その令嬢、商会長につき

かぼす

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第1章:魔道具の夜明け

11・ルーンと魔道具入門

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「えんをかくとそのなかのちからをひっぱりだせるの! ませきがあればそのまりょくがぴゅーって」
「魔力を……取り出すわけですね、魔石から」

 今までは全部私が書いた魔法陣を魔道具に刻んでもらっていた。

「それで……こんなぬりつぶしたえんはくーきのなかのまりょくをあつめるの、このえんのいろによってまりょくのしゅるいがかわるんだよ」
「色によって吸収……集める魔力の属性が違うわけですね、確かに水の魔道具は青色でしたね」

 でも、それだけだと私以外からの魔道具の発展はない。

「まほーじんをかくときは、このぺんをつかってね、からだのまりょくをきれーにしてさきっちょからだせるよ」
「このペンもある種の魔道具ですよね」

 魔法陣は魔力を込めたインクで書く必要がある、しかも均一に書かないと失敗しやすい……爆発とか。 ちなみにインクはふつうので大丈夫だった。

「ひかりのまどーぐとかはればーのところでこのえんをつながってるのととぎれてるのをきりかえてるの、だからつかってるときとつかってないときってわけれてるんだよ」
「魔法陣の円は繋がっていないと意味がないということでしたね、このレバーところの隙間程度(1ミリ)であれば大丈夫……と、スイッチっていうんでしたね、このレバー」

 魔道具を広く、新しいものへの発展がなされることに期待して、ルーン文字の簡単な辞典と魔道具作成の入門書をアンさんと作っているのだ。

「えんのそとにえんをかくとそっちにまりょくがながれるんだけど、こっちにかいておいたたんごちょうのもじをおおきなえんのなかにかくと、まりょくがおおきなえんにうつるときにかかれたもじのいみのとおり、せーしつをもたせれるの」
「小さな円と大きな円の中に、『何が』『どのように』『どうなるのか』と単語を組み合わせるのでしたね、たしかルーンでしたか」

 例えば光の魔力は白い塗りつぶし円で魔力を集め、魔石に充電しておく、そして小さい円で魔力を取り出し、大きい円との間に『光が』『放射状に』『放出する』とルーン文字で書くことで大きな円に作用してその効果を発現する。

「アン、これでだいじょーぶ?」
「お嬢様大丈夫ですよ、これで入門書の原文は完成しました、これから印刷所や商売ギルドの許可を正式にとって5歳のお誕生日までには出版できると思います」

 そして時は過ぎ4歳11か月、つまり5月になったころ、原案『PN:ミナ』、編集『アーニャ・モンブラン』、協賛、協力『ランスロット侯爵』として『パール式魔道具作成入門』が王都を含めた国内の商業ギルドから大々的に発売され、大陸内に多数存在する国々のなか、ここベテルギウス王国は突如大きな発展をはじめるのだった。
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