Blue〜歪んだ愛と本当の愛〜

樺純

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30話

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ハウside

私は自分の部屋に戻り、ある薬の瓶を開け2つのマグカップにその薬を溶かし入れた。

そして、私は救急箱とそのマグカップを持ってテラの部屋と向かった。

H「これ、身体に良い漢方だから飲んで。いつもお疲れ様。」

そう言ってテラの部屋の前にいる護衛の部下たちに渡すと、部下たちはそれを信じ込み、私の渡した飲み物をごくごくと飲んだ。

私はそんな2人の様子を見ていると2人はふらふらと足元がふらつき始め、そのまま廊下にバタンと倒れ込んだ。

H「多めに入れすぎちゃったかな…?」

そんなことを思いながら私はが鍵を開け扉を開けると、中では涙を流すテラが驚いた顔をして振り返った。

H「あんまりケイトのこと…困らせたらダメだよ?首の傷の手当て…しようね?」

早く治療してムネオリさんに元に連れて行かないと…そう心が焦りテラに手を伸ばすとテラは私のその手を避け、私はイラッとした。

テラは何かを察したのか突然、立ち上がり廊下に出ると自分の護衛達が倒れているのを見つけて怯えた目をしている。

H「そんな怖がらなくても大丈夫…殺したりしないから。ほら、おいで…怪我の手当てするだけだよ?」

私はゆっくりと微笑みテラに近づくと、テラは膝をガクガク震わせなが壁伝いに逃げようとしていて、あまりの滑稽さから私がケラケラと笑うと、テラは今にも泣き出してしまいそうな目をして私をみた。

H「残念ながら今は助けてくれるケイトは部下達を集めて離れで会議中……せっかくケイトが付けてくれた部下は俺のお薬で気絶中…可愛いテラちゃん。絶体絶命だね?早くムネオリさんの所に行こうね?」

T「まさか…ハウさんは…ケイトじゃなくて…ムネオリの…味方なの?」

H「えへへ~バレちゃったね?」

テラにバレてしまったのならもう嘘の自分でいる必要はない。

私は転びながら必死で逃げるテラを泳がすように楽しみながらその背中を追いかける。

H「早く行かなきゃ…ムネオリさんが待ちくたびれてるよ?」

T「行かない…ムネオリの所には絶対行かない!!」

私が1番欲しくてたまらないムネオリさんを…

この女はそんな簡単に拒むのか?

私はテラの柔らかい髪をグイッと掴んだ。

H「なんでアンタなんだよ…なんでアンタじゃなきゃムネオリさんの心は埋らないんだよ…」

ずっと思っていた…

なんでこんな女が…

なんで私なんじゃ無いんだと…

気付いたら私の目から涙が溢れ出していて、テラが1番聞きたくない名前を呼んで私は我にかえった。

T「ケイト!!!」

そんな名前を呼んだところで今、ケイトは離れにいて助けになんて来ないよ…

私はそう思いながらテラの口を塞ぎ待たせてあった部下にテラを渡した。

H「ムネオリさんのの所に連れて行くわよ。」

「はい!!」

私はテラを捕まえている部下たちを引き連れ、屋敷を出ようとすると部下の足が止まるのが分かり、振り返るとそこには面倒な事にケイトの姿があった。

「裏切り者は…ハウだったんだね。」

H「はぁ…なんでここにいるわけ?離れで会議してるはずだけど?」

K「テラの部屋にスマホ置き忘れて離れから取りに戻ったらこれだよ。ムシの知らせ…ってヤツかな?」

ケイトはそう言うとポケットから拳銃を取り出して私の部下の頭に突きつけた。

K「テラを離せ。」

無能な部下は自分の命が惜しいのかケイトの言う通り、テラを離そうとするもんだから…

私がそれを止めてあげた。

パァンッ!!!!!!

さっき久しぶりに聞いた銃声が本来の私を目覚めさせたのか、引き金を引くことに迷いすらなく、ケイトの身体は大きく弾み肩から血が吹き出しケイトはそのまま倒れ込んだ。

T「ケイト!!」

H「今よ!!早く連れ出して!!」

「はい!!」

ケイトは肩から血を流しているのにまた、拳銃を手に取り私に拳銃を向けるが、そのままゆっくりと拳銃を下ろした。

H「急いで!!銃声を聞いて他の奴らが戻ってくる!!」

「はい!!」

暴れて抵抗するテラの溝落ちを一発殴り、テラを黙らせると私たちは慌てて屋敷を抜け出した。

車に乗り込むと追手が来る前にムネオリさんの隠れ家に入るために私たちは急いだ。

H「急いで!!ムネオリさん…いや若頭が待ってる!!」

なんとかムネオリさんの隠れ家に着き、中に入るとムネオリさんは私を見つけ、中から飛び出してくるとそのまま私の前を素通りし…

テラの元に駆け寄った。

M「テラ!!テラ!!」

H「連れてくる時に暴れたので少し気絶させただけですよ。」

気絶しているテラに駆け寄り、心配そうに取り乱しているムネオリさんにそう伝えると、ケイトは勢いよく私の胸ぐらに掴みかかった。

M「いくらハウでも…テラを傷つけるなて許さないよ。」

そう言うとムネオリさんは私を地面に叩きつけるようにして手を離した。

M「テラ…やっと俺のところに帰ってきた。テラのお部屋の準備出来てるよ…行こうね…?」

ムネオリさんはとても幸せそうな顔をして、気絶しているテラに頬擦りをしながらそう言うと、部下たちにテラを運ばせた。

すると、ムネオリさんは私の存在を思い出したかのように私をみて冷たく言い放った。

M「ハウ。もう、戻っていいよ。」

H「え…戻るって…どこに…?」

M「天龍組に決まってるだろ?もう、覇道組にはハウの居場所なんて…ないよ?お疲れ様…早く天龍組に戻りな。」

ムネオリさんはそう言って私の元から離れていこうとするので、私は思わずムネオリさんの腕を掴んだ。

H「ムネオリさん待って…私…ムネオリさんのために今まで危険を犯して潜入してたんだよ?テラだって必死でここまで連れ去って来たのに今さら天龍組に戻れって言うの…?」

M「もう俺にハウは必要ないから…ごめんね…?」

ムネオリさんは笑顔でそう言って私を置いていこうとするので、私がまたムネオリさんの腕を掴もうとすると、部下が私を掴み隠れ家から追い出そうとする。

H「離せ!!アンタたち!私を誰だと思ってるの!!ムネオリさん!ムネオリさん!」

声を枯らしながらムネオリさんのことを呼んでもムネオリさんは振り返ることなく…

私はムネオリさんの部下たちによって隠れ家の外に追い出された。

つづく
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