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第1章:魔道具の夜明け
12・貧乏男爵と新米女男爵
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貴族は毎年4月以降に6歳になる年齢になると初等学園に通い始める。
貴族はこの学園を卒業することで貴族として認められる貴族名鑑に載り、社交デビューの準備だ整うのだ、つまりこの学園を卒業できないと夜会などにも参加することはできず婚約者を探すのにも苦労することになる。
しかし貴族の体裁を保つため貴族の子息子女は学費や寮費などは国から補助されるため、よほど病気などの事情がない限り、すべての貴族はこの学園を卒業しているのだ。
そしてこの学園には貴族以外にも一部の平民も入学する事が出来る、これは貴族とのやり取りを密に行う商人や財閥などが繋がりを作ったり、貴族のマナーを覚えるため高額な学費を支払う場合と、平民入試を受け水準以上の成績を残した人者は、全体の成績を伸ばすことと、平民に負けられないという意識を持たせる事を目的として貴族と同じく国からの補助金で入学、そして寮生活を送ることができる。
なんでいきなりこんな事を? って思ったかもしれないが、それは今朝私と4女、5女のお姉さんがお父様に呼び出され、上の兄弟達の学費や嫁入りのための持参金を支払うと私たちが中等学園に通うためのお金は出すことができないと言われたからだ。
※中等学園は主に経営や他国の歴史、算術や理学、言語学を3年間学ぶ、学費と寮費を含めると約金貨10枚(1000万円)
そして最高峰となる高等学園では、3年の間に領地経営や各種上級のマナーを叩き込まれる。
※高等学園は学費と寮費を含めると約金貨30枚(3000万円)程。
次期当主についてはこれらの費用は、国が賄ってくれるのだ。
◇ ◇
……で、お姉さま達はお父様の応接室から出た後、ズーンと沈んだ表情をしている……。
自分たちの将来の結婚の時の持参金も払ってもらえず、さらに最低限の貴族教育を受けた後は各種職業の見習いとして家を出るようにいわれたのと同じ状態なのだ。
「メイス? あなたはどうするの?」
「いきなり言われても……いちおう彫金が趣味だったので、アクセサリー彫金等の金属加工を考えています」
「リッカは……侯爵様が面倒見てくれそうでいいわね、私は刺繍くらいしかできないから針子かしらね」
「あの……エイフルおねえちゃん、メイスおねえちゃん、ちょっといっしょにこうしゃくさまのところにいかない?」
「どうしたのリッカ? 私たちまで侯爵家のお世話になるわけにはいかないわよ」
「そうよ、リッカがお世話になってるのだけでも恐れ多いんだからね」
「えっと……たぶんだいじょうぶ、いっかおくさまにそうだんするだけであとはどうにかなる……あのね? これ……わかるかな?」
ネックレスにつながれた銅の短剣を二人に見せる。
「ネックレス? これがどうしたのリッカ?」
「あら……? ――っ!!」
「どうしたんですか? エイフルお姉さま」
「これがわからないの? 男爵当主の印じゃないの」
「えへへ……それをせつめいするために、こうしゃくけのおくさまのところにいっしょにいってほしいんだよ」
◇ ◇
「ということでよそうどおりのじょうたいになったから、おねえちゃんたちをやといたいの!」
「あなたたちがリッカちゃんのお姉ちゃんなのね、リッカちゃんに似て可愛いわねぇ」
「は! はひ! メイス・ボービンともーちましゅ!」
「はい! エイフル・ボービンと申します……リッカ? 早く説明してよ」
「おくさま! しょうかいのこととわたしのことをせつめいしてもらいたいです!」
奥様はパール商会の設立とその経緯、その商会長がリッカであることが知れるとリッカが危険にさらされることや、実父から搾取される危険性があること、もともと面倒を見ていたので侯爵家が後見人になったことを説明した。
「それと男爵位にどのような関係が……」
「メイス……分からないの? パール商会の商品でこの国はこの1年で大きく成長したのよ、叙勲されてもおかしくわないわ」
「そういうことね、リッカちゃんはまだ未成年だから表立って男爵としては動けないけど、侯爵家と元騎士団長、さらに元A級冒険者に、匿名の王族からの後見人があったからボービン男爵の後見がなくても独立貴族になれたのよ」
※子が未成年の時に爵位が贈られた場合、親が爵位を代理で保持し、子が成人したときにその爵位を譲渡する
※親以外で一定以上の信頼のある人物が3人以上後見人になった場合、そのメンバーが後見人として機能する、一人ではだめなのはその爵位の乗っ取りを防ぐためこの世界では連名制度があります
「それでね? リッカちゃんのお店もっと市販品をとか貴重品店とかいろんなジャンルで広げていきたいんだけど、将来的にドレスショップとか、貴金属店とかのオーナーを任せる人が欲しいと思っていたのよね? リッカちゃん?」
「うん! おねえちゃんたちがよければ、みならいからなんだけど……どうかな? ちゅうとうがくえんにかよいながらでだいじょうぶだよ、おかねならあまるほどあるから!」
「あまるほど……おかねが……」
「そうか、リッカは当主教育だから高等学園までは無料で通えるのね……」
「ちゅうとうがくえんにいかないとさいすんとかかたがみづくりとかこまるでしょ? ちょうきんでもなんからっととかけいさんできたほうがいいよね」
「うふふ、どうかしら? いいお話だと思うのだけれど」
「「リッカ! ありがとう!」」
貴族はこの学園を卒業することで貴族として認められる貴族名鑑に載り、社交デビューの準備だ整うのだ、つまりこの学園を卒業できないと夜会などにも参加することはできず婚約者を探すのにも苦労することになる。
しかし貴族の体裁を保つため貴族の子息子女は学費や寮費などは国から補助されるため、よほど病気などの事情がない限り、すべての貴族はこの学園を卒業しているのだ。
そしてこの学園には貴族以外にも一部の平民も入学する事が出来る、これは貴族とのやり取りを密に行う商人や財閥などが繋がりを作ったり、貴族のマナーを覚えるため高額な学費を支払う場合と、平民入試を受け水準以上の成績を残した人者は、全体の成績を伸ばすことと、平民に負けられないという意識を持たせる事を目的として貴族と同じく国からの補助金で入学、そして寮生活を送ることができる。
なんでいきなりこんな事を? って思ったかもしれないが、それは今朝私と4女、5女のお姉さんがお父様に呼び出され、上の兄弟達の学費や嫁入りのための持参金を支払うと私たちが中等学園に通うためのお金は出すことができないと言われたからだ。
※中等学園は主に経営や他国の歴史、算術や理学、言語学を3年間学ぶ、学費と寮費を含めると約金貨10枚(1000万円)
そして最高峰となる高等学園では、3年の間に領地経営や各種上級のマナーを叩き込まれる。
※高等学園は学費と寮費を含めると約金貨30枚(3000万円)程。
次期当主についてはこれらの費用は、国が賄ってくれるのだ。
◇ ◇
……で、お姉さま達はお父様の応接室から出た後、ズーンと沈んだ表情をしている……。
自分たちの将来の結婚の時の持参金も払ってもらえず、さらに最低限の貴族教育を受けた後は各種職業の見習いとして家を出るようにいわれたのと同じ状態なのだ。
「メイス? あなたはどうするの?」
「いきなり言われても……いちおう彫金が趣味だったので、アクセサリー彫金等の金属加工を考えています」
「リッカは……侯爵様が面倒見てくれそうでいいわね、私は刺繍くらいしかできないから針子かしらね」
「あの……エイフルおねえちゃん、メイスおねえちゃん、ちょっといっしょにこうしゃくさまのところにいかない?」
「どうしたのリッカ? 私たちまで侯爵家のお世話になるわけにはいかないわよ」
「そうよ、リッカがお世話になってるのだけでも恐れ多いんだからね」
「えっと……たぶんだいじょうぶ、いっかおくさまにそうだんするだけであとはどうにかなる……あのね? これ……わかるかな?」
ネックレスにつながれた銅の短剣を二人に見せる。
「ネックレス? これがどうしたのリッカ?」
「あら……? ――っ!!」
「どうしたんですか? エイフルお姉さま」
「これがわからないの? 男爵当主の印じゃないの」
「えへへ……それをせつめいするために、こうしゃくけのおくさまのところにいっしょにいってほしいんだよ」
◇ ◇
「ということでよそうどおりのじょうたいになったから、おねえちゃんたちをやといたいの!」
「あなたたちがリッカちゃんのお姉ちゃんなのね、リッカちゃんに似て可愛いわねぇ」
「は! はひ! メイス・ボービンともーちましゅ!」
「はい! エイフル・ボービンと申します……リッカ? 早く説明してよ」
「おくさま! しょうかいのこととわたしのことをせつめいしてもらいたいです!」
奥様はパール商会の設立とその経緯、その商会長がリッカであることが知れるとリッカが危険にさらされることや、実父から搾取される危険性があること、もともと面倒を見ていたので侯爵家が後見人になったことを説明した。
「それと男爵位にどのような関係が……」
「メイス……分からないの? パール商会の商品でこの国はこの1年で大きく成長したのよ、叙勲されてもおかしくわないわ」
「そういうことね、リッカちゃんはまだ未成年だから表立って男爵としては動けないけど、侯爵家と元騎士団長、さらに元A級冒険者に、匿名の王族からの後見人があったからボービン男爵の後見がなくても独立貴族になれたのよ」
※子が未成年の時に爵位が贈られた場合、親が爵位を代理で保持し、子が成人したときにその爵位を譲渡する
※親以外で一定以上の信頼のある人物が3人以上後見人になった場合、そのメンバーが後見人として機能する、一人ではだめなのはその爵位の乗っ取りを防ぐためこの世界では連名制度があります
「それでね? リッカちゃんのお店もっと市販品をとか貴重品店とかいろんなジャンルで広げていきたいんだけど、将来的にドレスショップとか、貴金属店とかのオーナーを任せる人が欲しいと思っていたのよね? リッカちゃん?」
「うん! おねえちゃんたちがよければ、みならいからなんだけど……どうかな? ちゅうとうがくえんにかよいながらでだいじょうぶだよ、おかねならあまるほどあるから!」
「あまるほど……おかねが……」
「そうか、リッカは当主教育だから高等学園までは無料で通えるのね……」
「ちゅうとうがくえんにいかないとさいすんとかかたがみづくりとかこまるでしょ? ちょうきんでもなんからっととかけいさんできたほうがいいよね」
「うふふ、どうかしら? いいお話だと思うのだけれど」
「「リッカ! ありがとう!」」
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