日本初のパソコン販売で早期退職し投資の世界へ

ハリマオ65

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5話:安田、激務で倒れ1ケ月休暇療養

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 その頃、安田はPC9800のハードではなくソフトウェア会社の人達との交渉に動き回っていてイベントの設営や秋葉原のビットインでのパソコン・マニアからの質問に答えたり、激務に耐えていた。そして相変わらず週に1-2回は会社に泊まる日々だった。対照的に奥さんの律子さんは決められたプログラムで、後輩の海外勤務のための教育を毎日こなして定時に帰るので、会社の女性の後輩・同輩・先輩と食事したり、ビール飲んだりして楽しく過ごしていた。

 しかし給料は残業時間の多い安田と余り変わらない、つまり律子の教育指導の手当はかなり多い金額だった。1984年も忙しく、夏休みも、どこえも行けずに、安田が12月24日から4日間の有給休暇をとり、沖縄3泊4日の旅行に出かけた。しかし安田の疲れはひどくて飛行機に乗ると直ぐ寝てしまい、那覇に到着して、奥さんにおこされる始末だった。

 那覇空港からレンタカーを借りてニッコー・オクマへ北上して午後3時に到着して、ここで2泊して、プライベートビーチをゆっくり散策し、きれいな海を眺めて、豪華な食事をいただいて、たっぷりと睡眠を取った。 3日目レンタカーで南下して糸満のひめゆりの塔を見学して、その詳細を知ると、安田も律子も戦争の悲惨さに思いを寄せて号泣してしまった。

 しばらく呆然として少し落ち着いてから、近くのホテルのレストランで一休みして、那覇空港の近くのレンタカー屋に車を返した。午後2時の飛行機で4時過ぎに羽田について午後6時前に日比谷のマンションに帰って来て、早めに床についた。やがて1984年が過ぎて1985年を迎えた。1985年になり疲れがひどいので1月2から5日まで熱海の温泉に泊まえい疲れを取ることに専念した。

 1985年3月にNECのパソコン開発部長から呼ばれて、入社7年目にして係長に昇格すると言われた。1985年4月付けでNECパソコン販売課長を命ぜられた。その後98シリーズのパソコンの新発売のイベントを企画したり、全国NECパソコンショップやビットインをかけづりまわっる日々が続いた。1985年9月3日、原因不明の頭痛で倒れてしまい、日比谷から近い東京慈恵会医科大学病院に運ばれた。

 極度のストレスと疲労が原因の体調不良と言われ、重度メニエール病だと診断されて左耳の聴力が半減した。10日間入院治療をして退院してからも2週間の自宅療養を医師から命じられた。体重も入社当時の78kgから68kgまで痩せて頬もこけた。3週間の治療後10月3日から会社に出社しNECのパソコン開発部長に呼ばれた。

 その時、入院後の事を考えて残りの有給休暇を50日を使って体調を回復させるか、または、もう少し、忙しくない経理部とか人事部、総務部への配置転換をするかと聞かれてた。それに対し、ペースを落としてもPC部門で販売と開発の仕事を継続したいと安田が訴えた。すると、部長がわかったと言い、しかし残業時間を月に30時間以上せずに、夏休みと冬休みは2~3日、有給休暇をつけて長めに休めと言われ、了解した。

 その後、毎日19時には家に帰り、律子さんと夕飯を食べるようになった。1985年の冬休みも12月25日から1月7日まで休んで、全般は家でゆっくりして後半は箱根の温泉に4泊して身体を休めた。そして1986年を迎えた。今年から販売店や営業所巡りをやめて極力電話で状況報告を聞き、今後の対策を指示するようにした。

 ある日の晩、夫婦で夕食時、律子さんが笑いながら私の仕事とあなたの仕事を足しで2で割ると楽になれるのにねと告げた。逆に律子さんが新人の教育かかりばかり長期間やっていると会社内の仕事の動きや世の中の動きがわからなくなるとぼやいた。1986年は、夏にレンタカーを7日間借りて、東北の太平洋側を北上して青森から日本海側に向かい、秋田、庄内、新潟をゆっくりと回る計画をたてた。

 まず、上野でレンタカーを借りて国道を水戸に向かって走り、水戸からは海岸線をいわきに向かって窓を開けて、走り、最初の晩は常磐ハワイアンセンターに宿泊した。2日目はいわきから海岸線を北上して仙台港の近くの温泉に入り昼食をとり、ひたすら北上して夕方に盛岡に到着し宿泊した。3日目は盛岡を出て青森に到着し昼食を食べて青森港から北海道を眺めてから南下して大館の天然温泉の宿に宿泊。

4日目は秋田方面を目指し南下して秋田を抜けて酒田、村上抜けて長距離ドライブで新潟の奥座敷、月岡温泉の豪華温泉旅館に宿泊して豪華な庭をながめ、温泉にゆっくりつかり、美味しい料理と酒を楽しんでぐっすりと寝た。5日目は新潟から関越道路抜けて長岡、沼田、高崎を抜けて東京・上野のレンタカー屋に車を返して、自宅に帰った。そして6日目はゆっくりして、翌日、仕事に出かけた。

 しかし1986年10月15日秋葉原のビットインの事務所にいて話をしていると急にめまいがして、机に突っ伏して立てなくなった。仕方なく、近くの病院に会社の人の車で連れて行ってもらい、入院することになり、その知らせを置きいて律子さんが病室に来た。医者の診断ではメニエール病が再発したので4日間入院し最低1週間、出来れば4週間、仕事を休み、途中でもう一度来院して欲しいと言われた。

 入院している時に安田はなんとも言えないむなしさを感じて入院当日、寝ながら不覚にも枕を濡らしてしまった。そして変な夢を見た。それは、めざしている場所に行きたいと急いで車を走せてるが1時間以上走っても目的地に少しも近づいてないという夢。そのむなしさに自然と涙が出て来た。そんな話を次回の外来の時に先生に話す、極度のストレスと疲労で自律神経が大きなダメージを受けている様だと言った。

 そして、回復には膨大な時間がかかるか、もしかしたら回復しないかもしれないと告げた。最近、こう言う猛烈社員のストレス病、メニエール、重症自律神経失調症が増えてきて、精神的に弱い人は自らの命を絶ったりする人もいると安田に教えた。そして先生の言われたように1ケ月休んだ。それでも、まだ有給休暇が33日残っていた。
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