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◆第2章 おまけの神子とにゃんこ(?)とワイルドエロ傭兵

閑話①~ジーク視点~

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「夜会?」

 シュナがその話を持ってきたのは、シュナが気に入っている異世界人トオルと俺も交流を初めた少ししてからのことだった。


「王太子のだってさ~まぁ、ぶっちゃけると接待パーティじゃないかな」

 それを聞いて、なるほどなと納得する。

 神子のための教育や共に旅を行う守護者たちへの援助など魔を滅ぼすためにはかなり金がかかる。表向きは清廉潔白であり、神子のために尽くしますと言っている様な守護者たちにしても、本当の所は全員が全員名誉や神子への敬愛で腹が膨れる奴らばかりではない。一見大人しく従っているように見えても、後に報酬として法外な金額を後から請求したり、無理難題を言う様な輩が現れるだろうというのは断言できる。

 オレもシュナもどちらかといえば金で動くような種だが、今回の任務に対しては別途報酬を請求するつもりはない。

 一応はこの任務に対しては光栄なことであるという認識はあるし、何より強力な魔物と最高の状態で戦うことができるので、今回の旅の中で、最高品質の魔物の角や牙などを手に入れることができるので不満はないからだ。

 シュナとオレでも勿論高位の魔物は倒せるのだが、連続で何戦もしていればやはり疲労はするし休息も必要になって来るので、活動時間内の限られた時間の中で大量の数を捌くのはさすがに難しい。更に、高い値段で取引される角や牙は、傷がついてしまうとどうしても安く買いたたかれてしまう。

 だが、あらゆる職業における最高位の面子がそろっている今ならばそういった懸念事項はない。

 ちなみに貴族連中や一部の高貴なお方のような種の男は、こういった魔物の角や牙を監禁する様な下賤な行為は嫌いらしいので、基本的にその手の拾得物はオレたちが貰えることになっている。

 まぁ、貴族連中からしてみればはした金なんだろう。

 そいつらが欲しがるのはもっと莫大な富や、知識、あるいは神子の身柄といったところか。

(やっぱり、哀れだな……)

 神子のことを可愛いと言っている王城の人間たちも、半数ほどは神子その物というよりは神子の持っている権力に魅力を感じているとオレには見えたが……だからといってどうにか出来るわけでもない。

 神子との旅で体は守ることができるだろうが、心となるとオレにはちょっと厳しい。

 竜人であるオレは、どうしても思ったことをすぐに話してしまうので、はっきり言って平気で他人を傷つけるからだ。あとでじっくりと振り返ると、やってはいけないことをしたとは分かるのだが、一度口から出た言葉を消すことはできない。

 声として相手に届いてしまえば、相手は大抵の場合オレに対して嫌な感情を抱く。

 心優しい奴らは、大分我慢してくれるのだが……そういう場合は、相手も嫌悪感を表情に出してくれないので、オレが中々気づけず手遅れになることが多かった。

 トオルに関してはまさにそうだった。

 ラインハルトは速攻で不機嫌になって俺を睨んできたので、ラインハルトの感覚では不愉快だったと分かったのだが、オレがやっとトオルが嫌がっていたと気づけたのは、シュナに忠告されてからだった。

 オレとしてはラインハルトに言ったことも、トオルに言ったこともすべて純粋な疑問だったのだが、周りから見るとオレが真正面から喧嘩を売っている、もしくは虐めているように見えるようだ。いや、見えるのではなく、周りからみたら実質そうなんだろう。

 こんなオレでも良いと言ってくれる友人は、オレが言うなとはいつも皆からは言われてしまうものの、例にもれず変わり者ばかりで、オレもがする失礼な話も笑い飛ばしてくれたり、やりすぎれば懇切丁寧に教えてくれるかどちらかなので今の所孤立はしていないが……この国で同じ心積りでいれば、まずいということは何となく分かる。

 さすがに。

 シュナも変わり者で自由人だが、さすがに長であるからかオレよりは世渡りが上手だ。それにオレと違って相手を威圧させない、どちらかといえば華奢な容姿をしているので、相手の目もいくらか優しくなるのだろう。羨ましいことに。

 性格的にシュナは受け身は絶対にやらないが、見た感じはどちらかといえば受け身側にみえるからな。美人系の顔立ちだし。

 ああ、ちなみにシュナはオレの好みの対象外なので出会いから今までそっちの興味は皆無だ。それはシュナも同じで、むしろオレみたいなでかいのは嫌いな方だと前に言っていた。

 オレも美人とかかわいいとかカッコイイとか、そういうのは全部だめなので絶対に恋愛に発展しない相棒としてオレたちは互いを信頼している。

 勿論、純粋に能力も認めているが……。

「シュナは夜会に参加するのか?」

 シュナならこの国の夜会でも上手くやれるだろうし、情報収集に向かうという話なのかとオレが聞くと、シュナはまさか~と笑った。

「出るわけないじゃん。面倒だし。トオルは誘ってくれたけどさ、僕がいるとトオルに近づく奴らに爪立てたり噛みついたりしちゃうかもしれないから、参加しないよぉ~。ラインハルトにもかなり我慢してるし、僕~」

 ほんの数日前までは恋愛感情というのがよく分からないというような状況だった筈のシュナだが、どうやら着々と感情は育っているらしい。以前は無意識で嫉妬していたのに、今は自分で嫉妬していることが分かっているようだ。

 だが、トオルは確かに良い奴だとオレも思う。

 シュナには言わなかったが、オレとしてはトオルは有りだ。
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