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第三章 打倒、赤ずきん
35話 神器の羽根
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瑠斗君が口を開く。
「大天使ミカエルが8階の吹き抜けから降りてきたとき、ある御神体がシャンデリアの上にあることに気付いたんです」
「そ、それは……?」
「ヒンドゥー教のヴィシュヌ神です。あの時は他の御神体同様、そこに居る、くらいにしか考えなかったのですが、確か彼はガルダという鳥の乗り物に乗っていたように思います。ガルダの羽根には傷を癒やす効果があります。それをもらいましょう!」
「私、まだ神器もらってないし、私が行く!」
「8階の吹き抜けなら飛んでいかないとだよな。よし、俺が紫音を連れて行くから、瑠斗は陽翔を見ててくれ」
瑠斗君がこくんと頷き、私と空悟さんは部屋を飛び出して本館の8階へと急いだ。
⸺⸺本館8F⸺⸺
吹き抜けのある通路へと出て、2人で天井を見上げる。
「おぉ、確かにあの巨大なシャンデリアの上になんかいるな……」
「早速行ってみよう!」
「おうよ」
私は空悟さんに後ろから抱えられて、ふわりふわりと高度を上げてシャンデリアの上へと辿り着く。
4本腕の男性が鳥に乗っている像がそこにはあった。
「ヴィシュヌ様! 私の仲間が瀕死の重症で、良ければそのガルダという鳥さんの羽根を1枚分けてはもらえませんか?」
すぐに像がピカーッと光り、ヴィシュヌとガルダが姿を現す。ガルダは真っ赤な翼に黄金の身体で派手で存在感が抜群だった。
『貴殿は紫音。仲間というのは?』
ヴィシュヌは静かに問う。
「陽翔さんです」
『スサノオ殿の継承者だな。良かろう。貴殿らの活躍はここから存分に見ている。ガルダ、羽根を1枚分けてあげなさい』
『承知』
ガルダも普通にしゃべるのか……。そう思っていると、ガルダは自身の羽根をくちばしで1枚むしり、私へと差し出してくれた。
「ありがとうございます!」
その真っ赤な羽根を受け取った瞬間、羽根から強い光が放たれる。
『ワシの羽根は致命傷をも一瞬で治す。陽翔の傷の上にかざしてみるが良い』
と、ガルダ。
「分かりました! では、早く治してあげたいので失礼します」
『あぁ、紫音、ちょっと待て』
「ヴィシュヌ様? 何でしょう」
『陽翔を治してからで構わない。後で我が頼みを聞いてはくれまいか』
「分かりました。陽翔さんを治したらすぐに戻って来ます!」
『感謝する。では、行ってあげなさい』
ヴィシュヌとガルダへ深く礼をして、空悟さんに8階へと降ろしてもらう。
そして再び3階へと駆け戻り、宿泊館の301号室へと飛び込んだ。
⸺⸺宿泊館3F 301号室⸺⸺
「陽翔さん!」
「陽翔!」
陽翔さんはベッドに横たわり、意識がないようだった。
「お二人ともお帰りなさい! その羽根は……! 良かった、譲ってもらえたんですね」
瑠斗君はホッと肩を撫で下ろした。
「陽翔さん……死んでないよね……?」
「大丈夫です。意識はなくなってしまったのですが、脈はあります。急いで治しましょう」
「うん……!」
ガルダの羽根を陽翔さんの脇腹の上でひらひらさせる。
すると、光の粉のようなものがサラサラと降りかかり、淡い光が陽翔さんの脇腹の辺りを包み込んだ。
「んん……」
陽翔さんはすぐにそう唸りながら意識を取り戻し、身体を起こした。
「陽翔さん!」
「陽翔、大丈夫か!?」
「あれ? 嘘だろ、腹が全く痛くない……」
陽翔さんがそう言って服を捲ると、傷痕1つない綺麗な腹筋が顕になった。
「うわぁぁん! 良かったぁ~」
私は泣きながら陽翔さんへと抱き着く。
「うわっ、紫音!? その羽根は……そうか、俺の為に神器をもらってきてくれたんだな、ありがとう……」
陽翔さんは私の頭をよしよしと撫でてくれた。
「大天使ミカエルが8階の吹き抜けから降りてきたとき、ある御神体がシャンデリアの上にあることに気付いたんです」
「そ、それは……?」
「ヒンドゥー教のヴィシュヌ神です。あの時は他の御神体同様、そこに居る、くらいにしか考えなかったのですが、確か彼はガルダという鳥の乗り物に乗っていたように思います。ガルダの羽根には傷を癒やす効果があります。それをもらいましょう!」
「私、まだ神器もらってないし、私が行く!」
「8階の吹き抜けなら飛んでいかないとだよな。よし、俺が紫音を連れて行くから、瑠斗は陽翔を見ててくれ」
瑠斗君がこくんと頷き、私と空悟さんは部屋を飛び出して本館の8階へと急いだ。
⸺⸺本館8F⸺⸺
吹き抜けのある通路へと出て、2人で天井を見上げる。
「おぉ、確かにあの巨大なシャンデリアの上になんかいるな……」
「早速行ってみよう!」
「おうよ」
私は空悟さんに後ろから抱えられて、ふわりふわりと高度を上げてシャンデリアの上へと辿り着く。
4本腕の男性が鳥に乗っている像がそこにはあった。
「ヴィシュヌ様! 私の仲間が瀕死の重症で、良ければそのガルダという鳥さんの羽根を1枚分けてはもらえませんか?」
すぐに像がピカーッと光り、ヴィシュヌとガルダが姿を現す。ガルダは真っ赤な翼に黄金の身体で派手で存在感が抜群だった。
『貴殿は紫音。仲間というのは?』
ヴィシュヌは静かに問う。
「陽翔さんです」
『スサノオ殿の継承者だな。良かろう。貴殿らの活躍はここから存分に見ている。ガルダ、羽根を1枚分けてあげなさい』
『承知』
ガルダも普通にしゃべるのか……。そう思っていると、ガルダは自身の羽根をくちばしで1枚むしり、私へと差し出してくれた。
「ありがとうございます!」
その真っ赤な羽根を受け取った瞬間、羽根から強い光が放たれる。
『ワシの羽根は致命傷をも一瞬で治す。陽翔の傷の上にかざしてみるが良い』
と、ガルダ。
「分かりました! では、早く治してあげたいので失礼します」
『あぁ、紫音、ちょっと待て』
「ヴィシュヌ様? 何でしょう」
『陽翔を治してからで構わない。後で我が頼みを聞いてはくれまいか』
「分かりました。陽翔さんを治したらすぐに戻って来ます!」
『感謝する。では、行ってあげなさい』
ヴィシュヌとガルダへ深く礼をして、空悟さんに8階へと降ろしてもらう。
そして再び3階へと駆け戻り、宿泊館の301号室へと飛び込んだ。
⸺⸺宿泊館3F 301号室⸺⸺
「陽翔さん!」
「陽翔!」
陽翔さんはベッドに横たわり、意識がないようだった。
「お二人ともお帰りなさい! その羽根は……! 良かった、譲ってもらえたんですね」
瑠斗君はホッと肩を撫で下ろした。
「陽翔さん……死んでないよね……?」
「大丈夫です。意識はなくなってしまったのですが、脈はあります。急いで治しましょう」
「うん……!」
ガルダの羽根を陽翔さんの脇腹の上でひらひらさせる。
すると、光の粉のようなものがサラサラと降りかかり、淡い光が陽翔さんの脇腹の辺りを包み込んだ。
「んん……」
陽翔さんはすぐにそう唸りながら意識を取り戻し、身体を起こした。
「陽翔さん!」
「陽翔、大丈夫か!?」
「あれ? 嘘だろ、腹が全く痛くない……」
陽翔さんがそう言って服を捲ると、傷痕1つない綺麗な腹筋が顕になった。
「うわぁぁん! 良かったぁ~」
私は泣きながら陽翔さんへと抱き着く。
「うわっ、紫音!? その羽根は……そうか、俺の為に神器をもらってきてくれたんだな、ありがとう……」
陽翔さんは私の頭をよしよしと撫でてくれた。
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