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光の湖畔編
第59話 オヤツの準備
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三つ編みしている間に、クレールが厚手のストライプの半袖シャツと部屋用厚手靴下を見繕っといてくれた。
男装ならブラはしない方がいいかなって思っての、私からのリクエストです。
部屋で、新たに借りたもの以外は自前の服に着替える。チノパンは皺くちゃのままで。
しょうがない、ずさんな男の子設定ってことで……。
ネットに入れた苺パンツと、他洗濯物と皺くちゃリネンシャツを抱える。
皺くちゃエプロンを被って部屋を出た。
「ん、ソレか? 貸しな」
服が少ない私の為にすぐ洗ってくれるとのこと。
皺くちゃシャツはアイロンがないので、もう一度洗って、手でぱんぱんしてから干してくれるって。
「俺らのついでに一緒に洗濯機にいれるだけから、いいってことよ。それより焼き菓子、すげぇ楽しみにしてっから」
干すのが面倒くさいのに。
そもそも今日すぐ洗濯するのは、私のためだって知ってるし。
マジで良い男だよ……。
「エタンママありがとう」
「誰がだよ。やめろアホ」
白い歯きらり笑顔で私の頭をふわっと撫でて、洗濯ルームへと向かって行った。
「言われた材料用意しといたよ」
とキッチンのほうからクレールの声。
湖に行く前にコーヒーの実験をするので、お茶菓子があったほうがいいかなと。
はかりがないから計量カップで、あっという間にできる簡単なやつ作りまーす。
やっぱり昨日の粉は薄力粉で合ってたみたい。パンを焼く用、つまり強力粉は家にないって。
「ベーキングパウダーなんてよく持ってたね~?」
「僕がホットケーキが好きだから……。休みの日の朝昼兼用で、エタンとなんかの勝負で負けたほうが作ったり。
そうそう、昨日のゼラチンは、エタンがたまにコーヒーゼリー作るから」
「へ~そうなんだ! いつか私にもご馳走してね」
「いいけど、いやいやいや。コニー作のほうが100
倍美味しいに決まってるから! コニーの作ったやつこそ食べてみたいよ。
でものんびりしてたいなぁって時は、そんなんでも良ければ、僕がいつだって作るからね」
いっやあ~。ほんっとサラッと優しいよね~。
世の中ゴリっとヤラシイ奴は掃いて捨てるほどいるけど。
クレールならバニラビーンズ無しでも芳しいお菓子ができそうだよ、なーんてね。
そんなミラクル起きたら、バカ高いバニラビーンズに菓子屋は苦労してないわ。
「ホットケーキの配合覚えてないから、上手くできるか自信ないけど……。今度一緒に作ろうね!」
今日は簡単なマフィン。
卵は1分だけ攪拌だからホイパー使って手やっても全然いいんだけど、こっちのハンドミキサーを使ってみたいから出してもらった。
あれ? これ……。
「ねえ、起動って入りと切りしか無いの?」
「うん。そうだよ。コニーが思ってるのと違うの?」
お互いにいそいそ書くものを用意する。
私はカチッとスイッチを入れる。低く静かにヴィーンとモーター音がした。
「うん、高速はこれでいいと思う。その下に中速、低速があると望ましいなぁ」
「泡立てるんだから、力強く最短でやったほうがいいんじゃないの?」
「低速で、固形物を潰したりゆっくり攪拌って作業があるんだよ。そんで中速は主に、卵白のほぐしかな。いきなり高速で泡立てると、ボカ立ちって言って、気泡量だけ多くて潰れやすい泡になっちゃうんだ」
まあこれ以上の説明はマニアック過ぎるので省略。
そんで羽の形状はもっと太いタイプで先が尖ってない形状。
ついでにサイドの立ち上がりが90度で、丸みを帯びた鍋みたいな形の泡立てボールがあるといい、とイラストで説明した。
昨日のココット型は耐熱性だそうで、ここに紙を敷く。
紙に型を載せ、鉛筆でくるっと。
もう1枚紙を重ねて、縦長に2つ折りに折って、さらにそれをジャバラに折る。
ハサミで切り抜くと、一度に底用の丸い紙が12枚完成。
サイド用の短冊は高さは、マフィンははみ出してるのが可愛いから4センチぐらいでいっかな~、ジャバラ折して長さも合わせて切って。
ココット型に手でバターを塗りつけ、紙をくるっと巻いて丸底紙を敷く。
クレールに残り全部やってもらうことにした。
「ハケ欲しいよね~」
「手でやらないで本当はそうするんだね?」
2人して、人差し指と中指をベタベタさせて笑い合う。
常温果物籠で見つけた瀕死のバナナを角切りに。
昨日のうちに白ワインをかけてふやかして置いた、レーズン入りガラス蓋器を出す。
胡桃を刻んで別にスタンバイ。
「2種類作ろうと思ってるんだ」
あらかじめ材料は測って用意する。
今度も計量カップが頼りだ。
生クリームが余るとプライベートおやつとして、さっとたまに作ったりするから配合を覚えてたんだよね。
卵2個、砂糖は大さじを使って計量。
小麦粉も計量カップで計って、小さじ2のベーキングパウダーと合わせて。
今日は大きな紙を出してもらって、その上でざざっとふるった。
生クリームは1カップ。
オーブンを200度にしてつける。
「焼きたい温度の20度上に予熱は設定するんだよ。オーブンはねえ、機種によって同じ温度設定でもなんか違ってくるもんなの。
本に180度で20分って書いてあっても、実際に自分のオーブンで焼いてみたら、黒焦げだったり、生焼けだったり。
そん時は時間に合わせるんだよー。黒焦げだったら20分で焼けるように温度を下げて探るってこと。
その本のものを何回か焼いやら『ああ、この人の本だと全部マイナス10度だな』とか、分かってくるから」
ちなみに私の工場のガスオーブンは大抵10度はマイナスするのが多かったな。
平釜はちょっと別もん。
いつかこっちの業務用厨房見てみたいな。
男装ならブラはしない方がいいかなって思っての、私からのリクエストです。
部屋で、新たに借りたもの以外は自前の服に着替える。チノパンは皺くちゃのままで。
しょうがない、ずさんな男の子設定ってことで……。
ネットに入れた苺パンツと、他洗濯物と皺くちゃリネンシャツを抱える。
皺くちゃエプロンを被って部屋を出た。
「ん、ソレか? 貸しな」
服が少ない私の為にすぐ洗ってくれるとのこと。
皺くちゃシャツはアイロンがないので、もう一度洗って、手でぱんぱんしてから干してくれるって。
「俺らのついでに一緒に洗濯機にいれるだけから、いいってことよ。それより焼き菓子、すげぇ楽しみにしてっから」
干すのが面倒くさいのに。
そもそも今日すぐ洗濯するのは、私のためだって知ってるし。
マジで良い男だよ……。
「エタンママありがとう」
「誰がだよ。やめろアホ」
白い歯きらり笑顔で私の頭をふわっと撫でて、洗濯ルームへと向かって行った。
「言われた材料用意しといたよ」
とキッチンのほうからクレールの声。
湖に行く前にコーヒーの実験をするので、お茶菓子があったほうがいいかなと。
はかりがないから計量カップで、あっという間にできる簡単なやつ作りまーす。
やっぱり昨日の粉は薄力粉で合ってたみたい。パンを焼く用、つまり強力粉は家にないって。
「ベーキングパウダーなんてよく持ってたね~?」
「僕がホットケーキが好きだから……。休みの日の朝昼兼用で、エタンとなんかの勝負で負けたほうが作ったり。
そうそう、昨日のゼラチンは、エタンがたまにコーヒーゼリー作るから」
「へ~そうなんだ! いつか私にもご馳走してね」
「いいけど、いやいやいや。コニー作のほうが100
倍美味しいに決まってるから! コニーの作ったやつこそ食べてみたいよ。
でものんびりしてたいなぁって時は、そんなんでも良ければ、僕がいつだって作るからね」
いっやあ~。ほんっとサラッと優しいよね~。
世の中ゴリっとヤラシイ奴は掃いて捨てるほどいるけど。
クレールならバニラビーンズ無しでも芳しいお菓子ができそうだよ、なーんてね。
そんなミラクル起きたら、バカ高いバニラビーンズに菓子屋は苦労してないわ。
「ホットケーキの配合覚えてないから、上手くできるか自信ないけど……。今度一緒に作ろうね!」
今日は簡単なマフィン。
卵は1分だけ攪拌だからホイパー使って手やっても全然いいんだけど、こっちのハンドミキサーを使ってみたいから出してもらった。
あれ? これ……。
「ねえ、起動って入りと切りしか無いの?」
「うん。そうだよ。コニーが思ってるのと違うの?」
お互いにいそいそ書くものを用意する。
私はカチッとスイッチを入れる。低く静かにヴィーンとモーター音がした。
「うん、高速はこれでいいと思う。その下に中速、低速があると望ましいなぁ」
「泡立てるんだから、力強く最短でやったほうがいいんじゃないの?」
「低速で、固形物を潰したりゆっくり攪拌って作業があるんだよ。そんで中速は主に、卵白のほぐしかな。いきなり高速で泡立てると、ボカ立ちって言って、気泡量だけ多くて潰れやすい泡になっちゃうんだ」
まあこれ以上の説明はマニアック過ぎるので省略。
そんで羽の形状はもっと太いタイプで先が尖ってない形状。
ついでにサイドの立ち上がりが90度で、丸みを帯びた鍋みたいな形の泡立てボールがあるといい、とイラストで説明した。
昨日のココット型は耐熱性だそうで、ここに紙を敷く。
紙に型を載せ、鉛筆でくるっと。
もう1枚紙を重ねて、縦長に2つ折りに折って、さらにそれをジャバラに折る。
ハサミで切り抜くと、一度に底用の丸い紙が12枚完成。
サイド用の短冊は高さは、マフィンははみ出してるのが可愛いから4センチぐらいでいっかな~、ジャバラ折して長さも合わせて切って。
ココット型に手でバターを塗りつけ、紙をくるっと巻いて丸底紙を敷く。
クレールに残り全部やってもらうことにした。
「ハケ欲しいよね~」
「手でやらないで本当はそうするんだね?」
2人して、人差し指と中指をベタベタさせて笑い合う。
常温果物籠で見つけた瀕死のバナナを角切りに。
昨日のうちに白ワインをかけてふやかして置いた、レーズン入りガラス蓋器を出す。
胡桃を刻んで別にスタンバイ。
「2種類作ろうと思ってるんだ」
あらかじめ材料は測って用意する。
今度も計量カップが頼りだ。
生クリームが余るとプライベートおやつとして、さっとたまに作ったりするから配合を覚えてたんだよね。
卵2個、砂糖は大さじを使って計量。
小麦粉も計量カップで計って、小さじ2のベーキングパウダーと合わせて。
今日は大きな紙を出してもらって、その上でざざっとふるった。
生クリームは1カップ。
オーブンを200度にしてつける。
「焼きたい温度の20度上に予熱は設定するんだよ。オーブンはねえ、機種によって同じ温度設定でもなんか違ってくるもんなの。
本に180度で20分って書いてあっても、実際に自分のオーブンで焼いてみたら、黒焦げだったり、生焼けだったり。
そん時は時間に合わせるんだよー。黒焦げだったら20分で焼けるように温度を下げて探るってこと。
その本のものを何回か焼いやら『ああ、この人の本だと全部マイナス10度だな』とか、分かってくるから」
ちなみに私の工場のガスオーブンは大抵10度はマイナスするのが多かったな。
平釜はちょっと別もん。
いつかこっちの業務用厨房見てみたいな。
応援ありがとうございます!
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