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44話
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テラside
部屋を飛び出したケイトの背中を慌てて追いかけた私はケイトの腕を掴んだ。
T「ケイト!落ち着きなって!」
そう言ってケイトを振り返らせるとケイトの瞳には涙がユラユラと揺れていた。
その涙をみて昨日、ジニさんが私に言った「ケイトを幸せにしてやって…頼んだよ。」の言葉の意味がやっと分かったような気がした。
私が手を伸ばし、ケイトの頬に流れ落ちる涙を拭ってやると、ケイトはまるで子どものように声をあげて私に抱きつき嗚咽混じりに泣いている。
私はその大きな身体に手を伸ばし、何度も背中を撫でてやるがその涙は止まることを知らない。
ケイトにとってジニさんは家族以上の存在で横にいる事が当たり前だったのだろう。
きっと、私にしてみればヨナのような存在。
そんな人が突然、自分から離れてしまうとなればきっと私でも耐えられないほど苦しいに違いない。
何度も何度もケイトの背中を撫でているとケイトは掠れた声で言った。
K「テラも…俺のそばから…いなくなる…?」
そう言ったケイトに驚いた私はケイトと体を離してケイトの顔を見つめた。
T「何言ってんのよ…そんなわけ…」
K「俺の大切な人はみんな俺の元からいなくなる…親父も母ちゃんもジニさんも…だからテラも…いなくなるじゃないかと思ったら俺……」
そう言って下を向くケイトの頬を両手で包み込むと私はケイトに言った。
T「いなくならないよ!ケイトがもう嫌だって言ってもケイトから離れてあげない!私!しつこいからさ!私のこと好きって言ったんなら最後まで覚悟決めて私の恋人でいてよ…ね?」
K「テラ……」
T「好きだよ…お客様として私の元に来てくれた時からずっと好きだった…ケイトが若頭だって知った今もそれは変わらない…好きなまんまだよ。だから何も心配しなくて大丈夫…ケイトは1人じゃないよ。」
私はそう言うと涙でぐちゃぐちゃになったケイトの唇を塞ぎ唇を啄む。
ケイトの手が私の腰に周り、グッと引きよせ私たちは舌を絡めながら何度も角度を変え、淋しさを埋めるような口付けを交わした。
3ヶ月後
私たちの生活は日常に戻った。
朝早く起きてケーキを焼いてショーケースに並べて、私たちのケーキを愛してくれるお客様と一緒に笑顔を交わす。
今までと少し違うのは………
T「ケイト、このアイスコーヒーあのテーブルのお客様ね。」
K「了解。」
Y「ケイトそれ出したらこのプリンあのテーブルに頼んだよ。」
K「了解。」
こんな感じで怪我の治ったケイトは家業が忙しいはずなのに週に一回、Blue→Hを手伝ってくれるようになった。
ジニさんはあの後、自分の仕事の引き継ぎを終えると本当にケイトの組から足を洗い、私たちの前から姿を消した。
ケイトはジニさんが居なくなることで少し荒れる日もあったりもしたが、ヨナに「付き合ってすぐ恋人が行方不明になる私の気持ちも考えて。」と喝を入れられ…
本人も気持ちを入れ替えたのかそれからは落ち着いた日々を過ごしている。
ヨナといえばジニさんがいなくても本当、びっくりするほどいつも通りで……
ヨナらしく今を生きてるって感じだけど、自分が作ったプリンを毎日1つだけ残しておいて、冷蔵庫にこっそり入れているのを私は知っている。
そんな可愛いことして待ってるなんてジニさんが知ったら大喜びするだろうなと思いながら私たちは毎日、ジニさんの帰りを待っている。
ジニさんがなんでケイトの元を去ったのか…
確かめないといけないのはなんだったのか…
今でもそれは分からないけど、ジニさんが無事に戻って来てくれればそれでいいと思いながら私たちは今日もBlue→Hで過ごしている。
つづく
部屋を飛び出したケイトの背中を慌てて追いかけた私はケイトの腕を掴んだ。
T「ケイト!落ち着きなって!」
そう言ってケイトを振り返らせるとケイトの瞳には涙がユラユラと揺れていた。
その涙をみて昨日、ジニさんが私に言った「ケイトを幸せにしてやって…頼んだよ。」の言葉の意味がやっと分かったような気がした。
私が手を伸ばし、ケイトの頬に流れ落ちる涙を拭ってやると、ケイトはまるで子どものように声をあげて私に抱きつき嗚咽混じりに泣いている。
私はその大きな身体に手を伸ばし、何度も背中を撫でてやるがその涙は止まることを知らない。
ケイトにとってジニさんは家族以上の存在で横にいる事が当たり前だったのだろう。
きっと、私にしてみればヨナのような存在。
そんな人が突然、自分から離れてしまうとなればきっと私でも耐えられないほど苦しいに違いない。
何度も何度もケイトの背中を撫でているとケイトは掠れた声で言った。
K「テラも…俺のそばから…いなくなる…?」
そう言ったケイトに驚いた私はケイトと体を離してケイトの顔を見つめた。
T「何言ってんのよ…そんなわけ…」
K「俺の大切な人はみんな俺の元からいなくなる…親父も母ちゃんもジニさんも…だからテラも…いなくなるじゃないかと思ったら俺……」
そう言って下を向くケイトの頬を両手で包み込むと私はケイトに言った。
T「いなくならないよ!ケイトがもう嫌だって言ってもケイトから離れてあげない!私!しつこいからさ!私のこと好きって言ったんなら最後まで覚悟決めて私の恋人でいてよ…ね?」
K「テラ……」
T「好きだよ…お客様として私の元に来てくれた時からずっと好きだった…ケイトが若頭だって知った今もそれは変わらない…好きなまんまだよ。だから何も心配しなくて大丈夫…ケイトは1人じゃないよ。」
私はそう言うと涙でぐちゃぐちゃになったケイトの唇を塞ぎ唇を啄む。
ケイトの手が私の腰に周り、グッと引きよせ私たちは舌を絡めながら何度も角度を変え、淋しさを埋めるような口付けを交わした。
3ヶ月後
私たちの生活は日常に戻った。
朝早く起きてケーキを焼いてショーケースに並べて、私たちのケーキを愛してくれるお客様と一緒に笑顔を交わす。
今までと少し違うのは………
T「ケイト、このアイスコーヒーあのテーブルのお客様ね。」
K「了解。」
Y「ケイトそれ出したらこのプリンあのテーブルに頼んだよ。」
K「了解。」
こんな感じで怪我の治ったケイトは家業が忙しいはずなのに週に一回、Blue→Hを手伝ってくれるようになった。
ジニさんはあの後、自分の仕事の引き継ぎを終えると本当にケイトの組から足を洗い、私たちの前から姿を消した。
ケイトはジニさんが居なくなることで少し荒れる日もあったりもしたが、ヨナに「付き合ってすぐ恋人が行方不明になる私の気持ちも考えて。」と喝を入れられ…
本人も気持ちを入れ替えたのかそれからは落ち着いた日々を過ごしている。
ヨナといえばジニさんがいなくても本当、びっくりするほどいつも通りで……
ヨナらしく今を生きてるって感じだけど、自分が作ったプリンを毎日1つだけ残しておいて、冷蔵庫にこっそり入れているのを私は知っている。
そんな可愛いことして待ってるなんてジニさんが知ったら大喜びするだろうなと思いながら私たちは毎日、ジニさんの帰りを待っている。
ジニさんがなんでケイトの元を去ったのか…
確かめないといけないのはなんだったのか…
今でもそれは分からないけど、ジニさんが無事に戻って来てくれればそれでいいと思いながら私たちは今日もBlue→Hで過ごしている。
つづく
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