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2024/07/11~12 嫁の備忘録 【石垣島旅行】

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本日は嗜好を変えて…、というより、嫁が単純に書きたいので書こうと思う。

『家族旅行in石垣島』


まぁ、備忘録のようなものだ。





2024/07/11 旅行前日



学童保育のアカウントから連絡が来ていた。
『娘ちゃんが手が痛いと言っているので、念のため冷やして様子を見ています』
そして娘の手の平の画像。
意識してみれば、という程度ではあるが柔い発疹のようなものがちらほらと見える。

まさかね。前日だぞ…。


その日は学校の個人面談で早く帰っていたので、普段なら放置するダメ親である私もさすがに病院へ連れて行った。

診断:手足口病
処方:特になし(打つ手なし)

ははは、そうかなるほど。娘よ、君はそういうタイプの人間なんだな。と思った。
居るよね、大きいイベントごとの直前に何かしらに見舞われる人。
ちなみに「僕もしんどい気がする」とついでのように受診した息子は「所見なし」だった。でしょうね。


とは言え、普段通りに過ごしていいとのお達しであったため、家族旅行は決行する運びとなった。



2024/7/12 出発当日


AM2:00
娘「かっか(母のこと)、もう朝?まだ寝てていい?」
深夜です。寝てろ。

AM3:00
息子「かっか、トイレ付いてきて」
お前普段起きもせずに漏らすやろ…。

AM4:00
娘「かっか、もう起きないと駄目?」
寝てろ。

AM5:00 起床
勿論子らは寝てる。くそが。



この日は6:30頃に出発予定だったため、前夜は早め(とは言っても理想の入眠時刻である20:30頃)に寝かせていたのだが、それが関係あるのかないのか、大変なとばっちりを受けてしまった。
体力的に地獄の移動日が確定。眠い。


と、何だかんだありつつ、最寄りの幹線駅から途中乗り換えを挟みつつまずは博多へと向かった。
なんかあった気はするんだけれど、もう些細なこと過ぎて覚えていない。
あぁ、旦那が家族分×複数枚の切符にまごついてるのにイラついて、引っ手繰って駅員さんに「通してくれ。あとついでに仕分けてくれ」と頼んだのを思い出した。





さて、福岡空港。
確か10時頃に到着したと記憶している。
今回全てを旦那に丸投げしていて旅の内容を全く知らない私はここで初めて旦那に「飛行機は何時?」と聞いた。

「12:20」

耳を疑った。

ということは、つまり、我々はこのクソでかキャリーケース(古くて重い)その他を抱えたまま約2時間空港で時間を潰さないといけないのか。
時間感覚馬鹿か。
と思ったけれど、まかせっきりの人間が文句を言ってはいけない。取れなかったのかもしれないし。
朝早すぎて朝食を少ししか食べられなかった子供たちが空腹を訴えている。
丁度良さそうなおむすびさんが1個150円(具無し)で売っていたので食べさせたが、昼以降の食事時間が破綻した瞬間であった。
どうせ変な時間に腹減ったって言うんだろ。と思い、銘菓ひよこを買っておいた。

とりあえずよくわからない窓際を拠点として、やたらうろうろした覚えがある。
子のトイレに付き合ったり、喫煙所を探したり、軽くお腹に入れるものを探したり、とにかく端から端まで何往復もした。
驚いたことに、まだ午前中。先行きに不安しかない。




ようやくの搭乗手続き。荷物検査の折に旦那が急に手荷物から「機内持ち込みできない」とモバイルバッテリーを預け入れキャリーケースに無理矢理突っ込んだ。
「逆じゃね?」
と思ったのだが、平時私はぽんこつなので、基本旦那の言う事に従うし疑わない。

今思えば、この時声を上げていればよかった。
後悔先に立たずとは本当によく言ったものだなぁと、後悔する度に思うのだ。


結局預け入れ荷物の検査に引っかかってキャリーケースを改めて開ける。そこで、キャリーケースの留め具が中ほどからぽくんと折れた。
バラバラになって転がっていく部品がやけにゆっくりと見えて、くらりと眩暈がした。

そこ、折れる事ある?

頭の芯が熱いやら冷たいやら、絶不調の脳みそを叱咤してとにかくモバイルバッテリーを取り出しはしたものの、目の前には折れたキャリーケースの留め具である。閉めれば開かなくなるのは目に見えている。
私は、今、自らの手で、開かずのキャリーケースを作らねばならないというのか…。

まぁ最悪壊せばいいか。

逡巡は一瞬だった。
まごついて注目されるより、係員さんの手を煩わせるより、後でキャリーケースと格闘する方がよっぽどマシだ。
時として開き直りは重要なのである。





無事
搭乗手続きも終わったことでようやく身軽になり、しかしフライトはまだ1時間ほど先だ。
「ちょっと早いけどお昼ご飯食べとこうか」と言うのが理想ではあったが、こいつら全員30分ほど前におむすびさんを食べたばかり。当然私の提案は「お腹空いてない」と突っぱねられた。

しかし私はこの時キャリーケースぶっ壊れ事件のせいで若干ホットになっていたので「絶対博多ラーメン食う。ただじゃ起きない。一人でも食う」と言って聞かず、最終的に旦那と娘の「ご飯食べない組」と、私と息子の「ご飯食べる組」に分かれて空港にあったよくわからないラーメン屋に入って一杯の豚骨ラーメンを2人で分け合って食べた。
味はあまり覚えていないが、「福岡空港では博多ラーメンを食べた」ということが大事なのだ。


飛行機に乗ってから石垣空港まで、何も覚えていないということはわりかし平和だったのではないかと思う。
案の定「ご飯食べない組」だった娘が「お腹が空いた」と言い出したので、私はニマニマしながら銘菓ひよこを差し出した。









石垣空港からレンタカーを借りて、宿泊地である白保へ。
民泊が好きな我々は「民宿くんや」さんの「ふぐむた館」という棟を借りていた。この宿泊施設決めにだけは私も噛んでいたのでよく覚えている。

というのも、旦那に宿泊施設決めを任せるといつも「惜しい」のだ。子らがまだ3歳ごろだったかの頃に交通の便はいいもののベッドのシングルツインを取ったり。
落ちるかもしれないということがなぜ想像できないのか。その時はぷりぷりしながらベッド2台をむりやり壁に付けて、私はその境目で寝た。

閑話休題。

なのでいつからか宿泊施設決めは私の担当というような暗黙の了解がある。
今回も大体のエリアを聞いて、期間や料金でいくつか候補を上げた所、驚いたことに全て「民宿くんや」さんの施設であった。大家さんとお友達になりたいところだ。

宿についた頃には私はすでにへろへろで、とにかく早く寛ぎたかった。いつもであれば外観や、看板の前に3人並ばせて写真を撮ったりするのだが、その写真がないということはよっぽど疲れていたんだと思う。
あと、キャリーケースのことが心配だったんだと思う。
ちなみにこのキャリーケース、ぶっ壊すしかないかと思っていたが、折れた残骸を噛ませて無理矢理開けることに成功したのでこの旅行中は目を瞑って使われることとなった。



さて、ひとまず拠点に到着して軽く荷解きをしつつ、子らは宿内(所謂古民家のような一軒家だ)を探検。「今日はここで寝る!」と選んだ部屋は、お星さまやキティちゃんのシールが壁に沢山貼ってある子供部屋然とした部屋だった。この家が持つ歴史を感じさせるような、いい部屋だと思った。
この後食事に出て帰ってくるのは夕暮れ以降だろうと窓のカーテンを閉めると、ポトリと5cmほどの小さいヤモリが落ちてきた。
子らは大喜びでヤモリを追いかけ回し、私はヤモリに申し訳ない気持ちを抱えつつ苦笑いしながらもう一方のカーテンを閉める。

デカい蜘蛛が落ちてきた。
ご近所さんに申し訳ないくらいの絶叫が迸った。





気を取り直して、水回りの確認やWi-Fiの設定など細々した事を終え、近所にある商店で必要な物を買いましょうかと玄関を出た所で
「かっか!スズメバチだ!」
と、昆虫系YouTubeが大好きな息子が叫んだ。
この人の好きなチャンネルでは、虫食ったりスズメバチにわざと刺されたりするから親としては気が気ではない。
そんな息子が無邪気に指さした先。

建物の床下換気口である。
出入り口からは2mも離れていない。

そこに、体長3cmはあろうかというバカみたいにデカいスズメバチがひょろひょろと吸い込まれるように入って行った。
親2人固まって見ている内に、今度は中からひょろひょろと…。


うん、巣があるなぁ。

この時私は「島の虫がデカいってホントなんだなぁ」とどうでもいいことを考えていた。
しかしこの程度で蜂の巣を突いた様な大騒ぎにはならない夫婦である。
とりあえず買い物行こうか。と、旦那に大家さんへの連絡を任せ、子らを連れて見知らぬ街へ繰り出した。

古き良き時代を感じさせるような小汚い(誉め言葉)商店で買い物を終えて再び宿に戻って来た時、床下換気口はコンクリートブロックで雑に塞がれていた。
出入口を塞がれてお家に入れなくなった数匹のスズメバチがそのブロックの上で途方に暮れたようにうろうろしているのが逆に恐ろしかった。






その日の夕食は旦那が予約しているという。
白保からレンタカーで約30分。離島ターミナルにほど近い繁華街に向かい、ユーグレナ何やらという商店街を眺めながら向かった雑居ビルの8Fにあるステーキのお店だった。

ステーキ&レストラン PAPOIYA(パポイヤ)

海を眺めつつちょっといいお肉を楽しむ、なんて、子の誕生日の特別な旅行にはぴったりじゃないか。なるほどなるほど。
移動のアレコレで下がっていた旦那への好感度を上方修正しながらメニューを開いて、じっくり眺めて、冗談抜きで一度閉じた。文学的な表現でもなんでもなく、一度仕切り直そうと思った。

周りの客層を確認する。

まぁ、観光客が多そうだ。あとは、家族連れ。我々だって完璧に観光客丸出しなのだから別に店内で浮いているというような事はない、はず。
それでも、この…。
改めてメニューを開いて眺める。

なんやかんやのステーキ、7800円とか、9800円とか。
お子さまステーキ、さんぜんはっ…

思わず旦那を見ると旦那はシレっとした顔で「何にする?」とか言っている。
「値段にたじろいでるんだけど…」
と素直に白状すると、旦那は「気にするな」と力強く答えた。

じゃあ一番高い奴たーのもっと。グラスの赤くださーい。


こういう時、無責任に切り替えられるのは財布を任せている強みだと思う。気にするなというんだから気にしない。
折角なのでとある思惑を潜ませて(後ほど娘に看破される)テンダーロインステーキを頼んだ。旦那はサーロインとテンダーロインのハーフ。子らはお子さまステーキ。
店主の口車に乗せられて何故か私のテンダーロインまでサーロインとのハーフにされてしまったのだが、これも後悔先に立たず、だった。サーロインがマズかったのではなく、テンダーロインが美味しすぎた。



初めて食べた石垣牛。そして一目で上等と分かる肉の中でも希少部位であるテンダーロイン。
「おいしい」と「好きじゃない」の二種類の味覚しか持っていないバカ舌の私でも「脂が甘い!」という感想を叩きだすくらいの一品だった。
溢れる肉汁に絡む脂はさらさらと水のようで全くくどくないのに、しっかりと味があるのだ。なるほど、テンダーロイン、やりよる…。
嬉しくなった私は娘に「娘、このお肉すっごい美味しい。食べてごらん。テンダーロインっていうんだよ」と一切れ切り分けて皿に移してやると、娘は真顔で私を見た後「ムラサメがすきなやつ?」と聞いてきた。
ムラサメ、とは、私の好きな漫画の好きなキャラクターである。
まさかクソみたいなオタク趣味の思惑(好きな漫画の好きなキャラが好きな肉を食おうというもの)を娘に一瞬で看破されると思っていなかった私は「いひへっ」と変な声で笑ってしまった。
旦那がその様子を「ふぅん…」と白い目で見ているのが居た堪れない。
以降、私は開き直って“ムラサメ”に想いを馳せながらテンダーロインを味わった。
サーロインも美味しかったけどテンダーロインの前では一歩及ばず、と言わざるを得ない。さすがムラサメだと思った。

普段は食の細い息子も美味しい美味しいと自分の拳くらいの大きさの肉の塊をペロリと平らげ、普段は食いしん坊なのに手足口病の弊害で口が痛くて沢山食べられなかった娘の食べ残しまで食べたので、余程美味しかったのだと思う。
今からこんなにいいもん食わせてていいのかなとちょっと思ったけれど、まぁ、お祝いの旅行だからいっか、と未来の私に丸投げにすることにした。



宿に帰ったらスズメバチが出入口を塞いだコンクリートブロックの穴の縁で休んでいた。怖い。


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