その令嬢、商会長につき

かぼす

文字の大きさ
17 / 27
第2章:魔道具変革

17・操作と飽和

しおりを挟む
 魔道具の授業が始まるまでに真意を聞こうとアイル殿下に話しかけたのだが何も教えてもらえなった。

 魔道具の扱い方を改めて習う授業、『魔道具取り扱い』には実は『Ⅰ』と『Ⅱ』があります。
 Ⅰのほうがビフォーパール的な感じで、Ⅱの方はアフターパール的な新しい魔道具が扱われているみたいです……でも今日の授業は『Ⅰ』の方でした。

「それでは魔道具の授業を始めます、まず魔道具とはなにか? 答えられる人は挙手してください」

 挙手した子を指しながら回答を聞いていく先生。

「失われた文明の遺産です」
「確かアーティファクトという人への神の贈り物だって」
「エルフ族が作ったとかいう人もいるけど、そんなの化石やミイラも出てきてないしな、存在したなら痕跡があるはずだぜ」
「そうそう、この世界は人が暮らすこの大陸しかないですよね? 先生」
「魔道具のルーン文字は神様の文字だから私達には読めないってお父さんが言っていました」

 あれ? どうなってるんだ?

「リッカ、今は気にしないで、あなたには期待してるんだから」

 うん? アイル殿下のいうことがまだ分からない……。

「まとめますね、この世界は神様が私たち人間のために作ったもので、その頃にルーン文字を賜ったのだけれど、高度な言語過ぎて後世、つまり現在まで伝わらなかったの、それでもその当時に作られた魔道具が使える状態で発掘された場合、畏敬を込めてアーティファクトと呼び、それを見たままコピーしたのが私たちの知るレプリカね」

「リッカ? あなたの魔道具がいつか私達・・を助けてくれるって信じてるから」

 いや……重い、だからどういうことなんだよ!

「それでは、魔力を注ぐことで光を発生させる魔道具を使ってみましょう、必要なら組になっても構わないわよ」

 各々訓練所に広がり光の強弱はありながらも一人で光を発生させている……それは一般的にはあたりまえな光景だ。

 でも……それに含まれない例外が、例の5人、そして1人だったのだ。

 アイル殿下は先生の指示があってからも目を閉じて動かない……、でも歯を食いしばって屈辱に耐えているような感じだ――、そしてその横では。

「では殿下行きますよ」
「コントロールしてください」
「見せ所です」
「魔女との違いを!」
「っ……! んん!」

 殿下の背に4人が手をかざして魔力をもらって……それをカイル殿下が押さえつけるようにして魔道具に流して――、訓練場の中では圧倒的に明るい光を出したのだった。

「さすが殿下」
「魔力の制御はお手の物ってね」
「目立ってやったぜ」
「チームプレーだぜ」
「……はぁ……はぁ、ああ、そうだな」

 なんだあれは……、カイル殿下に無理やり魔力を注ぎ込んでそれを殿下が魔法陣の代わりに無理やりコントロールしてるみたいな、しかも出す側じゃなくて受ける側でもあるからどう見ても体に消耗があるんじゃ。

 それはそうと、アイル殿下は……、意を決して魔道具を手に取り一息ついてから魔力を込めるような動作をしたと思ったら……。

「あらあら、やっぱり両殿下はお一人では何もできない欠損品なのですね」

 嫌味ったらしい先生の声が訓練場に響くなか、アイル殿下の持っていた魔道具が粉々に燃え尽きていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

乙女ゲームっぽい世界に転生したけど何もかもうろ覚え!~たぶん悪役令嬢だと思うけど自信が無い~

天木奏音
恋愛
雨の日に滑って転んで頭を打った私は、気付いたら公爵令嬢ヴィオレッタに転生していた。 どうやらここは前世親しんだ乙女ゲームかラノベの世界っぽいけど、疲れ切ったアラフォーのうろんな記憶力では何の作品の世界か特定できない。 鑑で見た感じ、どう見ても悪役令嬢顔なヴィオレッタ。このままだと破滅一直線!?ヒロインっぽい子を探して仲良くなって、この世界では平穏無事に長生きしてみせます! ※他サイトにも掲載しています

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

処理中です...