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【ヤンデレβ×性悪α】 高慢αは手折られる
第十五話
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あれからフェナーラと何度か賭けの勝負をしたものの、私は白星を揚げることができなかった。アルファの私がベータのあの男に一勝も出来ないなんて。
やはり、私は出来損ないのアルファなのだ。今まで他のアルファと比べ能力が低いことは自覚していた。でも、ベータやオメガよりは優れているのだと信じて疑わなかった。だからこそ、ベータやオメガを卑下することで自分の自尊心を保っていたのに。
「また……あなたの勝ちですね。どうぞ私に命令してください」
本格的な夏の暑さになる前の生温い風が中庭のテラス席にそよぐ。その風を浴びると、じっとりと体温が上がるのが分かる。でも、今はそんなことを不快に思う暇などなく、目の前の男が何を言い出すのか神経を尖らせてた。
先程の勝負で勝ったフェナーラは自分の顎を撫で考える素振りをしている。
「うーん。今回も保留にして使いたいタイミングまで取っておく」
「またそれですか。もう5回分も取っておいているのだから、そのうち使いきれなくなりますよ」
「セラフにやって欲しいことはいくらでも思いつくから、使いきれないってことはないから大丈夫だ」
フェナーラは不敵に口の端を吊り上げる。それを見て身の危険を感じたが、そのことを悟られないように深く息を吐き出す。
「はぁ。……貴方が私に何をさせたいのかはだいたい想像はついています。でも先に言わせていただきますが、私が体で堕ちることはありませんから」
保留分をある程度貯めてから、それを使って私を好きだから抱きたいとでも言うつもりだろう。私が以前、アルファにしか抱かれるつもりはないと言ったことへの意趣返しで、賭けの勝ちをちらつかせれば、私が拒否しないと思っているに違いない。
そして私は冷めた視線を彼に向けると、私の話を黙って聞いていたフェナーラは俯き静かに肩を震わす。
大の男が泣いているのか?そう思い椅子から立ち上がり向かいにいるフェナーラに手を伸ばす
「ふははっ」
するとフェナーラは堰を切ったように笑い声をあげる。いや、今のどこに笑うポイントがあるのだろうか。フェナーラの様子に呆気に取られ伸ばした私の手は宙を彷徨う。
「何が面白いのですか?」
「ごめん。ごめん」
状況を把握するとフェナーラの態度に腹立ちを感じた。私が手を引く前にフェナーラは私の手のひらを両手で包みこむように握る。
「前にも言ったと思うけど、セラフが俺を求めてくるまでは無理矢理抱いたりしないから。それに、口説いている相手に嫌われることは普通はしないだろ。もしかして俺って下半身で物事を考えるタイプだとセラフに思われてる?」
嫌われたくないなら、初めて肌を合わせた相手に痛みを与えるような手酷い抱きかたは普通はしないとは思うが。まあ、現に私がフェナーラを嫌いになってないから問題はなかったということか。
「そこまでとは思っていませんよ。ただ、愛情と性欲が直結しているタイプだと思っていただけです」
「好きだから触れ合いたいし、他のやつに見せない姿を見たいとは思ってる。でも、セックス以外にも愛情は表現できるから」
フェナーラは立ち上がり、掴んでいた私の手に口付けを落とす。
「たった今、保留にしていた分の使い道を思いついた」
顔をあげそう言い、私に優しく微笑んだ。
やはり、私は出来損ないのアルファなのだ。今まで他のアルファと比べ能力が低いことは自覚していた。でも、ベータやオメガよりは優れているのだと信じて疑わなかった。だからこそ、ベータやオメガを卑下することで自分の自尊心を保っていたのに。
「また……あなたの勝ちですね。どうぞ私に命令してください」
本格的な夏の暑さになる前の生温い風が中庭のテラス席にそよぐ。その風を浴びると、じっとりと体温が上がるのが分かる。でも、今はそんなことを不快に思う暇などなく、目の前の男が何を言い出すのか神経を尖らせてた。
先程の勝負で勝ったフェナーラは自分の顎を撫で考える素振りをしている。
「うーん。今回も保留にして使いたいタイミングまで取っておく」
「またそれですか。もう5回分も取っておいているのだから、そのうち使いきれなくなりますよ」
「セラフにやって欲しいことはいくらでも思いつくから、使いきれないってことはないから大丈夫だ」
フェナーラは不敵に口の端を吊り上げる。それを見て身の危険を感じたが、そのことを悟られないように深く息を吐き出す。
「はぁ。……貴方が私に何をさせたいのかはだいたい想像はついています。でも先に言わせていただきますが、私が体で堕ちることはありませんから」
保留分をある程度貯めてから、それを使って私を好きだから抱きたいとでも言うつもりだろう。私が以前、アルファにしか抱かれるつもりはないと言ったことへの意趣返しで、賭けの勝ちをちらつかせれば、私が拒否しないと思っているに違いない。
そして私は冷めた視線を彼に向けると、私の話を黙って聞いていたフェナーラは俯き静かに肩を震わす。
大の男が泣いているのか?そう思い椅子から立ち上がり向かいにいるフェナーラに手を伸ばす
「ふははっ」
するとフェナーラは堰を切ったように笑い声をあげる。いや、今のどこに笑うポイントがあるのだろうか。フェナーラの様子に呆気に取られ伸ばした私の手は宙を彷徨う。
「何が面白いのですか?」
「ごめん。ごめん」
状況を把握するとフェナーラの態度に腹立ちを感じた。私が手を引く前にフェナーラは私の手のひらを両手で包みこむように握る。
「前にも言ったと思うけど、セラフが俺を求めてくるまでは無理矢理抱いたりしないから。それに、口説いている相手に嫌われることは普通はしないだろ。もしかして俺って下半身で物事を考えるタイプだとセラフに思われてる?」
嫌われたくないなら、初めて肌を合わせた相手に痛みを与えるような手酷い抱きかたは普通はしないとは思うが。まあ、現に私がフェナーラを嫌いになってないから問題はなかったということか。
「そこまでとは思っていませんよ。ただ、愛情と性欲が直結しているタイプだと思っていただけです」
「好きだから触れ合いたいし、他のやつに見せない姿を見たいとは思ってる。でも、セックス以外にも愛情は表現できるから」
フェナーラは立ち上がり、掴んでいた私の手に口付けを落とす。
「たった今、保留にしていた分の使い道を思いついた」
顔をあげそう言い、私に優しく微笑んだ。
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