【完結済】俺の彼女が人として終わっているんだが

Melon

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3章 俺の彼女は仲良くなりたい

彼女、夏鈴とお出かけする

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 それから、燐華さんは自分から夏鈴さんを誘い、食事や放課後の寄り道をすることが増えた。
 やはりまだ慣れないのか、夜に美湖さんと飲み会をし、俺の家を嘔吐で汚されることも多々あった。
 だが、燐華さんが成長していると思うと自然と許せてしまった。
 怪我の治癒も進み、包帯も必要なくなっていた。


 燐華さんの家に遊びに行ったある日。

「志永くん聞いてー。今度、夏鈴ちゃんと二人で出かけてみようと思うんだ」

 燐華さんが酒の準備をしつつ、俺に話しかけてきた。

「二人で、ですか......?」

 燐華さんが怪我をしたきっかけ。
 夏鈴さんと長時間一緒にいたことが原因だ。
 俺の頭の中に入院していた時の燐華さんの姿がよぎる。

「さ、流石に二人きりは......」

 また悲劇が起きてしまうのではないか。
 そのことに恐怖した俺は、燐華さんを止めようとした。

「志永くんが心配するのはわかるよ......。でも、私を信じてほしい。今の私はあの時の私とは違う。だから......。ね......?」

 そんな燐華さんの押しに俺は負けてしまった。
 燐華さんがここまでやる気なのに、止められるわけがない。

「わかりました......。でも、体調が悪くなったらすぐ帰ってくるんですよ......」

「心配ありがとね。頑張るよ、私」


 それから数日後。
 夏鈴と二人で出かける日。
 時刻は十四時。

 二人は学校の最寄り駅の広場で待ち合わせする予定だ。
 燐華は約束の三十分前に到着し、心の準備をしていた。
 落ち着かず、髪をいじったりスマホを見たりしている。

 これから怪我したあの日以来の二人きりの時間が訪れるのだ。
 落ち着かないのも無理はない。
 緊張しつつも、大丈夫と自分に言い聞かせながら夏鈴の到着を待つ。

 今日は風が強く、燐華の美しい黒髪を乱す。
 まるで燐華の心を表しているような、そんな日だった。

 それから二十分後、夏鈴の姿が見えた。

「お待たせー! 待ったー?」

「いや、さっき着いたばかりだよ」

 燐華は気を遣わせないように嘘をつく。
 夏鈴の性格からして気にしないだろうが、正直に言う勇気はまだなかった。

「それじゃ行こうか! おすすめのお店があるんだ!」

 夏鈴はそう言うと歩き出した。
 燐華は夏鈴の後をついて行く。

「......って。なんで後ろにいるの!」

 突然夏鈴が振り返る。
 燐華は驚いてビクッと震える。

「私たち友達なんだし、一緒に並んで歩こうよ! ね?」

 夏鈴は笑顔でそう言うと、燐華の手を握る。

「それじゃ、今度こそ行こ!」

「う、うん......」

 そして二人は再び歩き出した。
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