キミのとなり

樺純

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第八十八話

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純太サイド

真っ青な空と心地よい風

綺麗なお花と緑に囲まれたガーデンウェディング。

それでは!!愛に溢れたお二人のご入場です!!

太陽に照らされた白い肌

あぁ…眩しい…

それは太陽が眩しいのか?

それとも…

その人が眩しいのか…

Y「美沙じゃん”~!結婚おめでどう~!泣」

俺の綺麗なポエムはガサガサな泣き声のユオによってかき消された。

美「ユオ…泣」

俺から見てもこの世の物とは思えないほど美しい美沙さんが珍しく少し涙ぐみながら微笑んでいる。

そして、その横には凛々しい顔した誠司さんが目を真っ赤にして立っていた。

J「誠司さんご結婚おめでとうございます!」

S「ありがとう…お前たち2人のせいで5分押しの挙式だったけどな?」

自身の結婚式に感動しながらも俺への指導は忘れない誠司さんは俺とは違い、さすが出来る男だと思う。

J「ホントこんなめでたい日まですいません…」

それでは~只今よりブーケトスを始めます!

アナウンスと共に気合い十分な独身女性たちは戦闘態勢。

転んでも芝生だし安全だね?と思いながら視線を向けるとユオは遠慮気味に端の方でポツンと立っていた。

相変わらずひと目につくのが苦手だね…とユオの様子を微笑ましく俺は見守る。

美「じゃ~みんないくよ~せ~の!ほれ~!」

皆「きゃあぁぁ!!」

バタバタバタバタ~!

女性陣たちの気合いの声が響き渡り、ブーケの行末を視線で追いかける。

ぽすん。

なんとその視線の先にいたのは端の方にポツンと立っていたユオだった。

Y「………」

ユオはポカンとした顔をしたまま立ちすくんでいて、全参列者の視線を独り占め。

皆「………?」

J「あっ…」

Y「と…とったどぉ~!」

そんな声と共にブーケを空高くに掲げる。

美「ユオやったね!」

おっさんのような声を出して喜ぶ俺の可愛い恋人。

よかったね?大切な先輩からの素敵なバトンがもらえて。

そう思う反面、俺には少し緊張感が漂った。

S「次の結婚式はあなた達かな?」

誠司さんは俺の肩を叩きながらニヤニヤしてた。

喜びのあまりぴょんぴょん跳ねながら俺の元へとやってきたユオは見事に転んだ。

ブーケトスでは転ばなかったのにそこで転んじゃうちゃうなんて、なんともユオらしい。

Y「痛いです…」

J「慣れない靴ではしゃぐからだろ?ヒールなのに…ほら立てる?」

珍しくユオが俺に甘えるように腕を組んできた。

付き合い始めた頃を思いだすな…なんて思いながら俺はユオを立ち上がらせる。

Y「…痛いです…少し座りたいです…」

手を擦りむいたユオの手当てをするために会場の受付で絆創膏をもらった。

沢山の仲間や家族に祝福されて幸せそうな美沙さんと誠司さんの様子をまるで自分のことかのように幸せそうに見つめるユオ。

手をお腹に置き優しく撫でてるけど、転んだ時にお腹も打ったのかな?

J「ユオ?お腹も痛いの?」

Y「え?いや…あ…大丈夫ですよ?ありがとうございます。」

そう言ったユオが何かを隠すような素振りを見せたので俺は少し寂しくなり、ユオに言った。

J「俺たちさ付き合ってもう1年だよ?言いたいことあるなら隠さないで言ってよ。いつまでも敬語だし…」

Y「純太くんは恋人だけどまだ家族じゃないので…全部思ったことを言っていいのか分からないし…敬語なのが慣れちゃったんで…」

J「先輩の美沙さんにはタメ口じゃん。俺にもタメ口で話して?やだ?」

Y「いやではないですけど…分かりました!いや、わかったよ!でも美沙さんは特別だから!ね?」

ユオはそう言って俺に微笑みかけた。

俺は今日、目の前で親しい人が恋人から家族になるための誓いを交わしたのに影響されたのだろうか?

俺もユオにとって特別な存在になりたいと思った。

J「俺は特別じゃない?」

Y「え?純太くんも…特別だけど…」

そう言って俺の様子を伺うユオ。

その顔をみて俺はそれだけで十分だと思った。

J「俺たちも家族になるんだよ?」

Y「…そうなの?」

J「そうなの…って…ユオは俺と家族になりたくない?俺が言ってのは…夫婦の誓いを交わして結婚しよう…って事なんだけど?」

Y「あ…は…へ…?」

J「だ~か~ら~!俺と結婚…し…」

Y「美沙さん!私!純太くんと結婚することになった~!」

美「えっぇ~!?純太くんもやるじゃん!!」

ユオは俺の話を最後まで聞く前に嬉しそうな顔をして美沙さんのトコへ飛んでった。

俺…まだプロポーズの返事聞いてませんけど…

まぁ、なによりユオが無邪気に喜んでるからとりあえずオッケーって事ですよね?これ…

俺は美沙さんと喜ぶユオを見て微笑んだ。

つづく
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