箱入りの魔法使い

転入生

選択

「ナツさん？なんでここに...」

「リッカ君、君の交流会参加が許可されたんだ！」

彼はまるで自分のことのように喜びながらその報告をしに来たのだ。

「えっ本当ですか」

「あぁ、君には1年から多くの経験をして欲しいって僕が頭を下げたら許可が降りたよ」

本当はカールさんのところで後1日は過ごす予定だったが、交流会に行かない理由は無い。

「じゃあ、すいませんカールさん」

僕は早めに身支度を済ませ、最後にカールさんに一礼して街を出た。

本当は腫瘍の羽を使ってとっとと飛んでいきたいが、ナツさんがいるし、何と馬車で来ているらしい。

「あっ、ナツさんはなんで僕があの村にいるってわかったんですか？あそこは地図にも載ってない場所ですけど」

そこだけが僕の脳内を渦巻くのだ。
そしてあらゆる何かと引っかかろうとしている。

「それは秘密だ」

それからどれほど会話しただろう、いや1度もしてなかったかもしれない。

しかし交流会の会場から火の煙が見えるのは馬車に乗って20分程のことだった。