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第1章:魔道具の夜明け
4・パール魔道具店と影の支配者
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楽しい王都観光はあっという間でした。
そんな旅行から帰ってきた別れ際には御者のおっちゃんさんから、『何もできないが、何でもできる石』とかいう用途のわからない真っ白な色をもらいました、この不思議な石は触っても熱も冷たさも感じない、でもでも……ぎゅっとにぎるとぼんやり光る、これはそんな不思議石さんなのでした。
◇ ◇
そして時はまた少しだけ進み、現在。
「いらっしゃいませ、あら? またいらっしゃたのですね」
「ああ、毎日見に来ないと新作が出てもすぐに売り切れてしまうからな」
「それはそうですね、そんな常連さんに朗報です」
このお店は侯爵様の領地に突如開店した『パール魔道具店』。
古代の遺跡からの出土や長年続く名家の秘蔵品であるアーティファクトである『魔道具』だった。
例えば、魔力を込めると一定時間火を出す物、魔力を込めると冷気を出す物、魔力を込めると水を生み出す物。
これが数百年前に劣化コピーできるようになり、効果は弱いのだが有ると無いとでは生活の質が大きく変わる必需品として一般にも広く出回っていた……のだがやはり既存品のコピーしか無く、新しい魔道具が開発されることは無かった。
……のだが。
魔力を込め無くても火を出す物。
魔力を込め無くても冷気を出し続ける物。
魔力を込め無くても水を生み出す物。
魔力を込め無くても光を出す物。
など、一般的な魔道具の一線を画した魔道具が突然普通に売られ始めたのだ。
「ほう? その朗報とは?」
「もちろん光に続いた新商品です!」
「ほうほう! どんなものだ」
「今回のは今までとは違うんです、でもちょっとお高いですよ」
「む……ある程度なら出すさ」
「今回は闇属性の魔導具です、この布ですね」
「模様が描いてあるようだが……これはただの布じゃないのか?」
確かにこれは模様が描かれたただの布だ。
「ではこちらの二つの鞄を見てみてください」
「小さい鞄と大きな鞄だよな……これが?」
「両方そのままひっくり返して中身を出してください、中身はデモンストレーション用の石が入ってるだけなので、でも店の中だと掃除が面倒なので店先でお願いします」
「お? おう……なら出るか」
そうして店の外に出て……。
「さぁさぁ皆さんお立合い! パール商会新商品のお披露目です!」
「あん? それで……ここでいいのか?」
「ええいいわよ、できるだけ見やすい感じで手を広げて見せてあげてね」
「んじゃやるぞ」
そういってお客さんが二つの鞄を開いたままま上下を逆にすると……、すると……すると。
「どわーーー! なんでこっちのちっこい鞄の方のがたくさん入ってんだよ、しかもどう見ても鞄の大きさよりも大量だぞ?!」
してやったり、売り子の女性はニヤリとしてから集まっていた集団に宣伝をするのです。
「こちらの空間と重力魔法が施されたパッチ布、これを鞄や袋にパッチすると内部の容量が50リットル増えて、しかも入れたものの重量が軽減される、新時代の魔道具です! お値段はなんと金貨1枚!」
※金貨1枚:100万円
「さらに100リットルのは金貨4枚! ダメ押しで200リットルのが金貨16枚です! 容量に応じて聖銀の糸を多く使ってますのでこれ以上は負かりませんからね?」
「っということでB級冒険者の疾風のライさん! そしてこの侯爵領最強の冒険者さん! どの容量の『空間拡張パッチ』をお買い求めで?」
っていうやり取りをしているのは私じゃない、本当なら私があそこで面白おかしく店番をしていたかったのだけれど……、まだ4歳ちょっとの幼女であり、さらにいろいろと今までの常識を覆した魔道具を発明した私がそのまま開発者として知れ渡るのは貧乏男爵家としても、安全に不安があるという理由から私はまだ表に出ることが出来なかったのだ。
この数か月の間、本当に紆余曲折あったのだが……結果として私ことリッカが影の支配人としてこのパール魔道具店の商会長になったのでした。
そんな旅行から帰ってきた別れ際には御者のおっちゃんさんから、『何もできないが、何でもできる石』とかいう用途のわからない真っ白な色をもらいました、この不思議な石は触っても熱も冷たさも感じない、でもでも……ぎゅっとにぎるとぼんやり光る、これはそんな不思議石さんなのでした。
◇ ◇
そして時はまた少しだけ進み、現在。
「いらっしゃいませ、あら? またいらっしゃたのですね」
「ああ、毎日見に来ないと新作が出てもすぐに売り切れてしまうからな」
「それはそうですね、そんな常連さんに朗報です」
このお店は侯爵様の領地に突如開店した『パール魔道具店』。
古代の遺跡からの出土や長年続く名家の秘蔵品であるアーティファクトである『魔道具』だった。
例えば、魔力を込めると一定時間火を出す物、魔力を込めると冷気を出す物、魔力を込めると水を生み出す物。
これが数百年前に劣化コピーできるようになり、効果は弱いのだが有ると無いとでは生活の質が大きく変わる必需品として一般にも広く出回っていた……のだがやはり既存品のコピーしか無く、新しい魔道具が開発されることは無かった。
……のだが。
魔力を込め無くても火を出す物。
魔力を込め無くても冷気を出し続ける物。
魔力を込め無くても水を生み出す物。
魔力を込め無くても光を出す物。
など、一般的な魔道具の一線を画した魔道具が突然普通に売られ始めたのだ。
「ほう? その朗報とは?」
「もちろん光に続いた新商品です!」
「ほうほう! どんなものだ」
「今回のは今までとは違うんです、でもちょっとお高いですよ」
「む……ある程度なら出すさ」
「今回は闇属性の魔導具です、この布ですね」
「模様が描いてあるようだが……これはただの布じゃないのか?」
確かにこれは模様が描かれたただの布だ。
「ではこちらの二つの鞄を見てみてください」
「小さい鞄と大きな鞄だよな……これが?」
「両方そのままひっくり返して中身を出してください、中身はデモンストレーション用の石が入ってるだけなので、でも店の中だと掃除が面倒なので店先でお願いします」
「お? おう……なら出るか」
そうして店の外に出て……。
「さぁさぁ皆さんお立合い! パール商会新商品のお披露目です!」
「あん? それで……ここでいいのか?」
「ええいいわよ、できるだけ見やすい感じで手を広げて見せてあげてね」
「んじゃやるぞ」
そういってお客さんが二つの鞄を開いたままま上下を逆にすると……、すると……すると。
「どわーーー! なんでこっちのちっこい鞄の方のがたくさん入ってんだよ、しかもどう見ても鞄の大きさよりも大量だぞ?!」
してやったり、売り子の女性はニヤリとしてから集まっていた集団に宣伝をするのです。
「こちらの空間と重力魔法が施されたパッチ布、これを鞄や袋にパッチすると内部の容量が50リットル増えて、しかも入れたものの重量が軽減される、新時代の魔道具です! お値段はなんと金貨1枚!」
※金貨1枚:100万円
「さらに100リットルのは金貨4枚! ダメ押しで200リットルのが金貨16枚です! 容量に応じて聖銀の糸を多く使ってますのでこれ以上は負かりませんからね?」
「っということでB級冒険者の疾風のライさん! そしてこの侯爵領最強の冒険者さん! どの容量の『空間拡張パッチ』をお買い求めで?」
っていうやり取りをしているのは私じゃない、本当なら私があそこで面白おかしく店番をしていたかったのだけれど……、まだ4歳ちょっとの幼女であり、さらにいろいろと今までの常識を覆した魔道具を発明した私がそのまま開発者として知れ渡るのは貧乏男爵家としても、安全に不安があるという理由から私はまだ表に出ることが出来なかったのだ。
この数か月の間、本当に紆余曲折あったのだが……結果として私ことリッカが影の支配人としてこのパール魔道具店の商会長になったのでした。
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