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近くにいるときは
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カランカラン
「いらっしゃみませ。」
「いらっしゃいませ~。」
ここは悩めるお客様が来店される喫茶店。本日のお客様は浮かない顔をした男子高校生です。
「こんにちは。こちらのお席へどうぞ。」
いちごに促された男子高校生は席に座るや否やはぁぁぁあっと大きなため息を漏らしました。
「大きなため息ですね!何かあったんですか?」
「店員さん聞いてよ!俺、生まれた時から一緒だった幼馴染がいるんだけどさ!そいつ転校するんだって!俺のそばからいなくなんの!もう俺ショックすぎて...!」
男子高校生はいちごの言葉に堰を切ったように話し出しました。感情的な言葉一つ一つが、本当にショックを受けている思いを感じます。
「俺ら本当にずっと近くにいたのなのにもうめっちゃ遠くなる!寂しすぎんじゃんそんなの!店員さんどう思う!?」
「そりゃあ寂しいですよ~。」
「だろ!?幸樹...あ、その幼馴染幸樹っていうんだけど。俺は三吉住春ね。で、幸樹のやつ転校すること俺に言ってくんなかったってのも頭に来てて!俺幸樹の親に教えてもらって初めて知ったんだよ!アイツ本人から聞きたかったし!」
住春は、本当に幼馴染のことを思っているからこそ怒り、悲しみ、戸惑っているのです。いちごはそんな住春の想いに共感の言葉をかけることしかできません。
「住春くんは本当に幸樹君のこと好きなんですね。」
「おうよ!あ、恋愛的な意味じゃないよ?友情的なやつね?」
「分かってますよ。」
いちごに自分のもやもやを全てぶつけた住春は少し落ち着いた様子になり、カウンターに頬杖をつきました。
「あーあ、ねぇ、オレどうすればいいと思う?」
「そうですね...。」
住春のまっすぐな質問にいちごが答えあぐねているとふわっと良い香りがしてきました。
「三吉様、こちら淹れたてですよ。どうぞ。」
「おー!ありがとうございます!めっちゃいい香り!」
住春は興奮した声を上げると、ゆっくり紅茶を飲みました。
「うー、美味し!」
「それは良かったです。時に三吉様、先ほどの質問ですが。」
「え?」
「私の勝手な回答ですが...会いに行けば良いかと思います。」
「え、いや、まあそうかもしんないけどさ...そこそこ遠いし...。」
「三吉様、幼馴染様が近くにいるとき、必ずそばにいてくれていたんでしょう?確かに距離が離れれば今まで通り簡単に会うことは出来ないでしょう。でも、そこで本当に会わなくなればおしまいです。本当に会いたければ、本当に近くにいたければ、会いに行くしかないのです。そしてそれは、幼馴染様も同じ気持ちでいるのではないでしょうか。だから貴方にわざわざ会えなくなると告げなかったのだと私は思いますよ。」
「...。」
薔薇紳士の言葉に住春は黙ります。
「自分は...幸樹くんがどんな思いで言わなかったのかは分からないけど、もし自分が同じ立場だったらって考えた時、やっぱり言えないと思う...。だって、口に出したら本当に会えなくなりそうだし、それに、どこか関係が変わっちゃう気がするから。」
「アイツもそんな気持ちなのかな...。」
「それは分からないよ。聞いてみないと。」
「...そうだよな。聞かないと分かんない。よし、オレちゃんと話す。店員さんあんがとね!」
「いいえ。」
どんな別れだって、死の別れでなければいつでも会えます。本当に会いたいと思い、行動に移すなら。会いたいなら会いに行けばいい。側にいたいなら近づくしかないのですから。
「いらっしゃみませ。」
「いらっしゃいませ~。」
ここは悩めるお客様が来店される喫茶店。本日のお客様は浮かない顔をした男子高校生です。
「こんにちは。こちらのお席へどうぞ。」
いちごに促された男子高校生は席に座るや否やはぁぁぁあっと大きなため息を漏らしました。
「大きなため息ですね!何かあったんですか?」
「店員さん聞いてよ!俺、生まれた時から一緒だった幼馴染がいるんだけどさ!そいつ転校するんだって!俺のそばからいなくなんの!もう俺ショックすぎて...!」
男子高校生はいちごの言葉に堰を切ったように話し出しました。感情的な言葉一つ一つが、本当にショックを受けている思いを感じます。
「俺ら本当にずっと近くにいたのなのにもうめっちゃ遠くなる!寂しすぎんじゃんそんなの!店員さんどう思う!?」
「そりゃあ寂しいですよ~。」
「だろ!?幸樹...あ、その幼馴染幸樹っていうんだけど。俺は三吉住春ね。で、幸樹のやつ転校すること俺に言ってくんなかったってのも頭に来てて!俺幸樹の親に教えてもらって初めて知ったんだよ!アイツ本人から聞きたかったし!」
住春は、本当に幼馴染のことを思っているからこそ怒り、悲しみ、戸惑っているのです。いちごはそんな住春の想いに共感の言葉をかけることしかできません。
「住春くんは本当に幸樹君のこと好きなんですね。」
「おうよ!あ、恋愛的な意味じゃないよ?友情的なやつね?」
「分かってますよ。」
いちごに自分のもやもやを全てぶつけた住春は少し落ち着いた様子になり、カウンターに頬杖をつきました。
「あーあ、ねぇ、オレどうすればいいと思う?」
「そうですね...。」
住春のまっすぐな質問にいちごが答えあぐねているとふわっと良い香りがしてきました。
「三吉様、こちら淹れたてですよ。どうぞ。」
「おー!ありがとうございます!めっちゃいい香り!」
住春は興奮した声を上げると、ゆっくり紅茶を飲みました。
「うー、美味し!」
「それは良かったです。時に三吉様、先ほどの質問ですが。」
「え?」
「私の勝手な回答ですが...会いに行けば良いかと思います。」
「え、いや、まあそうかもしんないけどさ...そこそこ遠いし...。」
「三吉様、幼馴染様が近くにいるとき、必ずそばにいてくれていたんでしょう?確かに距離が離れれば今まで通り簡単に会うことは出来ないでしょう。でも、そこで本当に会わなくなればおしまいです。本当に会いたければ、本当に近くにいたければ、会いに行くしかないのです。そしてそれは、幼馴染様も同じ気持ちでいるのではないでしょうか。だから貴方にわざわざ会えなくなると告げなかったのだと私は思いますよ。」
「...。」
薔薇紳士の言葉に住春は黙ります。
「自分は...幸樹くんがどんな思いで言わなかったのかは分からないけど、もし自分が同じ立場だったらって考えた時、やっぱり言えないと思う...。だって、口に出したら本当に会えなくなりそうだし、それに、どこか関係が変わっちゃう気がするから。」
「アイツもそんな気持ちなのかな...。」
「それは分からないよ。聞いてみないと。」
「...そうだよな。聞かないと分かんない。よし、オレちゃんと話す。店員さんあんがとね!」
「いいえ。」
どんな別れだって、死の別れでなければいつでも会えます。本当に会いたいと思い、行動に移すなら。会いたいなら会いに行けばいい。側にいたいなら近づくしかないのですから。
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