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番外編

王太子ご夫夫の閨事情

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春の木漏れ日が降り注ぎ暖かいはずの執務室の冷え切っていた。その原因の父上は仏頂面で紅茶の入ったティーカップに口をつける。

「父上、その様に不機嫌だと使用人が怖がっています。いい加減、要件を話していただいても?」

「要件など言わなくても、お前が一番よく分かっているのではないか?」

父上はカップをソーサーに置き俺を睨みつける。この口ぶりから内容は検討がついた。でも、その話題は堂々巡りになって結論が出ないことは分かり切っていたので話をはぐらかす。

「さぁ?一体何の事を言われているのか、全く」

「はぁ。お前では全く話にならん。今度ヴィルム殿下に直接確認する」

「それはやめていただけますか。殿下の機嫌を損ねるだけですよ。
なぜ父上は、世継ぎをそこまで急がれるのですか?私が殿下の伴侶になってから、まだ1年も経っていないことをお忘れですか?」

前に隣国の王族が婚姻のお祝いをしに来たことがあった。
その時に、その王族は『お二人の間にお世継ぎが生まれればエステート王も世継ぎ問題でもう悩まずに済みますね』と悪気なく言いヴィルの地雷を踏み抜いたのだ。そこからヴィルの機嫌が直るまでしばらくかかった。だから同じ状況になるのは避けたい。

ヴィルと俺の間にアルファの子が生まれれば、その子はエステートの王位継承権を持つ。それ自体は何もおかしくはない。ただ問題があるのは、周囲の扱いだ。
ヴィルが立太子した以上、陛下の後継はヴィルのはず。それなのに父上含め周りはヴィルには一切期待せず生まれたアルファの子を後継にしたいと考えている。それはヴィルに対してあまりにも失礼だし、ヴィルを補佐するためにアルファの俺がいるはずだ。

「では立太子の式典から今日まで、殿下の発情期ヒートは何回あった?少なくとも2回はあったのではないか?それなのに、まだ懐妊しないとは…」

ヴィルは発情期の時期は部屋に篭る。だから使用人や重臣たちも何となく発情期の期間を把握はしている。父上の言う通り発情期は2回来たが俺から言わせれば、たった2回だ。その回数で懐妊するなら、ヴィルは俺と番になる前のとっくの昔に懐妊してるはずだ。ヴィルに拒絶されていた期間、発情期のヴィルをどれだけ抱いたと思っているのだろうか。

「たった2回しかきていないのですから、懐妊していないのも無理はないでしょう。こればかりは授かりものだから、気を長くして待っていただかないと。
では父上、これで納得していただけましたね」

目線を扉へやり、早く帰れと暗に伝える。父上はイラつきを隠さずため息を吐く。

「いい報告を1日も早く待っている」

父上はそう言い残し執務室から出ていった。
残念だが、この先もしばらくは父上が待ち望む報告はできないだろう

* * *
「んぅ。…んっあっ…ひあっ」

ヴィルの後孔を解すように触ると、ヴィルは体をビクつかせ甘い声をあげる。

「ねぇ、ヴィル。ここすごいグチョグチョになってるよ。ほら、音聞こえる?」

「やぁっ…音ださないで…やだぁ」

わざとグヂュグヂュと音をたてて触るとヴィルは羞恥で涙目になる。ああ、なんて可愛いんだ。俺のヴィル。

「可愛いよヴィル。もう挿れてもいい?」

「うん。アーシュをちょうだい。…今日も付けるの?」

「うん。発情期の時に理性を失っても、使えるように練習しとかなきゃね」

俺はベッドサイドに置いていた物を摘みヴィルに渡す。それは白色の袋状のもの。ヴィルは受け取ると、俺の腰元に顔を近づける。

「あまりジロジロ見るなよ」

「あぁ、ごめん。ヴィルが可愛いからつい。それにしてもヴィル付けるの上手になったね」

ヴィルは俺の屹立に手を添え、袋状のそれに先端を入れる。そして根本までゆっくり下げていく。
照れながら上目遣いで睨むヴィルの頭を撫で、ヴィルが俺の屹立に避妊具をはめている様子をじっくり楽しむ。
発情期の性交渉で懐妊するが、その時に避妊具をつけて中に出さないことで、その確率を下げることができるらしい。ただ、この避妊具は魚の浮袋からできているので、装着して挿入すると異物感が否めないのが欠点だろう。

「何度も付けているから、さすがにもう慣れた」

「うん。ヴィルと二人きりの時間を楽しみたいっていう俺のワガママ聞いてくれてありがとう」

「いや、僕もまだアーシュと二人でいたいし…」

ヴィルが終わりの方は消え入りそうな声で嬉しいことを言ってくる。

「もう、可愛いすぎるよ。愛してるヴィル」

「あっ…アーシュ、急に…ひあっ…んっあっ」

ヴィルの脚を持ち上げ、濡れそぼった後孔に屹立をうずめていく。何も付けないときは、愛液で濡れる感覚が分かる。しかし今は装着したものに阻まれ、その感覚はなくヴィルの中の熱さも鈍く伝わるだけ。腰を動かすと、ヴィルの中がうねり俺を締め付けてくる。

「はぁっ。ヴィルが締め付けるから、すごい気持ちいい」

「うぅっ…言わないでぇ…んっ…あっ」

ヴィルの中の弱い所と、赤く熟れピンッと立つ乳首を摘むと、嬌声が更に甘くなる。
ヴィルの屹立も腹につきそうなくらいに反りたち、先端からは先走りが溢れている。
そこを包み込むように握ると、ヴィルの体がビクリと跳ねる。そのままゆっくり上下に手を動かす。

「ひっ…一緒に触っちゃ…あっ…ダメっすぐ…イッちゃう…くぅっ」

「いっぱいイく所みせて」

「んあっ…はあっ…あああっ!」

ヴィルは体を硬くし白濁を吐き出して絶頂を迎える。中は俺を絞り取ろうと締め付けを強くする。俺はまだ達していないのでそのままピストン運動を続けようとした時、ヴィルが俺の腕を掴む。

「アーシュっ…お願い。やっぱり付けないでシたい。アーシュのが硬くなってドクドク言ってるの、そのまま感じたい」

達したばかりの潤む瞳でそうお願いをされる。こんな風に求められて断れるだろうか。いや、断ることなどできない。

「じゃあ、ヴィルが外して」

「んっ…」

ヴィルの中から引き抜き、ヴィルの屹立に擦りつける。ヴィルはゆっくりと手を伸ばすと、装着していたものの先端部分を摘み俺の屹立から外す。そして何も纏っていない状態になった屹立を再び挿入する。

「んん…あっつい。ドクドクしてる」

「ヴィルの中もグチョグチョですごい気持ちいいよ」

うっとりするヴィルの頬をそっと撫で伝える。そしてピストン運動を再開させると、擦れる感覚も熱も鮮明に感じ、快楽が体を支配する。

「あっ…アーシュ、もっとぉ…はあっふっ」

「ヴィルの中、熱くてぎゅうぎゅう締め付けてくるから、すぐイッちゃいそう。イッてもいい?」

「うんっ…あっ…中に…欲しいっ…んっ」

ヴィルの片足を肩に担ぎ、さらに深く中を穿つ。俺しか知らないヴィルの最奥を先端でつく。

「んっ…。奥に出すよ」

「んっ…アーシュ。やっ…あっ、また…イッちゃう…あっふっ…ああっ」

「くっ…」

再び絶頂を迎えたヴィルの中が激しく収縮し、俺の屹立を扱き上げる。息を詰め、ヴィルの最奥に熱を吐き出す。全てを出し終えると体から力が抜ける。ヴィルの中から引き抜くと、自身が吐き出した白濁が後孔から溢れ落ちる。

「また練習失敗しちゃったね」

「うん。でも…あれを付けない方が…僕は好き」

「俺も。ねぇ、ヴィル。もし子供が出来てもヴィルの一番は俺のものだから」

「何を言ってるの?」

「んー?子供にもヴィルは渡したくないの。百歩譲って、同率一位までかな」

「ふっ。子供と競わないで。今もこれからもアーシュを愛してる。それは変わらないから」

優しく俺に微笑みかけるヴィルに、愛おしさが込み上げ、ヴィルに口付けをした。

冬の訪れとともに俺とヴィルのもとに、こうのとりが来ることを、今の俺たちは知らずに二人で愛をむつみあった。



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