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アラン殿下との婚約解消で傷心(ということになっている)の私は、しばらく母の実家である隣国キャンベル王国に静養に行くことになった。同行はお兄様。滞在先はキャンベル王宮、お母様が現国王の姉なので、お祖母様である王太后さまの宮になった。
「お祖母様、お久しぶりでございます。」
「アルヴィン、エミルフェシア。大きくなったのね。」
お祖母様は、私の事情も知っていて、いつまでも滞在していいと言ってくれているので、お兄様や従兄弟でひとつ上のアーノルド王子と過ごすつもり。
アーノルド王子は、ゲームキャラじゃないけれど、優しいし美人の王妃様に似ていて将来が楽しみな金髪碧眼の美少年。
幼い頃、何回か一緒に遊んでいる時の印象から、お兄様の次くらいに好きな男の子なのよね。
エミルフェシアとしては、お兄様が可愛がってくれるので、元々お兄様大好きだし、恵美としてはアルヴィン様推しなせいで、いまや完全なブラコンになっている。
だから私の中でNo.2は、かなりポイント高い。
そのアーノルド王子は、私たちの到着を聞いてすぐに会いに来てくれた。
「アルヴィン、エイミー。久しぶりだね。」
「アーノルド殿下。お元気でいらっしやいましたか?」
「エイミー。堅苦しいのは無しにしようよ。」
「わかったわ。よろしくね。アーノルド殿下。」
「殿下もいらないよ。アーノルドって呼んでよ。」
「でも…」
アーノルド王子は、私からお兄様に視線を移す。
「ねぇ、アルヴィン。エイミーは婚約なくなったんだよね?僕がエイミー貰いたいんだけど、いいかな?」
「父上は、多分エイミーが納得すれば、あのバカよりアーノルドの方が、いいって言うと思う。でも僕はエイミーは近くにいて欲しいから、あまり賛成したくない。」
「いいんだって!エミルフェシア、僕のこと考えてくれる?」
お兄様、さりげに近くにいて欲しいから反対って何⁈
アーノルド王子もさらっとお兄様の意見はスルーですか?
「ま、ま、まだ、私、婚約解消したばかりだし…」
確かにあの国を出れば、ゲームキャラとは縁が切れるけれど、お兄様が近くで愛でれない。
それに婚約解消したばかりで、はい次とは恵美の常識的に抵抗がある。
「エイミーは、悪くないのに婚約解消したんだよね。だったら、僕との話で、解消したんだって事にしてもいいんだよ。」
優しい笑顔でそう言ってくれるアーノルド王子。
ただ、優しさだけじゃない事は、たいした恋愛経験はないけれど、恵美にはわかった。
結局、
「まだエミルフェシアの心が落ち着いてからの話にしなさい。」
と言うお祖母様の一声で保留になる。
最初は、私を置いて一度戻るつもりだったお兄様は、アーノルド王子の突然の求婚で、私が心配だからと一緒に長期滞在に切り替えてくれる。
もうっ。お兄様は優しいんだから。
3人でお祖母様の宮で、読んだ本について語り合ったり、2人が剣の稽古をしているのを応援して、
「どちらがカッコ良かった。」
ともめられたり、ピクニック行ったりと、推しとNo.2に囲まれた生活は、私には幸せ過ぎて、予定の半年を過ぎても帰る事がなかった。1年を過ぎたあたりでお父様から『寂しいから早く帰れ』と言う手紙を貰い、とうとう帰国する事になった。
帰国当日の朝、アーノルド王子が小ぶりな百合に似た花の花束を持って現れた。
「アーノルド。きれいな花ね。」
「この花の名前、エミルフェシアって言うんだ。」
「私の名前?」
「昔、エイミーの父上、ギルフォード公爵が、伯母上にプロポーズした時にプレゼントした花で、エイミーの名前の由来。キャンベルでしか咲かない花だから、知らなかったでしょ?」
「ありがとう。」
「今日はエイミーに名前の花を教えてたかっただけだから、アルヴィン。」
プロポーズという話に警戒するお兄様を牽制するようにアーノルド王子は笑う。
「アルヴィンよりエイミーに好きになってもらえるようにがんばるよ。だから、他の男の所に行かないで待っていてね。」
耳元で囁かれて、顔が真っ赤になった。
「あ、アーノルド…」
「元気でね。僕のお姫様。」
また、遊びに来るという約束をして、私達は帰国するのだった。
「お祖母様、お久しぶりでございます。」
「アルヴィン、エミルフェシア。大きくなったのね。」
お祖母様は、私の事情も知っていて、いつまでも滞在していいと言ってくれているので、お兄様や従兄弟でひとつ上のアーノルド王子と過ごすつもり。
アーノルド王子は、ゲームキャラじゃないけれど、優しいし美人の王妃様に似ていて将来が楽しみな金髪碧眼の美少年。
幼い頃、何回か一緒に遊んでいる時の印象から、お兄様の次くらいに好きな男の子なのよね。
エミルフェシアとしては、お兄様が可愛がってくれるので、元々お兄様大好きだし、恵美としてはアルヴィン様推しなせいで、いまや完全なブラコンになっている。
だから私の中でNo.2は、かなりポイント高い。
そのアーノルド王子は、私たちの到着を聞いてすぐに会いに来てくれた。
「アルヴィン、エイミー。久しぶりだね。」
「アーノルド殿下。お元気でいらっしやいましたか?」
「エイミー。堅苦しいのは無しにしようよ。」
「わかったわ。よろしくね。アーノルド殿下。」
「殿下もいらないよ。アーノルドって呼んでよ。」
「でも…」
アーノルド王子は、私からお兄様に視線を移す。
「ねぇ、アルヴィン。エイミーは婚約なくなったんだよね?僕がエイミー貰いたいんだけど、いいかな?」
「父上は、多分エイミーが納得すれば、あのバカよりアーノルドの方が、いいって言うと思う。でも僕はエイミーは近くにいて欲しいから、あまり賛成したくない。」
「いいんだって!エミルフェシア、僕のこと考えてくれる?」
お兄様、さりげに近くにいて欲しいから反対って何⁈
アーノルド王子もさらっとお兄様の意見はスルーですか?
「ま、ま、まだ、私、婚約解消したばかりだし…」
確かにあの国を出れば、ゲームキャラとは縁が切れるけれど、お兄様が近くで愛でれない。
それに婚約解消したばかりで、はい次とは恵美の常識的に抵抗がある。
「エイミーは、悪くないのに婚約解消したんだよね。だったら、僕との話で、解消したんだって事にしてもいいんだよ。」
優しい笑顔でそう言ってくれるアーノルド王子。
ただ、優しさだけじゃない事は、たいした恋愛経験はないけれど、恵美にはわかった。
結局、
「まだエミルフェシアの心が落ち着いてからの話にしなさい。」
と言うお祖母様の一声で保留になる。
最初は、私を置いて一度戻るつもりだったお兄様は、アーノルド王子の突然の求婚で、私が心配だからと一緒に長期滞在に切り替えてくれる。
もうっ。お兄様は優しいんだから。
3人でお祖母様の宮で、読んだ本について語り合ったり、2人が剣の稽古をしているのを応援して、
「どちらがカッコ良かった。」
ともめられたり、ピクニック行ったりと、推しとNo.2に囲まれた生活は、私には幸せ過ぎて、予定の半年を過ぎても帰る事がなかった。1年を過ぎたあたりでお父様から『寂しいから早く帰れ』と言う手紙を貰い、とうとう帰国する事になった。
帰国当日の朝、アーノルド王子が小ぶりな百合に似た花の花束を持って現れた。
「アーノルド。きれいな花ね。」
「この花の名前、エミルフェシアって言うんだ。」
「私の名前?」
「昔、エイミーの父上、ギルフォード公爵が、伯母上にプロポーズした時にプレゼントした花で、エイミーの名前の由来。キャンベルでしか咲かない花だから、知らなかったでしょ?」
「ありがとう。」
「今日はエイミーに名前の花を教えてたかっただけだから、アルヴィン。」
プロポーズという話に警戒するお兄様を牽制するようにアーノルド王子は笑う。
「アルヴィンよりエイミーに好きになってもらえるようにがんばるよ。だから、他の男の所に行かないで待っていてね。」
耳元で囁かれて、顔が真っ赤になった。
「あ、アーノルド…」
「元気でね。僕のお姫様。」
また、遊びに来るという約束をして、私達は帰国するのだった。
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