さよならの音がする

乃咲昼

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prologue

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「いやぁ、まさかの大物カップル誕生ですね」

「あの大物ミュージシャンとバイオリン奏者の結婚。天才と天才。これは産まれてくるお子さんが楽しみですねえ」





まだ、テレビがアナログだった頃
当時はその話題で持ちきりだった。


ブラウン管の大型テレビから有線ラジオに至るまで、そのニュースは多くの人の耳に届いたであろう。




薄型になりスマホでテレビやラジオを聴けるようになった今の時代も、ニュースは飛び交っている。



『さて、速報です。アイドルの日暮ももえさんが先ほど自身のコンサートにて、今年の3月に芸能界を引退すると発表しました。』

『いやあショックですね────』



時代は変わっても
評論家ぶる芸能人やジャーナリストは相変わらずいる。

俺は朝からそのニュースに釘付けになっていた。その理由は色んなことを超えた今だからこそ、わかるのかもしれない。



時計が朝8時を指した時、

俺が住むアパートの外から威勢のいい声が聞こえた。


「小太郎ー!早くしないと遅れるぞ!」



「朝から元気なヤツだな。わかった今すぐ行くから!!!」


俺はすべての準備を済ませて
玄関に飾った写真を見た。

「じゃ、行ってくるよ。婆さん。」


残念なことに俺の青春はあっという間に過ぎた。
青春なんて言っても所詮は若い時の淡い思い出にしかならないのかもしれない。

歳をとって死ぬとき、うっすらと思い出して余韻に浸る程度の淡い思い出。

俺にとっては
人生の中で一番、満ちたものであっただろう。
きっと死ぬときになっても

その記憶は

その音は、

ずっと俺の中で

響いているはず。







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