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終話 それぞれの未来
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その後の会議で、フォーリア国王は王政をローレンツ家へ明け渡すことを明言した。
事実上、フォーリア王国の滅亡である。
一方ローレンツ家では誰がどの位置に付くかの話し合いとなり、場面はローレンツ侯爵の屋敷へと移る。
⸺⸺ローレンツ侯爵の屋敷⸺⸺
「俺は孤島の城でエマと2人で静かに暮らしたい!」
オスカーは開口一番にそう高らかに宣言をした。
私は少し驚いたけど、でも、オスカーがそう言ってくれたら嬉しいなって気持ちは確かにあった。ただ、長男である以上そう上手く行くのか……。
「しょうがないですね。まぁあの孤島もずっと放ったらかしになってたから誰かが管理はしないといけませんし……」
と、エド。
「兄さんは小さい頃から俺らを守るためにひとり犠牲になってくれていた。俺は、兄さんの希望を叶えてあげたい」
と、ハンスさん。
「私は息子たちの意志を1番に尊重します」
と、お母様イザベラさん。
「皆、ありがとう!」
オスカーは嬉しそうに笑っていた。
あれ、意外に上手くいった……。それはきっと、私の知る前の彼の並々ならぬ努力が認められてのことであろうと私は思った。
次にエドが口を開く。
「僕は、ユカリを妻に娶ります。それから普通の暮らしをしながら彼女のしたいことを一緒に考えたい。ですので、爵位は返上して王都に一軒家を建ててそこに住みます」
「そうだな……ユカリに貴族の公務を押し付けるのは酷だろうな。だがそうなると……残ったハンスが……」
と、オスカー。話を振られたハンスさんが答える。
「俺が国王になると言うことだろう? むしろ……いいのか? 俺としては願ってもない幸運なんだが……」
「ハンスは……いつか国王の座を奪ってやるって野望があったのですよ」
イザベラさんがそう言ってクスクスと笑う。
「何、そうだったのか! それは知らなかったな……と、言うことは……」
オスカーがそう言いかけると、エドが続く。
「僕らのことは丸く収まりそうですね!」
「では、次に騎士団をどうするかだな」
そうハンスさんが仕切り始め、トントン拍子に色んなことが決まっていった。
⸺⸺1ヶ月後。
王都でハンスさんの戴冠式が行われ、ローレンツ王国の復刻が宣言された。
そして、新生ローレンツ城の玉座の間で、主要人物への地位の任命が行われていく。
まずお母様イザベラさんは、王太后としてハンス国王のサポートを。
オスカーには公爵の地位と、孤島の領地権を。
エドは伯爵の地位を返上し、代わりにロレリアの聖域に神殿を建て、神官として“聖女ユカリ”と共にその土地の守護を任された。
実際には月に1度のお参りだけで、2人には王都での普通の暮らしが待っている。
そして神殿に住んで管理をするのは、元フォーリア国王夫妻が担当することとなった。
ノエルのご両親、ガルディウス公爵夫妻は騎士団長と副騎士団長への復権を。
ノエル本人はレベッカと再会したことにより責任感が出てきたのか、ハンス国王から宰相になってほしいと言われ、二つ返事でOKしていた。
そしてレベッカとの婚約は継続している、とのこと。
私はと言うと、20年前の王都民と今の王都民がごった返しになってしまっていたので、クラフトのスキルを最大限に活かし、まずは王都の復興に尽力した。
そして王都を復興前の倍ほどの面積に広げると、次にロレリアの神殿の建築を行った。
それも終わると国の英雄と称えられながら、オスカーと共に孤島の城へと帰還する。
そこで、彼と共に2人だけの幸せな生活を送るのであった。
⸺⸺おしまい⸺⸺
事実上、フォーリア王国の滅亡である。
一方ローレンツ家では誰がどの位置に付くかの話し合いとなり、場面はローレンツ侯爵の屋敷へと移る。
⸺⸺ローレンツ侯爵の屋敷⸺⸺
「俺は孤島の城でエマと2人で静かに暮らしたい!」
オスカーは開口一番にそう高らかに宣言をした。
私は少し驚いたけど、でも、オスカーがそう言ってくれたら嬉しいなって気持ちは確かにあった。ただ、長男である以上そう上手く行くのか……。
「しょうがないですね。まぁあの孤島もずっと放ったらかしになってたから誰かが管理はしないといけませんし……」
と、エド。
「兄さんは小さい頃から俺らを守るためにひとり犠牲になってくれていた。俺は、兄さんの希望を叶えてあげたい」
と、ハンスさん。
「私は息子たちの意志を1番に尊重します」
と、お母様イザベラさん。
「皆、ありがとう!」
オスカーは嬉しそうに笑っていた。
あれ、意外に上手くいった……。それはきっと、私の知る前の彼の並々ならぬ努力が認められてのことであろうと私は思った。
次にエドが口を開く。
「僕は、ユカリを妻に娶ります。それから普通の暮らしをしながら彼女のしたいことを一緒に考えたい。ですので、爵位は返上して王都に一軒家を建ててそこに住みます」
「そうだな……ユカリに貴族の公務を押し付けるのは酷だろうな。だがそうなると……残ったハンスが……」
と、オスカー。話を振られたハンスさんが答える。
「俺が国王になると言うことだろう? むしろ……いいのか? 俺としては願ってもない幸運なんだが……」
「ハンスは……いつか国王の座を奪ってやるって野望があったのですよ」
イザベラさんがそう言ってクスクスと笑う。
「何、そうだったのか! それは知らなかったな……と、言うことは……」
オスカーがそう言いかけると、エドが続く。
「僕らのことは丸く収まりそうですね!」
「では、次に騎士団をどうするかだな」
そうハンスさんが仕切り始め、トントン拍子に色んなことが決まっていった。
⸺⸺1ヶ月後。
王都でハンスさんの戴冠式が行われ、ローレンツ王国の復刻が宣言された。
そして、新生ローレンツ城の玉座の間で、主要人物への地位の任命が行われていく。
まずお母様イザベラさんは、王太后としてハンス国王のサポートを。
オスカーには公爵の地位と、孤島の領地権を。
エドは伯爵の地位を返上し、代わりにロレリアの聖域に神殿を建て、神官として“聖女ユカリ”と共にその土地の守護を任された。
実際には月に1度のお参りだけで、2人には王都での普通の暮らしが待っている。
そして神殿に住んで管理をするのは、元フォーリア国王夫妻が担当することとなった。
ノエルのご両親、ガルディウス公爵夫妻は騎士団長と副騎士団長への復権を。
ノエル本人はレベッカと再会したことにより責任感が出てきたのか、ハンス国王から宰相になってほしいと言われ、二つ返事でOKしていた。
そしてレベッカとの婚約は継続している、とのこと。
私はと言うと、20年前の王都民と今の王都民がごった返しになってしまっていたので、クラフトのスキルを最大限に活かし、まずは王都の復興に尽力した。
そして王都を復興前の倍ほどの面積に広げると、次にロレリアの神殿の建築を行った。
それも終わると国の英雄と称えられながら、オスカーと共に孤島の城へと帰還する。
そこで、彼と共に2人だけの幸せな生活を送るのであった。
⸺⸺おしまい⸺⸺
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サクッとまとまった‼️と楽しみました🎵
楽しんでいただけて良かったです!感想ありがとうございます(*ᴗ ᴗ)⁾⁾♪