断罪イベント成功 成功者は誰?

めい

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Shall we dance?

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パーティー会場

馬車が多く行きかう学院。

車止めに入る前の大渋滞をゆったり馬車の中で待つ。

後方から割り込んで入場するために何台かの馬車が横を通り過ぎていく。

全てに対して優遇される王族や高位の者の特権。
ダイアナも第2王子の婚約者として、特権を使える身分であったが、
通常の登下校も含めて特権を使用した事はない。

なぜか、リリーは使っている。
それを疑問に思うものをいるが、王子や取り巻きが目や耳を光らせているので、
表立って言うものはいない。

その苦情までダイアナに向けられる

「なぜ、彼女が特権をつかえるのか?」
そう生徒たちに詰め寄られても、ダイアナは答えられない。
使用しているからには、王子たちが許可したものだろう。

以前に王子に、
「みだりに特権を使用させるのは、いかがなものか?」
と注意をしたら、一緒にいたマルクスから詰め寄られた。

「元庶民のリリーは貴族らしい馬車がない。だから自分のものを使わせている
宰相家の馬車には特権があるのだから、使用するのは勝手だろう」と

本当に謎だ。

貴族の馬車を持っていない者は、他にもいる。

また、特権は馬車に与えられたものではなく、
中に乗っている者に与えられているのだ。

なぜ、それを理解できないのであろうか?

マルクスは、決して頭が悪いわけでない。その彼の反論とは思えない……

だが、一事が万事その調子である。

割り込む事にもダイアナは疑問を持っている。
早く行きたいのであれば、家を早く出れば良いのであるし、
最悪、待っていて間に合わないのあれば、降りて歩いてしまえば良い。
そんな風に思ってしまう。

リリーに特権を使用している事は不思議だが、興味はない。

特権の乱用が、この程度の事で終われば良いが、
エスカレートして、もっと悪いことに使われていくのを恐れて注意したのである。
王家や上級貴族の特権は、それほどに強い。

そんな事をツラツラ考えていると
馬車は会場の前の車寄せに着いたようだ

ドアが開けられ、従者に手を差し伸べられて場所を降りると、どよめきが起きた。
それは、そうだ。
卒業するウィリアム王子の婚約者である自分が一人で会場に降り立ったのである。

侮辱する顔、悲壮な顔、あざける顔、色々な表情が見えてくる。

貴族として、そこまで表情を前面に出して良いのかと、思わず苦笑してしまった。

背筋を伸ばし、微笑をたたえ、
一人で歩き出すと、目の前のドアが大きく開けられた。

学院内最大の講堂。

入学式や卒業式やパーティーなどが行われる会場。
玄関のドアを開けると簡単な休憩スペース。
さらに進むと会場の入り口のドアがある。

ドアの前に一人で立つと、
ドアマンが目を見開いた。
一人で立つダイアナにドアを開けて良いかどうか迷っているようだ。

手で軽く合図をする。
意が伝わったようで、両扉のドアマンが観音開きに大きくドアを開けた。

開かれたドアからは、人々の声が聞こえていたが、
ダイアナに気づくと、話すのをやめ、シーンと静まり返った。

ダイアナは満面の笑みを浮かべ、
誰にともなく会場へ美しい礼をして部屋の中に歩き始めた。
近くにいた生徒は思わず息をのんだ、
美しく見本のような礼であり。
ダイアナの美しさに、近くにいたもの全てが見惚れた瞬間であった。

会場に入り、奥の壁に場所を決めると、
ゆったりと周りに目を走らせる。

(腫れ物に触るようだわね)

王子の婚約者である自分が一人で会場入りした。

ウィリアム王子は、女性をエスコートして先にパーティーを楽しんでいるようだ。
一か所、華やかに人が集まっている場所があり、
その中心で、大きな笑い声を振りまいているのが
王子とパートナーのリリーなのだろう。

王子の側近たちは、それぞれの婚約者をパートナーにしているようだが、
彼女たちからの愚痴は、よく聞いている。

ウィリアム王子と関係が確定する前はマルクスや他の者とも、仲が良かったようだ。

羨ましいことだが、婚約者を本気で愛している女性もいて、
みんなヤキモキしていた。
彼女たちからすると、リリーの相手がウィリアムに固定されたことにより、
自分の婚約者たちと関係を修復したのだろうと思っていたが、
どうも、そうでもないらしい。
能面のような顔をした婚約者の女性を横に連れて、男性陣とリリーだけが楽しそうに見える。


そんな会場を見ていると、
音楽が聞こえ始めた。
ダンスが始まる合図の曲だ。
この曲が終わったらダンスタイムの始まりである。


ウィリアムがリリーの手を取った。
リリーから、
「私でよいのですか??ファーストダンスはダイアナ様と踊ってくださいませ」
という声が聞こえてきた。

何を今さら‥‥‥‥
今ここにいる時点で、それを言う資格がないのでないのか。

「リリーは、優しいんだな」
ウィリアム王子の声が聞こえた。

ここまで離れているのに聞こえてくるなんて、
どれだけ大きな声で話しているのだろう?

背を伸ばして、こちらに歩いてくる二人に笑いかける。

「ダイアナ!!俺のパートナーはリリーだ
ファーストダンスを踊るのも彼女だ、誰からも文句を言わせん」

いったい誰がこの状況で文句を言うのであろうか?
全く意味がわからない。

「殿下の仰せのままに」

礼をして、顔を上げると

リリーの不機嫌な顔が目に入る。

………どうやら、文句を言って欲しかったらしい。

次の瞬間には、優し気な笑顔にかわって、ウィリアムをウットリと見上げて腕を絡ませた

「ふっ、わかっているようだな。
では、リリー嬢、一曲お相手を」

冷ややかな周りの目を物ともせず、二人だけの世界を作り
会場の中央に戻りポジションを取ると音楽が流れてきた


ダンスが3曲
その後に卒業生代表、在校生代表のスピーチが入り
ダンスが5曲
卒業生退場
ダンス1曲
終了

…………が、例年の流れ

何かあるとしたら、卒業生代表で王子が拡声ステッキを持った時かしら?
それまで退屈だわね。
まさか対抗して、他の方とダンスをするわけにはいかないし……

などと考えているうちに、
ダンスは2曲目に入った。王子はどうやら2曲目もそのまま踊るらしい。
独身の者が2曲連続でダンスをするのは婚約者のみ。
どうやら、周りにリリーが自分の婚約者なんだと知らしめるようだ。

1曲目のダンスを終わらせたものがホールの中央から戻ってくる。
その中で周りに声を掛けられるのを優雅にかわしながらダイアナに向かってくる女性がいた。

「ダイアナ様、ごきげんよう」

声をかけてきたのは、王太子の婚約者でウィリアム王子と同級生の公爵令嬢アイリス様

「………ごきげんよう。
あら、王太子殿下はご一緒ではありませんの?」

ファーストダンスのお相手は、婚約者の王太子ではなく、
彼女の弟だった。

「殿下は、隣国への視察に出かけていますの。
卒業パーティーには帰ってくるようにおっしゃられていたのですが、
かの国で天候不順にあって、道がふさがってしまっているようですの。
まぁ、こんなバカバカしいパーティー参加しなくて正解ですけどね」

苦々しくウィリアムとリリーを見ながら言い捨てる

「お姉さま、ご自分の卒業パーティーではないですか。
殿下も、きっと姉さまの美しい姿を見たかったと思いますよ」

アイリスのドレスは王太子殿下からプレゼントだ。
殿下の目の色と同じ群青のサファイアのネックレスに、髪の色と同じ金に輝くドレス。

「嫌よ、こんなドレス。
リリーと同じじゃない!!
何なのいったい、ウィリアム王子は何を考えているのかしら!!」

両手にドリンクを持ったアイリスの弟。
私と同学年のマイクが苦笑しながら、アイリスと私にドリンクを渡してきた。

そう、リリーはウィリアム王子の髪の色と同じ金にも見える濃い黄色のドレスに、
王太子よりも少し薄い目の色で王子の色アクアマリンのネックレス。
兄弟で同系色の目と髪を持っているので、
送ったドレスが似通ってしまった。

アイリスと王太子は私と同じで幼いころからの婚約者。
ただ、二人はお互いに好きあっていて、
いつもケンカをしたり、仲直りをしたり微笑ましいカップルだ。

「アイリス様の方が素敵ですよ。何より王太子殿下が悩みに悩んで決めたのですから」

クスクスと笑いながらアイリスのドレスを褒める。
3か月ほど前に兄のトルスタインを通じて相談を受けた。
悩みすぎて、仕事にならないから相談に乗ってやれと……

「あら、やっぱり、ダイアナ様に相談されたのね?
殿下にしては、気の利いたドレスだと思っていたのよ。
………そういえば、ドレスの注文をした時にウィリアム様が一緒にいたような事を言ってたわ。
なんてバカなの、真似したのね!!
殿下が今日いなくて良かったわ、いたら烈火のごとく怒っているところね」

大きくため息をつくアイリス様。

うん、本当に烈火のごとく怒りそう、火の魔法が使える王太子殿下。
洒落にならない。

「私がアドバイスしたのは殿下のお色のドレスとアクセサリーが良い。って事だけですのよ
あとは殿下が決めたんだと思いますわ。
悩みすぎて、仕事が溜まって大変だ……って兄が怒ってたから」

「そうなの??だとしたら殿下にしては………
そんなの伺ったら、余計にウィリアムが許せないわ」

年上の方に思うのは、不謹慎だと思うのだけど、本当に可愛らしいカップルだわ。

敬称が抜けちゃってますね
ウィリアムって呼び捨てになってますよ。

周りのピリピリしは空気とは全く異なり、
楽し気に3人で話している間にダンスの時間が終了したらしい。

ウィリアム王子が正面に整えられた舞台へ上がっていった

断罪イベントの開幕である
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