その令嬢、商会長につき

かぼす

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第2章:魔道具変革

13・入学式と不意打ち

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 改めまして。

 私はとある貧乏男爵家の三男六女の兄弟の中で末娘の『リッカ』です。
 
 そんな私の前世の名前は『水無月六花』世界中を飛び回って輸入雑貨などいろんなものを扱う総合商社のOLをしていました。

 ひょんなことからこの世界に転生してしまい、のほほんと生活を送ってきたのですが、ついにこの世界の小学校に当たる初等学園の入学の日を迎えたのです。

 学園は王国内に点在しているわけではなく、王都に点在していて第一学園~第六学園までの学舎及び寮に事前の試験の結果をもとに割り振られるようで、私は下級貴族が入れる学園としては最も上位の第二学園に入学することになりました。

 しかし、初等学園では年度ごとに成績次第での学園間の移動があり、その時は立場に(ほとんど)関係なく成績順で学園を割り振られるらしいです。

 そんな初等学園の初年度、私は第二初等学園に在籍することになりました。

 そんな学園の退屈な入学式の途中ですが、私は学園長さんの長い話という謎のお経の魔術によって夢の世界に旅立とうとしていたのですが……、学園長から拡声魔道具を受け取った空気の読めない司会によって私の意識は精神世界から呼び戻されようとしていたのです。

「……それでは本年度の仮入学試験の最高成績者による答辞をお願いします」

 ……だれだろ?

「もしもーし! 事前入学試験満点の学生さーん?!」

 へぇ凄いね! あの簡単な問題でも問題数はたくさんあったからね、満点はすごいよね……。

「全部の初等学園ひっくるめて初めての満点を出したリッカ・ボービン……あれ? パール? どっちだろ? とにかくリッカさーーん! 壇上に来てくださいーーー!」

 はい!? ……最初の最初から学園生活は荒れちゃいそうな予感です。

「はいいぃぃぃい?」

「あなたがリッカ・ボービンさんですか?」
「はいぃぃ」

 だから……どういうことですか。

「では新入生代表の答辞をお願いします」
「はい?」

「ですから……、新入生代表の答辞をお願いします」
「ほえ? 聞いてないんですけど……」

「えっと……リッカさんのご実家は貴族ですね、ご実家に送付したはずですよ」
「そうですか……」

 入学予定の通知書値は別に送られてたのかな……お店と侯爵家でいろいろしてたから、気が付かなかったのかも。

 なら腹をくくりますか、日本のテンプレ的なやつと異世界テンプレな身分平等を合わせたやつを言うしかない。

「ふう……」

 音声増強の魔道具か……これはまだ作ったことないな、とにかく魔力を込めると発動するタイプっぽいね、なら魔力をたんまり込めて……。

「今日、私達は無事初等学園の入学式を迎える事が出来ました。
いままで育てていただいた両親や使用人、また周囲の方々への感謝に堪えません。
クラス分けの時点では身分の差によってありますが、これ以後は全て貴賤意識のない純粋な実力社会が始まるということで、身の引き締まる思いです。
たくさんの友人、たくさんの先輩、たくさんの後輩に囲まれながら様々なことを吸収し、王国に貢献できるように努力いたします。
最後になりますが、先生方、それから来賓の方々には様々な視線からご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

リッカ・ボービン」

 いきなり答辞なんてさせられたから、ちょっと毒を吐いてあげたよ、音量いじったから……王都全域に聞こえちゃったかもね?
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