25 / 42
第三部 ダンジョンマスター 中編
ある商国の働きたくない社畜=1
しおりを挟む
「なんか見るのが結構楽しくなってきた。このシーズン、全部放送されたのを一気見するような爽快感」
「わかる、たろーはそういうのためて一気に見る派?」
「好きな作品はちまちま見てた。その後時間があったら一気見だな。録画容量がえげつないことになるからこの方法はお勧めしないが......」
「そう。見るの楽しくなったのなら次いこっか」
「そうだな」
「次は――――、これまた癖が強いよ」
「働きたくないでござる」
高校生の時から言っている言葉。
それを隣の席から聞けるとは思っていなかった。
そしてその声を聞いた俺の回答は。
「もちろん働きたくないでござる」
そんなこと、上司に言えるはずもなく、一人喫煙所でぼそりとつぶやく。
ふぅ......タバコの煙が肺に沁みる。
そんなことを考えていた時だった。
一面が光に包まれたのは。
「ふぉっふぉっふぉっ、よく来てくれたの。ここは神の世界、とでも言うべき場所じゃ。おぬしたちにはこれから異世界へと行ってもらって、あることをしてもらう」
見た目は爺さんの格好をした人が、突然にそう伝えてくる。
しかしその目が語っている。面倒くさいと!
「ここにいる百人には、ダンジョンを作ってもらう。ルールはまぁ......いろいろあるから、ナビゲートつけとくので、そちらにきくよーに。なお、異論反論はうけつけないので、頼んだぞ」
あ、さらに面倒くさがって人に投げる。うちの上司そっくりだ。
とか考えていたら罰が当たったのだろうか。
一面が光に包まれた。
「知らない天井だ」
天井なんぞなく、青空が広がっているのだが。
慌てて起き上がる。周囲には結構な量の人がいた。ゴミのように見るには高さが足りないようだ。
「さて、ダンジョンだったかな」
俺は少し歩いた末に、あるギルドの裏に目を付けた。
「商業ギルドの裏にでも作るか」
暇だし。きっと金の力を使ってくれるだろう。
ゲームを作っていた俺としては、作ったゲームに金を払って参加してくれるなんて結構うれしいものだ。
「とりあえず、どうやったら作れるんだ?」
そう考えていた時だった。
「情報受信中――――――完了。」
「おはようございます、私はダンジョンマスター支援用ピクシー第0号です」
「お、君がピクシーか」
粘液、スライムのようなものが変形したかと思えば、急激にその体積を大きくし、そして収縮していった。
残ったのは小さな幼女。黒髪ロングの似合う、かわいらしい幼女だった。
赤いランドセルと黄色い帽子が似合いそうだ。
「こん......こんにちは!」
「あぁ、こんにちは」
低い声で続けるのかと思ったが、すぐに高い、外見に見合った声で挨拶をしたピクシー。
俺もとりあえず挨拶を返しておいた。
「それで、そうだ。ダンジョンを作りたいんだけど」
「わかりました。ポケットの中に入っている水晶を設置予定地点においてください!」
言われた通りと言っても、ポケットなんて......
そう思っていたが、何か勘違いをしたのだろうか、ポケットがついているズボンから、これまたびっくりこぶし大の水晶が出てきた。
これはポケットが拡張されているのか、はたまた水晶が特殊なのか。
と、思考をめぐらせるのは悪い癖だ。さっさと置いてしまおう。
「そい」
何とも気の抜ける声だと俺でも思った。
しかし気の抜けた俺とは違って彼女、ピクシーはしっかりとその様子を見ていた。
「どうした? 何かあったか?」
「い、いえ、何でもないです! ただ、私はほかの型とはちょっと違うのです......」
いきなり重要な話が舞い込んできた。
「私は処理能力も、戦闘能力も、何一つ突出してなくて、そのうえ実習を受けただけみたいな感じなんです」
「つまり?」
「バリバリ新人です!」
なんと、こんなところに合法ロリOLがいた。
なんてこれからのビジネスパートナーに失礼な評価だったか。事実なので取り消しはしないが。
「まぁ、一緒にやっていこうぜ」
「はいです!」
くぁわいい。
完成したのは塔。
塔のタイプというのは珍しいそうで。
「大体皆さんは見つかりにくい洞窟とかにするらしいです」
「そうなのか。まぁ塔でいいよ」
「これが編集用の端末なのです!」
渡された端末はタブレットで正直俺の慣れているものではない。
「パソコンとか使えたらなぁ」
「あります、パソコン!」
どやぁ、という顔をしてピクシーはパソコンを召喚した。
「ならこれをここに設置。完成だ」
「これからどうされるのですか?」
「そりゃ決まってる、最高のゲーム製作だ」
パソコンを立ち上げる。
既にダンジョン作成のためのソフトは入っているようだ。というよりそれ以外がほとんど使えない。
「とりあえずこれだけ使えたらあとはっと」
ソフトを立ち上げ、画面を表示する。
欲を言えば三画面ほしいが、先ほど見えたポイントをケチるために一画面で我慢だ。
ダンジョンの製作画面になったので、とりあえず。
「一階層は迷路って相場が決まってるんだ」
ポイントを使用して大きめに迷路だけを作成した。
そしてポイントが余っているうちに三階層まで製作。
「二階層は......お、なんだこれ」
そこにあったのは、詳細設定用ボタンだった。
「私は能力が突出していない代わりにその詳細設定が使えるのです!」
どうやら彼女の特権らしい。いずれほかの人にも使えるようになる機能の可能性もあるが、今使えるのであればほかのことは考えなくて良いだろう。
詳細設定を開くと、その壁の角度や分厚さ、強度やギミックまで細かく設定できるようになっていた。
その中でも興味を引いたのは。
「階層内ランダム転移って、これだろ」
目指すは迷いの森。
全域に同じように木を植え付け、見た目で場所がわからないようにする。
「これでよし」
三階にパソコン兼自室を設置。まだパソコンしかないが、これだけでもまだ十分だろう。
「保存、っと」
その瞬間、周囲の風景が切り替わって石づくりの場所になった。
「これは......ゲームの中にいるみたいだ!」
最高だ! 俺がゲームのラスボスとして君臨できるのだから!
「これはゲームではないです。証拠に、このダンジョンが攻略された時点で私もあなたも死ぬのです」
「なんだって!?」
その瞬間、衝撃が走った。
「このポイントの増やし方はどうやるんだ!」
「これですか、DPは主に自然回復、侵入者を撃退、侵入者の滞在の三点で回復です、自然回復は少ないのであんまり期待しないほうがいいかもしれないです」
「そうかそうか」
しかし、俺は気にしない。
何故かって? 夢が叶ったからだ。
ゲームの世界のラスボスになる。
ようやっと、なることが出来た。
「よっしゃかかってこいやぁぁぁぁああああ!」
こうしてまた一人の男のダンジョン製作が始まった。
「わかる、たろーはそういうのためて一気に見る派?」
「好きな作品はちまちま見てた。その後時間があったら一気見だな。録画容量がえげつないことになるからこの方法はお勧めしないが......」
「そう。見るの楽しくなったのなら次いこっか」
「そうだな」
「次は――――、これまた癖が強いよ」
「働きたくないでござる」
高校生の時から言っている言葉。
それを隣の席から聞けるとは思っていなかった。
そしてその声を聞いた俺の回答は。
「もちろん働きたくないでござる」
そんなこと、上司に言えるはずもなく、一人喫煙所でぼそりとつぶやく。
ふぅ......タバコの煙が肺に沁みる。
そんなことを考えていた時だった。
一面が光に包まれたのは。
「ふぉっふぉっふぉっ、よく来てくれたの。ここは神の世界、とでも言うべき場所じゃ。おぬしたちにはこれから異世界へと行ってもらって、あることをしてもらう」
見た目は爺さんの格好をした人が、突然にそう伝えてくる。
しかしその目が語っている。面倒くさいと!
「ここにいる百人には、ダンジョンを作ってもらう。ルールはまぁ......いろいろあるから、ナビゲートつけとくので、そちらにきくよーに。なお、異論反論はうけつけないので、頼んだぞ」
あ、さらに面倒くさがって人に投げる。うちの上司そっくりだ。
とか考えていたら罰が当たったのだろうか。
一面が光に包まれた。
「知らない天井だ」
天井なんぞなく、青空が広がっているのだが。
慌てて起き上がる。周囲には結構な量の人がいた。ゴミのように見るには高さが足りないようだ。
「さて、ダンジョンだったかな」
俺は少し歩いた末に、あるギルドの裏に目を付けた。
「商業ギルドの裏にでも作るか」
暇だし。きっと金の力を使ってくれるだろう。
ゲームを作っていた俺としては、作ったゲームに金を払って参加してくれるなんて結構うれしいものだ。
「とりあえず、どうやったら作れるんだ?」
そう考えていた時だった。
「情報受信中――――――完了。」
「おはようございます、私はダンジョンマスター支援用ピクシー第0号です」
「お、君がピクシーか」
粘液、スライムのようなものが変形したかと思えば、急激にその体積を大きくし、そして収縮していった。
残ったのは小さな幼女。黒髪ロングの似合う、かわいらしい幼女だった。
赤いランドセルと黄色い帽子が似合いそうだ。
「こん......こんにちは!」
「あぁ、こんにちは」
低い声で続けるのかと思ったが、すぐに高い、外見に見合った声で挨拶をしたピクシー。
俺もとりあえず挨拶を返しておいた。
「それで、そうだ。ダンジョンを作りたいんだけど」
「わかりました。ポケットの中に入っている水晶を設置予定地点においてください!」
言われた通りと言っても、ポケットなんて......
そう思っていたが、何か勘違いをしたのだろうか、ポケットがついているズボンから、これまたびっくりこぶし大の水晶が出てきた。
これはポケットが拡張されているのか、はたまた水晶が特殊なのか。
と、思考をめぐらせるのは悪い癖だ。さっさと置いてしまおう。
「そい」
何とも気の抜ける声だと俺でも思った。
しかし気の抜けた俺とは違って彼女、ピクシーはしっかりとその様子を見ていた。
「どうした? 何かあったか?」
「い、いえ、何でもないです! ただ、私はほかの型とはちょっと違うのです......」
いきなり重要な話が舞い込んできた。
「私は処理能力も、戦闘能力も、何一つ突出してなくて、そのうえ実習を受けただけみたいな感じなんです」
「つまり?」
「バリバリ新人です!」
なんと、こんなところに合法ロリOLがいた。
なんてこれからのビジネスパートナーに失礼な評価だったか。事実なので取り消しはしないが。
「まぁ、一緒にやっていこうぜ」
「はいです!」
くぁわいい。
完成したのは塔。
塔のタイプというのは珍しいそうで。
「大体皆さんは見つかりにくい洞窟とかにするらしいです」
「そうなのか。まぁ塔でいいよ」
「これが編集用の端末なのです!」
渡された端末はタブレットで正直俺の慣れているものではない。
「パソコンとか使えたらなぁ」
「あります、パソコン!」
どやぁ、という顔をしてピクシーはパソコンを召喚した。
「ならこれをここに設置。完成だ」
「これからどうされるのですか?」
「そりゃ決まってる、最高のゲーム製作だ」
パソコンを立ち上げる。
既にダンジョン作成のためのソフトは入っているようだ。というよりそれ以外がほとんど使えない。
「とりあえずこれだけ使えたらあとはっと」
ソフトを立ち上げ、画面を表示する。
欲を言えば三画面ほしいが、先ほど見えたポイントをケチるために一画面で我慢だ。
ダンジョンの製作画面になったので、とりあえず。
「一階層は迷路って相場が決まってるんだ」
ポイントを使用して大きめに迷路だけを作成した。
そしてポイントが余っているうちに三階層まで製作。
「二階層は......お、なんだこれ」
そこにあったのは、詳細設定用ボタンだった。
「私は能力が突出していない代わりにその詳細設定が使えるのです!」
どうやら彼女の特権らしい。いずれほかの人にも使えるようになる機能の可能性もあるが、今使えるのであればほかのことは考えなくて良いだろう。
詳細設定を開くと、その壁の角度や分厚さ、強度やギミックまで細かく設定できるようになっていた。
その中でも興味を引いたのは。
「階層内ランダム転移って、これだろ」
目指すは迷いの森。
全域に同じように木を植え付け、見た目で場所がわからないようにする。
「これでよし」
三階にパソコン兼自室を設置。まだパソコンしかないが、これだけでもまだ十分だろう。
「保存、っと」
その瞬間、周囲の風景が切り替わって石づくりの場所になった。
「これは......ゲームの中にいるみたいだ!」
最高だ! 俺がゲームのラスボスとして君臨できるのだから!
「これはゲームではないです。証拠に、このダンジョンが攻略された時点で私もあなたも死ぬのです」
「なんだって!?」
その瞬間、衝撃が走った。
「このポイントの増やし方はどうやるんだ!」
「これですか、DPは主に自然回復、侵入者を撃退、侵入者の滞在の三点で回復です、自然回復は少ないのであんまり期待しないほうがいいかもしれないです」
「そうかそうか」
しかし、俺は気にしない。
何故かって? 夢が叶ったからだ。
ゲームの世界のラスボスになる。
ようやっと、なることが出来た。
「よっしゃかかってこいやぁぁぁぁああああ!」
こうしてまた一人の男のダンジョン製作が始まった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる