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第三章 打倒、赤ずきん

40話 揃った石版

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「よし、ちゃんと『熊の神経』って書いてあるな……」
 陽翔さんが石版を拾い上げてそう言う。
「遂に、揃いましたね!」
 瑠斗君は大興奮だ。

 まだフェンリルを呼び出せてはいないのに、皆で達成感を味わう。
 その日は10階を制圧したり、知り合った神様に色々と報告をしたりして6時間のノルマを終え、皆ゆっくりと休息を取った。

⸺⸺翌日。祭典22日目。

⸺⸺本館9F⸺⸺

 フェンリルの像の前に集った私たち。そして、フェンリルの足元の残った3つのくぼみに新たに手に入れた“猫の足音”、“鳥の唾液”、そして“熊の神経”の石版をはめ込んでいく。

 すると全てはまった瞬間石版が強く光り輝き、目の前にまるで犬のリードに繋がれたかのような巨大な狼が出現した。

『グルルルル……』
「フェンリル……大丈夫なんだよね? 襲って来ないよね?」
 フェンリルの前で手を振ってみるが、特に襲ってくる様子もなくドッシリと構えていた。
「大丈夫そうだな……」
 と、陽翔さん。

「みんな手、空いてた方が良いと思うし、私がこのグレイプニルって紐引っ張るね?」
「紫音の力で引けるのか?」
 と、空悟さん。

 試しにツンツンと引っ張ってみると、フェンリルはのしのしと素直に引っ張られていた。
「おぉ、ちゃんと従えられているようですね!」
 瑠斗君が興奮気味に言う。

「よし、この大きさだとエレベーターにはとても乗りそうもないから、このまま階段で1階まで行くぞ」
「了解」

 陽翔さんを先頭に、9階から1階までゆっくりと階段を降りていく。

 本当にフェンリルで赤ずきんちゃんの動きを抑えることができるのだろうか。それでももう残ったヴィランは赤ずきんちゃんとお婆さんのみ。
 このフェンリルの役目はこれで合ってる、大丈夫だ。

 そんな事を考えながら降りる階段は、なんだかとても長く感じた。

 途中の5階へ降りたときの通路でシンデレラとすれ違う。彼女は立ち止まってこちらに深く礼をしてくれた。もう残る赤ずきんちゃん以外みんな鎮魂させたから、シンデレラの敬意も最高潮なんだ。

 長い長い階段を下り終える。

⸺⸺そして、1階へと到着をした。

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