷却装置の高圧注水系が停止した。
冷却水が沸騰して水位が下がり、4時15分から燃料棒が露出し始めた。5時10分に非常用炉心冷却装置の原子炉隔離時冷却系「RCIC系」による注水を試みるも起動しないため、東京電力は、5時38分に「冷却装置注水不能」として原子力災害対策特別措置法15条に基づく通報を行った。12日に爆発が起きた同原発1号機と同様に、格納容器内の圧力が高まるため、東京電力は放射性物質が混じった蒸気を外部に放出する準備を進め、海水注入も検討した。
8時41分、3号機の格納容器内の蒸気を排出し、内部の圧力を下げる弁を開けることに成功した。8時56分、放射線量の値が再び上昇し、制限値の0.5ミリシーベルト/時を超えたため、原子力災害対策特別措置法に基づく「緊急事態」の通報を行った。午前、福島県が合わせて22人の被曝を確認したと発表した。敷地正門付近で中性子が検出されていた午前の段階で、3号機が炉心溶融に至っていた。
午前の記者会見で、枝野官房長官は、1号機の原子炉圧力容器内部が海水で満たされていると判断されると述べた。1号機の水位計は正確に計測できない状態となっているため、ポンプの能力どおりに海水が供給されていることから判断したという。また、3号機については、9時5分に安全弁を開いたことで原子炉圧力容器内部の圧力が低下し、9時8分に真水の注入を開始したと述べた。
9時20分には格納容器の排気が開始され、9時25分にはホウ酸の混入が開始された。12時55分には、燃料棒の上部1.9mが冷却水から露出したため、海水注入に踏み切った。水位低下で核燃料が露出して溶融する恐れが出たため、13時12分から3号機の原子炉に海水の注入を始めた。13時52分に第一原発の周辺でこれまでで最も多い1.5575ミリシーベルト/時を観測したが、2時42分に0.1841ミリシーベルト/時に低下した。
枝野官房長官は午後の記者会見で、「爆発的なことが万一生じても、避難している周辺の皆さんに影響を及ぼす状況は生じない」と述べた。しかし、1号機と3号機は依然として十分な水位が確保できず、燃料が露出した状態になっており、海水注入後も水位に大きな変化が見られない。
2011年3月14日1時10分、汲み上げ場所の海水が少なくなったため、1号機と3号機への海水の注水を停止した。7時50分、3号機の「冷却機能喪失」により、原子力災害対策特別措置法第15条に基づく特定事象の通報を行った。11時1分に3号機の建屋が爆発し、大量の煙が上がった。この煙は灰褐色で、1号機のものと比べるとより高くまで上がり、炎が上がる様子も見られた。
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