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君といると鼓動が
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カランカラン
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませ~。」
ここは悩めるお客様が来店される喫茶店。本日の客様はとても初々しい20代くらいのカップルです。しかし二人とも、左手の薬指に綺麗に光る指輪がはまっています。
「こんにちは。もしかして新婚さんですか?」
「あ、そうです...!よく分かりましたね。」
「なんだか初々しい雰囲気だったので。」
「そんな雰囲気出てました...!?」
2人を席に案内したいちごは、さっそくと言ったように二人に話を聞いていきます。
「お2人はいつご結婚されたんですか?」
「つい一週間くらい前よ。私たち交際を始めたのも一か月くらい前だから余計初々しいのかも。」
「えっ!すごくスピード婚!」
いちごは楽しそうに声を上げます。
「あっ、そう言えばお2人はお名前なんて言うんですか?」
「僕は松村雅と言います。」
「私は奥...じゃなかった。松村真由美です。」
「今!旧姓を!新しい苗字慣れてないんですね!」
「も、もう...恥ずかしい...!」
真由美は顔を赤らめて手で隠します。そんな一挙手一投足が感慨深いのか、雅も顔を手で覆いました。
「まだそんな初々しいお2人なら新婚生活もまだ慣れない感じですか?」
「え、えぇそうね。」
「僕なんて家にいても全然落ち着かないよ。ずっと鼓動がしてるんだ。」
2人が顔を赤らめつつも幸せそうに話し出すと、ふわっといい香りが漂いました。そしてその匂いのままに、薔薇紳士が淹れたての紅茶を2人の前に置きました。
「どうぞ、淹れたての紅茶です。お2人のご結婚お祝いです。」
「わぁ、ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
お礼を言って同時にこくりと紅茶を飲んだ2人は、幸せそうな笑みを浮かべました。
「おいしいです!」
「ありがとうございます。時に松村様、先ほどお話を聞いてしまったのですが...」
「えっ!すみません、何か恥ずかしい...。」
「いいえ、とても幸せそうなお話で私まで嬉しい気持ちになりました。ありがとうございます。...松村様、今はお2人でいると鼓動も止まらないことでしょう。しかしいずれその鼓動の高鳴りもなくなっていくと思います。2人でいいることに慣れるからです。でもそれが無くなった時、相手に冷めたのではなく、安心できる場所に変わったということをお忘れなきよう。」
薔薇紳士はそれだけ言うと、カウンターに戻っていきました。真由美と雅は薔薇紳士の言葉に2人で顔を見合わせました。
「いつかなれちゃうその時まで、しっかりドキドキしてればいいですよ!」
「そ、それも何だか恥ずかしいのだけれど...!」
「いいじゃないか。いつかドキドキし無くなった時、また改めて君に愛してると伝えるよ。」
「なっ...!恥ずかしいからやめてよ!」
「あはは。」
ドキドキしなくなる、胸が高鳴らななるのは相手に冷めたから?いいえ、違います。ドキドキして落ち着かない状態から、一緒にいて安心できる場所に変わっただけです。相手への思いの表れが変わった時にまた、愛を伝えてみてはどうでしょう。
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませ~。」
ここは悩めるお客様が来店される喫茶店。本日の客様はとても初々しい20代くらいのカップルです。しかし二人とも、左手の薬指に綺麗に光る指輪がはまっています。
「こんにちは。もしかして新婚さんですか?」
「あ、そうです...!よく分かりましたね。」
「なんだか初々しい雰囲気だったので。」
「そんな雰囲気出てました...!?」
2人を席に案内したいちごは、さっそくと言ったように二人に話を聞いていきます。
「お2人はいつご結婚されたんですか?」
「つい一週間くらい前よ。私たち交際を始めたのも一か月くらい前だから余計初々しいのかも。」
「えっ!すごくスピード婚!」
いちごは楽しそうに声を上げます。
「あっ、そう言えばお2人はお名前なんて言うんですか?」
「僕は松村雅と言います。」
「私は奥...じゃなかった。松村真由美です。」
「今!旧姓を!新しい苗字慣れてないんですね!」
「も、もう...恥ずかしい...!」
真由美は顔を赤らめて手で隠します。そんな一挙手一投足が感慨深いのか、雅も顔を手で覆いました。
「まだそんな初々しいお2人なら新婚生活もまだ慣れない感じですか?」
「え、えぇそうね。」
「僕なんて家にいても全然落ち着かないよ。ずっと鼓動がしてるんだ。」
2人が顔を赤らめつつも幸せそうに話し出すと、ふわっといい香りが漂いました。そしてその匂いのままに、薔薇紳士が淹れたての紅茶を2人の前に置きました。
「どうぞ、淹れたての紅茶です。お2人のご結婚お祝いです。」
「わぁ、ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
お礼を言って同時にこくりと紅茶を飲んだ2人は、幸せそうな笑みを浮かべました。
「おいしいです!」
「ありがとうございます。時に松村様、先ほどお話を聞いてしまったのですが...」
「えっ!すみません、何か恥ずかしい...。」
「いいえ、とても幸せそうなお話で私まで嬉しい気持ちになりました。ありがとうございます。...松村様、今はお2人でいると鼓動も止まらないことでしょう。しかしいずれその鼓動の高鳴りもなくなっていくと思います。2人でいいることに慣れるからです。でもそれが無くなった時、相手に冷めたのではなく、安心できる場所に変わったということをお忘れなきよう。」
薔薇紳士はそれだけ言うと、カウンターに戻っていきました。真由美と雅は薔薇紳士の言葉に2人で顔を見合わせました。
「いつかなれちゃうその時まで、しっかりドキドキしてればいいですよ!」
「そ、それも何だか恥ずかしいのだけれど...!」
「いいじゃないか。いつかドキドキし無くなった時、また改めて君に愛してると伝えるよ。」
「なっ...!恥ずかしいからやめてよ!」
「あはは。」
ドキドキしなくなる、胸が高鳴らななるのは相手に冷めたから?いいえ、違います。ドキドキして落ち着かない状態から、一緒にいて安心できる場所に変わっただけです。相手への思いの表れが変わった時にまた、愛を伝えてみてはどうでしょう。
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