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せ~ぶで~た04:剣士の女の子が人狼に輪姦された果てにメス犬にされて助からない話

01.正義のために、平和のために!

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 冒険者が任務を達成――つまりクエストクリアすると、依頼主だけではなく、仲介をした冒険者ギルドにも報告しなくてはいけません。これにより、冒険者ギルドは任務が終了したことだけではなく、冒険者の無事を確認し、また冒険者の功績を把握していきます。
 そして功績の具合により、時に冒険者の階級を上げるのでした。ランクアップですね。

 ――その青いマントを身につけた女剣士は、颯爽とギルド内を進み、クエスト管理所のカウンターに報告書数枚を差し出しました。

 金色の長い髪に、鋭い瞳。美しく見えますがどこか冷ややか。また美しい所作も、それ故に鋭く思えます。
 彼女は、剣士のベレンと言いました。中級冒険者です。
 そして彼女が今し方提出したのは、クエスト終了の報告書。受付の少女が目を丸くします。

「すごいですねベレンさん! 今日一日でこんなに……このままいけば、きっとすぐに上級冒険者と認められますよ!」
「そうなったのなら、私はさらに凶悪な相手と戦えるのだな……」

 ベレンが欲しいのは、冒険者としての地位や報酬ではありませんでした。鋭い黄緑色の瞳が、ちらりとクエストボードへ向けられます。そこにあるのは、魔物達による数々の悪行。中には、上級冒険者でないと受けられないものもあります。

「悪しき魔物達に、この剣を振るうことができる……あともう少しだ、こんな歯がゆい思いをしなくていいようになるのは」

 ベレンが欲しいのは、人々の平和な暮らし、安寧でした。
 彼女は誰よりも正義感の強い女の子でした。その身なりから、気付く人もいるかもしれません、彼女がとてもいい剣や装備を持っていることに……どれも高価なもので、何故彼女がそんなものを持っているのかというと、実はベレン、貴族の生まれだからです。だから一級品の装備を買えるのです。
 しかし一級品の装備をそろえたところで、身につけ戦わなくては、平和は訪れません。そして功績を上げなければ、更なるクエストに挑めないのです。

 貴族なのに、こんな泥臭い冒険者なんて……という者もたまにいますが、ベレンが一睨みすれば、大抵黙ります。そしてベレンは、冒険者というのは、平和のために魔物と戦い、人を助ける、誇らしい仕事だと思っていました。

 クエストボードには、いつもクエストがたくさん。誰かの「助けて」です。この声を、正義感の強いベレンが無視することはできませんでした。
 ……とはいえ、窓の外を見れば夕方。今日はもう、終わりにするべきです。明日に備えることも、大事なことです。

 そう考え、冒険者ギルドを出て少し歩いたところで。

「ちょっとあんた! あんた……強いんだろう?」
「……私か?」

 不意に声をかけられベレンが振り返れば、一人の男がいました。短剣を腰に帯びた彼は冒険者のようですが……ひどく焦ったような顔をしていました。
 彼はベレンへ駆け寄るなり、

「お願いだ! 助けてくれ! 実はクエストを受けたものの……敵が強くて困ってるんだ!」

 ベレンは確かに正義感の強い女の子でした。
 しかし、優しいわけではありませんし、時に厳しくすることも必要だと知っていました。

「無理だと思ったのなら、ギルドに申し出ればいい。自分の実力を見誤ったのだろう」
「でも、仲間が、その魔物に大怪我をさせられて……!」

 男は引き下がりませんでした。

「それにいま、残りの仲間で何とかそいつを足止めしてるが……近くに村があるんだ! ここで下手の引いたのなら……!」
「どうしてそういうことを早く言わない!」

 さっとベレンは、街の外に続く門へ歩き始めます。
 もしかすると、村で平和に暮らしている人々が襲われるかもしれない――そう聞いたのなら、じっとしてはいられませんでした。

「ギルドには報告したか?」
「ああ、したよ! でも冒険者の増員には時間がかかるかもって言われて……だからとにかく、いますぐ一緒に来てくれそうな人を探してたんだ!」

 並んで歩きつつ、男が説明します。やがて彼は先へ走り出し、

「案内するよ、こっちだ! 少し離れているけど、馬ならすぐだ!」

 夕方は終わりかけ、月が昇り始めていました。暗くも月光が照らす夜道を、二人は進んでいきました。


 ★ ★ ☆ ★ ★


 恐ろしく残忍な魔物がいると説明された森は、月の光も射し込まない、暗い場所でした。馬から降りた男は先へ進み、ベレンも続きます。
 道中、ベレンは気付きます。森が妙に静かであることに。

「もうすぐだ、魔物を足止めしてる俺の仲間が待ってるはずだ――」

 やがて男冒険者の言葉通り、闇の中、数人の男の姿が見えてきました。
 ……魔物の姿は見えません。その気配すらもありません。

「……例の魔物は?」
「ああ、奴はこの先にいる……いま魔法で何とか抑えているが……これ以上はわからない」

 ベレンが尋ねれば、一人が返しますが、違和感があります――激戦を繰り広げていると思いましたが……皆、怪我の一つも負っていないのです。
 一つの予感が、ベレンの内で針のようにきらめきます。
 予感は的中しました。それは、男達が「魔物はこっちだ」と歩き始め、ベレンが続いた、すぐのことでした。

「その魔物っていうのは……」

 不意に、先頭を歩いていた男が立ち止まり、振り返ります。

「――俺達のことさぁ! 剣士の姉ちゃんよぉ!」

 そして男達は、一斉にベレンに襲いかかってきたのです!
 しかし予感はしていたベレンは、呆れの溜息を吐いて。

「――全く、くだらない」

 鞘に入ったままの剣を、振り回しました。
 中級冒険者といえども、毎日着実に功績を積み上げている彼女。貴族といえども、しっかり鍛えている剣士。人間の男達の数人くらい、簡単に倒せてしまいます。跳びかかりをよけて、鞘に入った剣で頭を殴ってやります。短剣を抜く者がいれば、それも剣で払い、横腹に蹴りを入れてやります。また男の胸ぐらを掴んだかと思えば投げ捨てます。

 舞うかのように、ばたばた男を倒していき――ついには、街にやって来たあの男冒険者だけが立っていました。

「ひえぇ……」

 が、彼はベレンのあまりもの強さに、戦う前から腰を抜かして座り込んでしまいました。

「ふん……冒険者を騙る賊か? いいぞ、突き出すべき場所に突き出してやる!」

 そうベレンが地面に転がりうめく男達に言いますが、一人が立ち上がり、再び襲いかかってきました。

 ――すうっ、と森の中が明るくなってきます。薄い雲に隠れていた月が空に現れました。暗い森の中、木々の緑の薄いこの場所に、柔らかな月光が差し込んできます。

「無駄だ!」

 両手を伸ばしてきた男に対し、ベレンは剣を構えて対抗します。そうして払おうとしましたが、男は剣を掴んで、ぐぐぐと抑え込んできて――。

 ――なんだ、この力は?

 先程とは、明らかに違う力加減です。ベレンはゆっくりと圧されていきます。
 と、月光に照らされた男の背中が弾け――黒色の毛皮が露わになりました。
 人間のものだった頭も、狼に似た獣のそれに変わり、大きな口、鋭い牙、ぴんと立った耳が露わになります。背後で揺れているのは尻尾です。

「――お前達、人間じゃないな!」

 彼らがただの賊だと思っていたベレンは、目を見開きます。どの男達も、月光に照らされた瞬間、二足歩行の獣の正体をあらわします……。

 彼らの正体は人狼……人間に化けていたものの、月の光に照らされて、正体をあらわしたのです!
 そして月の光で正体があらわれてしまうものの――月の光は、彼らに力を与えるものでした。

「くそっ!」

 このままでは押しつぶされる。そう判断したベレンは、素早く身を引きました。
 気付けば人狼が五体……人間だったのなら問題ありませんが、力もあり、素早い人狼を一度に五人相手取るのは、さすがにベレンでも難しいと考えます。
 悔しいですが、ここは戦わず逃げるべきでしょう。ところが。

「うぅ……剣士の姉ちゃん……」
「――お前は人間なのか!」

 それは、街にやってきたあの男冒険者でした――月光に照らされているものの、彼は人の姿のまま。人狼ではありません。
 彼は瞳に涙を浮かべていました。

「ごめん……俺、こいつらに仲間を人質にとられてて……」
「――卑怯な奴らめ!」

 そこに一体の人狼がベレンへ襲いかかります。なんとかベレンは剣を振るって払いますが、やはり下手をすると体勢を崩しかねない力です……。

「早く立て! 一度退くぞ!」

 ベレンは彼へ駆け寄り、人狼達と対峙します。人狼達はぐるると唸っています。ベレンは鋭く見据えつつ、男冒険者へ指示を出します。

「『帰還水晶』は持っているな? 足でこいつらから逃げ切るのは難しい、それで一度もど――」

 そこまで言ったところでした。
 不意に、後頭部を殴られたのは。
 鈍い痛みに襲われて、ベレンは剣を手放し、前へ倒れていきます。その中でも振り返れば、あの男冒険者が、短剣の柄の部分を構えて、にやにやと笑っていました――あれで殴られたのです。

 ベレンがどさりと倒れると、彼は縄を懐から取り出し、ベレンの手を背で縛ります。そして素早く荷物を漁れば、そこにあったベレンの『帰還水晶』を取り出し、宙に投げたかと思えば短剣を振るって切り裂き砕いてしまいました。

「お前……人間なのに、奴らの仲間だったのか!」

 男は月光に照らされているものの、確かに人間の姿をしていました。しかしその姿が膨れ上がり――。

「剣士の姉ちゃん、どうして俺達人狼が月の光に当たると正体をさらしちまうか、知ってるかい? それはね、月の光は俺達に力を与えてくれるけれども、そのせいで力が抑えきれなくなって、人間のふりができなくなるからさ……でも、何かしらの道具で力を制御できれば、月の光に当たっても、人間の姿のままでいられるってわけよ」

 男冒険者は、一体の人狼の姿に変わりました。その人狼の腕には金色のアームレットがあり――魔王の紋章が描かれていました。
 魔王の紋章。それは、魔王が魔物に力を与えた証拠。または魔物に特殊なアイテムを授けた証。

「どれもこれも、演技だったというわけか……!」

 両手を背で縛られ、地面に転がされたベレンはぎり、と歯ぎしりをします。そんな彼女へ、人狼達はゆっくりと迫るのでした……。
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