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【アルヴィン視点】
お茶会当日、朝からクリスティアのドレスを確認し、着飾らせて早目に屋敷を出発する。
開始まであと3時間あるが、途中寄りたい場所があるので馬車にクリスティアを乗せて私も乗り込んだ。
「アル様、どうしてこんな早い時間に出かけるのですか。」
クリスティアは不思議そうに尋ねてくる。
「とても大切な用事を先に済ませてから、王宮に行くからね。ティアは、私と一緒にいれば大丈夫だよ。」
そう言うとクリスティアは蕾が綻んだようにふわっと笑った。
うん、今日もかわいい。
私達がお茶会の会場である、王宮の庭園に着いた頃には、もう何人も集まっていた。
「お兄様、クリスティア。いらしたのね。」
エイミーが気が付き、近寄ってくる。
「クリスティア、あなたがこれからお兄様と一緒に身を置くのは、こういう場所よ。しっかりと成果を見せて下さいね。」
課題を出す教師のようにそう言って、他の客のところへ去って行った。
私が、クリスティアを勇気付けるように握った手に少しだけ力を込めるとクリスティアは笑顔でうなづいた。
「あら?クリスティアじゃないの。久しぶりね。」
昼間から派手な出で立ちの親子が近づいてきた。
彼女たちを見た途端、クリスティアの体が固まったように見えた。
「ティア?」
私が心配そうに覗き込むと、たよりなげだけど1人で対処しようというクリスティアの意気込みが見えた。
「いざとなったら私がいるから、やれるだけ頑張ればいいよ。」
そう言って一歩後ろに下がる。
「お義母様、お久しぶりです。」
震える声につい肩を抱きたくなるが、我慢我慢。
「突然、居なくなってギルフォード公爵の婚約者になったとか聞いたけど、どういう事なの。」
一緒にいる娘の方も派手できつい顔立ち、天使の姉とは思えない醜い心が表情に出てるな。
「お父様は私のために公爵との縁談を持って来たはずなのに、この泥棒猫が。そんな幼いフリして、どんな手を使ったのよ。」
いや、私が話を聞いた時からクリスティア一択だったし、クリスティアじゃなかったら、断っていたよな。うん。
「私は、ちゃんとアルヴィン様に望まれて、ここにいます。ターナー伯爵家とは、もう関係ないので今後は話しかけないでいただけますか。」
「な、なんですって。公爵様、こんな身の程知らずな娘は、やめて年齢も近いリリアーナは、どうですか。」
「アルヴィン様、挨拶もなく初対面の上位貴族に話しかける方と話す事はありませんから、参りましょう。」
クリスティアの言葉にリリアーナが手にした扇子を振り上げた。
さすがにクリスティアに当たるようなヘマはしない。私は間に滑り込んだ。
「ターナー伯爵令嬢でしたか?
私の妻に、ギルフォード公爵夫人にたかだか伯爵令嬢が手をあげる気ですか。」
多分、いつもより周りの温度が下がっただろう。こんな不快感はエイミーの事件以来だ。
「公爵様、その子は今、婚約者かもしれませんが伯爵令嬢、バカな夢を見ている妹は叱らないと。」
「私の言ったことを聞いてなかったのか?私の妻と言ったはずだ。」
目の前で魚のようにパクパク口を動かすだけの2人を射殺ろしてやろうかと睨んでいると、絶対わかってやっているだろうエイミーの呑気な声が聞こえた。
「あら?お兄様。妻って結婚したんですの?」
「ああ。誰かがお茶会をやるって言ったから、少しでもかわいいティアを守りたくてね。」
「クリスティア、60点と言いたいけれど勝手にお兄様が暴走したみたいだから80点にしておくわね。合格あげる。」
エイミーは、私達2人だけに聞こえるように言うとウィンクしてから、声を張り上げた。
「さてと、皆さま。嬉しいご報告がありますわ。我が兄、ギルフォード公爵がターナー伯爵令嬢クリスティアと結婚したそうですの。まだまだ若いクリスティアですが、私の義姉になります。祝ってあげてください。」
私達は、お祝いを口にする招待客をそれからしっぱなしだった。
お茶会が終わり、邸に戻るとなぜかアーノルドとエイミーに出迎えられた。
「おかえりなさい。」
「な、なんで主催者が先に着いている?」
「誰かさんと違って、馬を走らせてきたから。それよりアルヴィン、いつ結婚した?上司の私に報告がなかったよな?」
「いや、今日だから。」
「は?」
「お茶会の前に神殿に行って、書類を事務官に提出したままお茶会へ行った。」
「お兄様、それじゃあ準備もろくにせず、今日のお茶会でクリスティアにちゃんとした地位を与えるために結婚したの?」
「クリスティアの立場を考えたのはあるが、元々いつでもいいように準備はしていた…」
「ふーん。クリスティア、とりあえずお兄様はあなたが大人になるのを待てると思うけれど、貞操の危機を感じたら王宮にいらっしゃい。」
「エイミー、なんてことを…」
「ちゃんとクリスティアが大人になるのを待てるわよね?お、に、い、さ、ま。」
「はい、努力します。」
小姑は、兄より義姉の味方になったようだ。
私が待つのはあと何年?
お茶会当日、朝からクリスティアのドレスを確認し、着飾らせて早目に屋敷を出発する。
開始まであと3時間あるが、途中寄りたい場所があるので馬車にクリスティアを乗せて私も乗り込んだ。
「アル様、どうしてこんな早い時間に出かけるのですか。」
クリスティアは不思議そうに尋ねてくる。
「とても大切な用事を先に済ませてから、王宮に行くからね。ティアは、私と一緒にいれば大丈夫だよ。」
そう言うとクリスティアは蕾が綻んだようにふわっと笑った。
うん、今日もかわいい。
私達がお茶会の会場である、王宮の庭園に着いた頃には、もう何人も集まっていた。
「お兄様、クリスティア。いらしたのね。」
エイミーが気が付き、近寄ってくる。
「クリスティア、あなたがこれからお兄様と一緒に身を置くのは、こういう場所よ。しっかりと成果を見せて下さいね。」
課題を出す教師のようにそう言って、他の客のところへ去って行った。
私が、クリスティアを勇気付けるように握った手に少しだけ力を込めるとクリスティアは笑顔でうなづいた。
「あら?クリスティアじゃないの。久しぶりね。」
昼間から派手な出で立ちの親子が近づいてきた。
彼女たちを見た途端、クリスティアの体が固まったように見えた。
「ティア?」
私が心配そうに覗き込むと、たよりなげだけど1人で対処しようというクリスティアの意気込みが見えた。
「いざとなったら私がいるから、やれるだけ頑張ればいいよ。」
そう言って一歩後ろに下がる。
「お義母様、お久しぶりです。」
震える声につい肩を抱きたくなるが、我慢我慢。
「突然、居なくなってギルフォード公爵の婚約者になったとか聞いたけど、どういう事なの。」
一緒にいる娘の方も派手できつい顔立ち、天使の姉とは思えない醜い心が表情に出てるな。
「お父様は私のために公爵との縁談を持って来たはずなのに、この泥棒猫が。そんな幼いフリして、どんな手を使ったのよ。」
いや、私が話を聞いた時からクリスティア一択だったし、クリスティアじゃなかったら、断っていたよな。うん。
「私は、ちゃんとアルヴィン様に望まれて、ここにいます。ターナー伯爵家とは、もう関係ないので今後は話しかけないでいただけますか。」
「な、なんですって。公爵様、こんな身の程知らずな娘は、やめて年齢も近いリリアーナは、どうですか。」
「アルヴィン様、挨拶もなく初対面の上位貴族に話しかける方と話す事はありませんから、参りましょう。」
クリスティアの言葉にリリアーナが手にした扇子を振り上げた。
さすがにクリスティアに当たるようなヘマはしない。私は間に滑り込んだ。
「ターナー伯爵令嬢でしたか?
私の妻に、ギルフォード公爵夫人にたかだか伯爵令嬢が手をあげる気ですか。」
多分、いつもより周りの温度が下がっただろう。こんな不快感はエイミーの事件以来だ。
「公爵様、その子は今、婚約者かもしれませんが伯爵令嬢、バカな夢を見ている妹は叱らないと。」
「私の言ったことを聞いてなかったのか?私の妻と言ったはずだ。」
目の前で魚のようにパクパク口を動かすだけの2人を射殺ろしてやろうかと睨んでいると、絶対わかってやっているだろうエイミーの呑気な声が聞こえた。
「あら?お兄様。妻って結婚したんですの?」
「ああ。誰かがお茶会をやるって言ったから、少しでもかわいいティアを守りたくてね。」
「クリスティア、60点と言いたいけれど勝手にお兄様が暴走したみたいだから80点にしておくわね。合格あげる。」
エイミーは、私達2人だけに聞こえるように言うとウィンクしてから、声を張り上げた。
「さてと、皆さま。嬉しいご報告がありますわ。我が兄、ギルフォード公爵がターナー伯爵令嬢クリスティアと結婚したそうですの。まだまだ若いクリスティアですが、私の義姉になります。祝ってあげてください。」
私達は、お祝いを口にする招待客をそれからしっぱなしだった。
お茶会が終わり、邸に戻るとなぜかアーノルドとエイミーに出迎えられた。
「おかえりなさい。」
「な、なんで主催者が先に着いている?」
「誰かさんと違って、馬を走らせてきたから。それよりアルヴィン、いつ結婚した?上司の私に報告がなかったよな?」
「いや、今日だから。」
「は?」
「お茶会の前に神殿に行って、書類を事務官に提出したままお茶会へ行った。」
「お兄様、それじゃあ準備もろくにせず、今日のお茶会でクリスティアにちゃんとした地位を与えるために結婚したの?」
「クリスティアの立場を考えたのはあるが、元々いつでもいいように準備はしていた…」
「ふーん。クリスティア、とりあえずお兄様はあなたが大人になるのを待てると思うけれど、貞操の危機を感じたら王宮にいらっしゃい。」
「エイミー、なんてことを…」
「ちゃんとクリスティアが大人になるのを待てるわよね?お、に、い、さ、ま。」
「はい、努力します。」
小姑は、兄より義姉の味方になったようだ。
私が待つのはあと何年?
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