俺は悪役王子様！

1.幼少期！

19.事態は急変中！

国王陛下共々、御葬式ムードが漂っている。


「・・・本当に、悪かった。」



国王陛下が弱弱しく呟く。でも、頭は下げないんだね！！


「それを言う相手は、本当に、僕ですか？」


グレイは指を鳴らすと、母上を召喚した。母上は突然の事で困惑気味である。グレイは母上の腕をつかんで、国王陛下に向き合わせる。


「本来ならば、僕の母親におっしゃる言葉でしょう？何故、僕に謝罪をされるんです？それとも、僕は謝られる存在なのですか？存在してはいけないと？そう、おっしゃるのですか？」


国王陛下は言葉が完全に、詰まってしまった。しばらくしてから、国王陛下は母上に頭を下げて、深く謝罪した。


「・・・本当に、すまなかった。ここで、貴方に謝罪をさせてくれ。」
「・・・国王陛下・・・。」


事態はよく分からないが、謝罪には快く応える母上。これで、母上も王都『レイティア』に未練がなくなるといいな。そう、深く思った。


母上はしばらくしてから、自分の意見を述べる。


「・・・はっきり申しますと、今でも国王陛下の行われた事を、私は赦す事が出来ません。でも、それ以上に私はこの子の事を愛しているのです。だから、もう私達に関わらないでください。」


その言葉には強い意思を感じ取る事が出来た。あぁ、これで、もう悪役から解放される。


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しばらくして、国王陛下の執務室にドタバタと忙しなく足音が響く。


「国王陛下！王妃様のご容態が急変しました！！王妃様のもとへ向かわれてください！」
「分かった。」


国王陛下はすぐに王妃様のもとへ向かわれた。グレイは満足そうな顔をして、背伸びをする。しかし、ルシアン王子は顔色が優れず、グレイの手をつかむ。


「あ、兄上！王妃・・・俺の母上のもとへ一緒に向かってはくれないだろうか？心配で・・・！」
「えっ？僕には、関係ないんだけどー？そして、いきなり、お兄ちゃん扱いされてもなー？」
「この通りだ！兄上の光魔法の力で、母上を救ってください！」


ルシアン王子は頭を下げる。そして、火事場の馬鹿力と言わんばかりに、力いっぱいに引きずっていく。皆もついていく。俺の母上もね！


王妃様の部屋に着くと、王妃様は苦しそうにもがく。


「母上！」


ルシアン王子は王妃様に駆け寄る。王妃様は少しぽっちゃりとしていらっしゃる・・・？お腹なんかとても膨れているし、これは・・・まさか・・・？


「レジェ！母上を御救いになって！！」
「ごめんね☆レジェって偽名だから☆僕の名前じゃないよっ♪」


『王妃様のご容態が急変した理由って何ー？確か、ゲーム？の中では、開始時点で王妃様は亡くなっている予定だよねぇ？ルシアン王子の幼少期に亡くなっているとかなんとか。』


・・・多分、お腹に胎児がいる。普通に妊娠したってところかな？しかも、妊娠高血圧症候群にかかっている可能性が高い。しかも、多胎妊娠。・・・つまり、お腹の中に二人以上の子供がいる。ごく稀に、妊娠に気付かず、過ごしている人がいて、出産してやっと、その事実に気付く人もいるって聞いたけど・・・マジで？


『うわぁ。メンドクサイ状況☆身体の主導権を譲るね☆』


「おいっ！？何で、いきなりっ！？」


遅れてきた母上がやってきて、事情を聞いてくる。


「グレイシアっ！！これは・・・どういう状況なの・・・？王妃様に何が起きているの？」
「・・・母上！多分、王妃様は懐妊しています！！しかも、このままでは母子共に亡くなってしまいます。」
「シア・・・。それは、本当なの？」
「症状がそれに近いんですよ。ごく稀に、妊娠に気付かず、出産するまで気が付かない人がいると聞きます。多分、今回もそのケースに含まれるのでしょう。」


一同は俺が口にした言葉に耳を疑った。