その令嬢、商会長につき

かぼす

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第2章:魔道具変革

24・謁見と真魔道具学

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 通された先にいたのは貴族、貴族、教師、奥様とディルおじさんもいた(なんで?)、その他に一部の学生、見たことはないけど品のある感じの人たち、おまけで王族、もっとおまけで大臣がいた。

「来たかアイル……そして――っぷ、くくくくく」

 やっぱり王様……陛下が笑い始めちゃったよ。

「陛下、大臣が睨んでますよ」
「……っぐ、しばし待て――はぁ、はぁ、すまんかったな、リッカよ」

 シラー……。

「ぬぐ! そんな目で見るでない!」
「陛下のせいでしょう」
「反論の余地がない!」

 見た目は凛々しいイケオジなのだが、とにかく調子が軽い、諫める宰相と陛下の代わりに謁見の間の威厳を保つ大臣が不憫でならない。

「うぉっほん!」

「結論から申し付ける、これは主に魔道具開発をしている者たちと学校教員、そしてその生徒たちだな、宰相」
「は、『魔道具使用学I』を廃止、そして『魔道具使用学II』を『真魔道具学』を新たな国の学問として決定いたしました」
「何か質問はあるか? 身分は問わん」

「初等学園の講師、ミゼリ・バンジーです、まずは理由をお聞かせいただけますでしょうか」

 周りの人もうんうんと頷いている。

「当然の疑問だな、宰相」
「は、まずは魔道具使用学IIについてです、魔力を使わずに使える魔道具の使用を学ぶものなのですが、一部貴族からこれを授業で扱うことについて否定的な意見が奏上されております、特に初等学園において顕著でございます」

「それは……」

 ミゼリ先生の詰まった声に大臣が口をはさんできた。

「王侯貴族ほど魔力があるからな、平民との差が詰まるのを恐れたのであろう」
「大臣君の言う通り、大体は下級貴族から声が上がっていたね、あとは古くさい魔道具を売ってるどっかの貴族」
「陛下、もう少し言い方があると思います……全面的に内容的には同意ですが」
「戦略級の魔道具を親から受け継いで持っているだけで貴族になっているものがいるからな、能力が無くても人の上に立つ現状は見るに堪えん」
「本当だよね、僕は幸い頭だけは回るからさ、鬼みたいな大臣とか小うるさい宰相と仲良くやれてるんだけどね? 僕の子供が迫害されてるのは……許せないんだよね」

 陛下から殺気が漏れた気がした……。

「ということで、すでに決定事項だよ、実はすでに『パール式魔道具作成入門』を元に新しい教科書と教員は用意してるから、今回のアイルとカイルの件は本当にタイミングが良かったよね」
「陛下のおっしゃる通り、すでに議会を通った決定事項です、旧魔道具で生計を立てていた店舗や貴族については3年間の助成金を出すことも決まっております、もちろん新しい教科書も下賜する予定なので、『真魔道具学』による魔道具で生計を立てることも可能でしょう、ちなみに教科書は平民街の図書ホールでも閲覧可能です、さすがに貸し出しは不可ですが」

「うん、国の発展よりも自分の利益っていう貴族とかいらないんだよ、今回罰さないだけでも有難いと思わないとね」

 陛下の軽い口調から発された内容は、やっぱり一部の貴族には重いものだったようで、泡を吹いて倒れたり、その場に蹲る人だったり、教師陣からも大きなざわめきが聞こえてきたのだった。
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