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○月×日『ランチタイム』
しおりを挟む休日の午後。
オシャレなカフェテリアで将平くんとランチタイム。
何を呑気な……と思わずにいられないくらいに、僕と将平くんの関係はまるでカップルのようだった。
「まこと、美味いか?」
将平くんが長い脚を組みながら、コーヒーカップを片手に僕を見る。
「うん、美味しい」
僕はクリームパスタをスプーンの上でフォークで巻く。
それを口に入れて、味わいながら頷く。
「ゆっくりでいいから」
将平くんは既に食べ終わって、何杯目かのコーヒーを味わってる。
「うん」
なんでこんなデートみたいなことをしているかと言うと、ただ単に将平くんに誘われたからだ。
ランチを一緒にしようと。
将平くんとランチすることは何も悪いことじゃない。
むしろ、仲良くしておいた方が、万が一の言い訳もできるのかもしれない。
「昂平とは外で食べたりしないの?」
「うーん、矢野くんとは、学校帰りにファミレスとか、ジャンクフードはあるけど、こういうとこには来ないかな」
まぁ、高校生らしいといえばらしい。
けど、恋人になってからもそれが変わらないのは多少の不満はあった。
僕がこうしたいって言っても、たぶん聞いてくれない気がするから、主張はしない。
恋人という、肩書きができただけで、矢野くんとの関係は何も変わっていない。
言葉で大切にすると言っても、矢野くんは根が乱暴だから、時間が経つと忘れてるんじゃないかとすら思う。
「昂平てつまんねーやつだな」
将平くんが呆れ顔で言う。
「……そうかも」
否定はできなかった。
「俺、休暇が開けたら暫く日本で仕事するから、たまにはこうやって飯でも食べよ」
「うん」
素直に嬉しかった。
まだこの関係が続くのかと思うと、嬉しかった。
「でも、また海外いっちゃうんだよね?」
「そうだな。何、寂しい?」
「……、うん」
正直に頷くと、将平くんが僕の頬を指で撫でた。
「可愛いから抱きたくなってきた」
「えっ」
そんなこと言われたら、僕も……
「今日は汗は流さずに健全なお付き合いしようと思ったから、ホテルもとってないんだけどなぁ」
「ぁ……そ、う、だよね…」
口の中にパスタを詰め込みながら、照れ隠しをする。
僕も、今日は将平くんにランチだけと言われてたから、そのつもりではなかった。
けど、1度考えてしまうと、将平くんが欲しくなってくる。
でも、恥ずかしくて、そんなこと言えない。
「まこと」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
「抱きたいな」
真っ直ぐにそう言われて、下腹あたりがキュッと締め付けられる感覚がした。
「……あの、うん、……ぼくのうち、いく?」
今日、お母さんはパートで夜まで帰らない。
将平くんとラブホテルなんて目立つ場所には入れない。
僕の部屋なら、誰にも邪魔されない。
「うん、行く」
将平くんが頷いてくれて、僕は嬉しくて、急いでパスタを口に入れた。
「慌てなくても俺はどこにもいかないよ」
将平くんが笑う。
その笑顔にすごく胸がドキドキした。
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