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第2章:魔道具変革
18・忌子と疾風のライ
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放課後、アイル殿下に呼び出されていたので、学校内で申請があれば貸し切りで使用できる訓練スペースへとやって来ました。
そこにはアイル殿下と銀髪レンジャー……じゃなくてカイル殿下もいた、ちなみに取り巻きはいないみたいだ。
「来てくれたのね、リッカ」
そして隣のカイル殿下はというと。
「ふん……」
またか……。
「はぁ……それでアイル殿下、そろそろ何か教えてくださるのですか?」
「アイルでいいって言ったでしょ、口調も気にしないで」
「むぐ……アイル、どういうことだか教えてよ」
それでよし、みたいな顔をしたアイルがようやく説明を始めた。
「まず、忌子が世間的に見て評価が悪いというのは昨日説明したからいいわね?」
聞いていたことなので頷く、納得はしてないけどね。
「前提として忌子は欠点を持って生まれるの」
新情報だよ……。
「それで、アイルと……カイル殿下は?」
「うん……私は魔力だけは多いのに魔力の操作が極端に苦手なの、カイ……カイルは私とは真逆、魔力は無いのに魔力操作は得意なの」
魔力がないのに魔力操作が得意って……どういうことだろう?
「簡単に言うと、双子に生まれると何かしらの才能が別の兄弟に奪われて……その逆に、奪われた欠点の代わりに別の才能が伸びるの、これは何百年も観察されてきた事だからまず間違いないみたいなの……それで、貴族や王族に欠点――弱みがあってはいけないのは分かるかしら? つまり弱みね」
カイル殿下は何も言わずに目をつむっているし、王族が下手に欠点を見せてしまうと反逆や謀反の足掛かりになってしまうのは理解できる。
「話を戻すわね、今日の魔道具の授業の時、私は1人で大失敗、カイルは4人に囲まれて背中に手を添えられていたのは覚えているかしら?」
「うん、周りの4人が殿下に魔力を必要以上に送ってたように見えたよ」
っという最近の私にとっての何気ない一言は、アイル殿下には特別だったようで……話の腰を折ってしまうことになってしまった――。
「……え? あなた……魔力が見えるの?」
この1年間魔道具の研究開発をしてきた私だ、効率化のためにいろいろな事の『見える化』にも力を入れていたのだ。
「眼鏡のすごく小さくしたような道具(コンタクト)に、ちょちょっと魔法陣を書くと……魔力というか、魔素がぼんやり程度だけど見えるようになるの、それで周りの人がレンジャー……じゃなくてカイル殿下に魔力を送ってるのが分かったんだよ、もっと細かく見えるようにしてから売ろうと思ってたから、まだ試作品なの……」
「さすがパールの……」
アイル殿下がパールと口にしたその時、ここまでほぼ無言だったカイル殿下が突如として口を開いた。
「待てアイル、パールっていうのは……なんなのだ?」
それなりに名前が売れてきてると思ってたんだけど……ぐぬぬ。
「あら? カイは知らなかったの? ライお兄様から何も聞いてないの?」
「ライ兄? 冒険者のまねごとなどをしてる放蕩兄さまか?」
ライ? 聞いたことがある名前だな……。
「ライお兄様はすでに真似事どころか騎士団の上位に匹敵するBランク冒険者になっているのよ? 小さいころライお兄様にくっ付いて離さなかったあなたがこんなことも知らないの?」
「ぐ……それは関係ないだろう? ――というかライ兄っていつのまにBランクになってたんだ?」
「その秘密がここにいるリッカちゃんなのよ、ね?」
「ほえ?」
どういうこと?
「あら……まだわからないのかしら、お兄様はパール魔道具店のおかげで今の自分がある! って言ってるくらいなのに……先日は鞄からその見た目以上の戦利品を自慢されたのです」
ん? 鞄拡張パッチはミスリルを使っていたから結局一つしか売れていない……つまりそういうことなのか?
確かに、あの準ストーカーのような常連冒険者は私の店が生み出してしまったようなものだ……。 先日もそれを利用して新商品を売りつけたのだから。
「……疾風の靴の治験の時にはお世話になりましたね、あとでチームメンバーが殿下の護衛だったとか聞かされて」
「それは聞きました、その時一緒だったのが取り巻きの4人だったのです……ライ兄様は王族ですのに、自由すぎるのですわ――うらやましい」
尻すぼみだったからか、最後のほうは聞き取れなかった。
「私たちは小さいころからライお兄様以外の兄弟や家臣や使用人から、直接ではないにしろいろいろと言われてきましたの」
「……そうだな、その声の向きがある時を境に別の対象に移った、そう言いたいのだなアイル」
……つまり?
「ライお兄様は私達への当たりを少しでも減らすため、臣民の仕事を引き受けて風よけになってくれているのよ」
そこにはアイル殿下と銀髪レンジャー……じゃなくてカイル殿下もいた、ちなみに取り巻きはいないみたいだ。
「来てくれたのね、リッカ」
そして隣のカイル殿下はというと。
「ふん……」
またか……。
「はぁ……それでアイル殿下、そろそろ何か教えてくださるのですか?」
「アイルでいいって言ったでしょ、口調も気にしないで」
「むぐ……アイル、どういうことだか教えてよ」
それでよし、みたいな顔をしたアイルがようやく説明を始めた。
「まず、忌子が世間的に見て評価が悪いというのは昨日説明したからいいわね?」
聞いていたことなので頷く、納得はしてないけどね。
「前提として忌子は欠点を持って生まれるの」
新情報だよ……。
「それで、アイルと……カイル殿下は?」
「うん……私は魔力だけは多いのに魔力の操作が極端に苦手なの、カイ……カイルは私とは真逆、魔力は無いのに魔力操作は得意なの」
魔力がないのに魔力操作が得意って……どういうことだろう?
「簡単に言うと、双子に生まれると何かしらの才能が別の兄弟に奪われて……その逆に、奪われた欠点の代わりに別の才能が伸びるの、これは何百年も観察されてきた事だからまず間違いないみたいなの……それで、貴族や王族に欠点――弱みがあってはいけないのは分かるかしら? つまり弱みね」
カイル殿下は何も言わずに目をつむっているし、王族が下手に欠点を見せてしまうと反逆や謀反の足掛かりになってしまうのは理解できる。
「話を戻すわね、今日の魔道具の授業の時、私は1人で大失敗、カイルは4人に囲まれて背中に手を添えられていたのは覚えているかしら?」
「うん、周りの4人が殿下に魔力を必要以上に送ってたように見えたよ」
っという最近の私にとっての何気ない一言は、アイル殿下には特別だったようで……話の腰を折ってしまうことになってしまった――。
「……え? あなた……魔力が見えるの?」
この1年間魔道具の研究開発をしてきた私だ、効率化のためにいろいろな事の『見える化』にも力を入れていたのだ。
「眼鏡のすごく小さくしたような道具(コンタクト)に、ちょちょっと魔法陣を書くと……魔力というか、魔素がぼんやり程度だけど見えるようになるの、それで周りの人がレンジャー……じゃなくてカイル殿下に魔力を送ってるのが分かったんだよ、もっと細かく見えるようにしてから売ろうと思ってたから、まだ試作品なの……」
「さすがパールの……」
アイル殿下がパールと口にしたその時、ここまでほぼ無言だったカイル殿下が突如として口を開いた。
「待てアイル、パールっていうのは……なんなのだ?」
それなりに名前が売れてきてると思ってたんだけど……ぐぬぬ。
「あら? カイは知らなかったの? ライお兄様から何も聞いてないの?」
「ライ兄? 冒険者のまねごとなどをしてる放蕩兄さまか?」
ライ? 聞いたことがある名前だな……。
「ライお兄様はすでに真似事どころか騎士団の上位に匹敵するBランク冒険者になっているのよ? 小さいころライお兄様にくっ付いて離さなかったあなたがこんなことも知らないの?」
「ぐ……それは関係ないだろう? ――というかライ兄っていつのまにBランクになってたんだ?」
「その秘密がここにいるリッカちゃんなのよ、ね?」
「ほえ?」
どういうこと?
「あら……まだわからないのかしら、お兄様はパール魔道具店のおかげで今の自分がある! って言ってるくらいなのに……先日は鞄からその見た目以上の戦利品を自慢されたのです」
ん? 鞄拡張パッチはミスリルを使っていたから結局一つしか売れていない……つまりそういうことなのか?
確かに、あの準ストーカーのような常連冒険者は私の店が生み出してしまったようなものだ……。 先日もそれを利用して新商品を売りつけたのだから。
「……疾風の靴の治験の時にはお世話になりましたね、あとでチームメンバーが殿下の護衛だったとか聞かされて」
「それは聞きました、その時一緒だったのが取り巻きの4人だったのです……ライ兄様は王族ですのに、自由すぎるのですわ――うらやましい」
尻すぼみだったからか、最後のほうは聞き取れなかった。
「私たちは小さいころからライお兄様以外の兄弟や家臣や使用人から、直接ではないにしろいろいろと言われてきましたの」
「……そうだな、その声の向きがある時を境に別の対象に移った、そう言いたいのだなアイル」
……つまり?
「ライお兄様は私達への当たりを少しでも減らすため、臣民の仕事を引き受けて風よけになってくれているのよ」
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