さよならの音がする


あるトラウマから楽器の音がまともに聞こえなくなり、大好きだったドラムメンバーから外された寿小太郎。

大学受験にも失敗し、2浪し、三流大学に。そして付き合っていた彼女と別れるはめに。周りからバカにされ傷つけられ、夢を持つことに抵抗を感じた23歳の春、一緒に活動していたバンドメンバーがCDデビュー。そのことを、不幸にもSNSのタイムラインで知ってしまう。
ひっそりと彼らが出るという演奏会に行ってみるとすごい客の数,
そこには自分だけがいないメンバーの輝く姿があった。

しかし演奏し始めた途端、その曲が不協和音のように小太郎の耳を塞いだ。



その演奏が終わったとき
小太郎は何かを感じた
もどかしく心をえぐられたような何かを。


彼らの演奏の後、
和楽器を演奏するグループがいた。

「つまらない」と演奏中に帰る観客達。



周りに流され、小太郎帰ろうとした時、

隣で涙を流し、その演奏に拍手をしていた女性がいた。たった1人、そのひとの涙で、小太郎は胸がざわついた。


自分が今までみてきた涙はこんなにも美しい感情だったのだろうか。

相変わらず音は聞こえないが
小太郎の心にある思いが生まれた。

演奏がしたい。


夢中になれる何かを見つけたい。


小太郎は
和楽器に興味を持ちはじめる。








自分の音とは何か






小太郎は和楽器を通じて
たくさんのことを知っていく。
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