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make a break 2
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「うーん......ッ!!?痛ったあ!!!」
突然頭に走った衝撃で目覚めた楽斗は何が起こったんだと辺りをキョロキョロ━━━するまでもなく現状を理解する。
理由は一つ。視界に天井が映っているからだ。このことから衝撃はベッドから落ちたのだろうと推測できる。
(なるほどなるほど)
楽斗は痛みと眠気で涙目になりながら頭を起こし、喋る気力もないのか心の中でそう言って、再度寝ようと目蓋を閉じた━━
「あれ?ベッド!?俺は布団主義者のハズなのに!?」
今度は口に出して勢いよく起き上がる。そして、バッチリ開けた視界を使い、結局辺りをキョロキョロと見渡した。
「うん。おかしい」
いつもとは明らかに違う光景に楽斗はそうハッキリと呟く。
やがて、視線は自分が寝ている場所へ行き、そして思い出した。
「そーいや、俺殴られたんだったな。それで意識を失ったのか......。あれ?玄関でやられたはずだったんだけど......運んでくれたのか。てか、玄関からソファーまで運ぶくらいだったら部屋まで運んでくれよ」
愚痴を溢しつつ、楽斗は携帯を開けようとポケットに手を入れ、気づいた。
(あれぇ?!!?携帯がないっ!!嘘だろ!どこかに落としたのか!?)
ダラダラダラ。額から汗が流れる。
(ヤバいまずいヤバいだろこれは!!!いや、まて俺ッ!まずは冷静になって昨日の事を思い出すんだ!)
数分後、楽斗は真剣な顔でどこか宙を見つめていた。
(確かに俺はズボンのポケットに入れていたはずだ。それは間違いない。家の前でも確認したからな。なのに、なぜ無い!って、あれ?ポケットってこんなにモフモフしてたっけ......何か嫌な予感がするなー)
と、そんな感じで固まっていた楽斗だったが、決心したのか、漫画とかだったら、ぎぎぎ、と効果音が書かれそうな程ぎこちない動きで自分の服を見て、絶叫した。
「あの馬鹿!俺が意識失っている時に、しかも自分の服を!!!ふざけんじゃねえええ!!!!」
それは男としてのプライドを汚されたからか、またはや羞恥心からか顔を真っ赤にしながら叫ぶ楽斗は、対象年齢が明らかに高校生のものでない、プリティーな熊の着ぐるみっぽいパジャマを着用していた。
どういうことだ!
すぐさま犯人で間違いない流音に抗議しようと流音の部屋に向かい、そのドアを開く。
「おい!姉さ......あれ?......まだ六時だぞ」
しかし、そこには居るはずの姉の姿はなく、楽斗の言葉は行き先を失ったまま空中で分解されていった。
「......、」
少しの間、楽斗は誰もいない姉の部屋で無言で突っ立っていたが、ようやく現状が理解できて冷静になったのか、部屋に散乱してる脱ぎ捨てられた衣類を確認すると慌てて目を反らした。
「ったく、なんで学校では出来てるのに家ではこんなにだらしないんだ」
学校と家との違いを鮮明に思い浮かべ、目を反らしながらも、意外と綺麗好きな楽斗はだらしがない姉が散らかした衣類を洗濯機に入れようと手を伸ばし
「うわー。この妙に生々しい温度が絶妙な嫌悪感に変わっていくよ...」
おそらく流音がこの服を脱いでからあまり時間が経ってないのだろう。服越しに感じる生暖かさに、一般の男子高校生なら興奮するべきところを、楽斗は鳥肌を立てながら汚物を掴むようにして洗濯機のところまで運びポイと投げ入れた。
そして、再度姉の部屋に踏み入れた楽斗は、もう洗うものはないかパッと部屋を見渡し開いた口が塞がらなくなった。
「おい......流石に俺でもこれは触れるのは無理だぞ............てか直視はもちろんチラ見すらしたくねぇ......」
楽斗は目を反らす━━━どころか、クルリと「右に回れ」をして部屋に背を向ける形になって頭を抱えた。
布団の上に無造作に落ちていたのは姉のサイズでは必要ないと思われるブラジャーだった。
上の服であれだけ嫌悪感がしたのに、下着類を手に持つなんて考えられない。ましてや、あれは上の服同様に生暖かさを感じる温度になっているという可能性がある。触るなんて不可能だ。
楽斗は考える。
どうやって視界に入れず手に触れず回収しよう、と。
いや、別に楽斗が回収しなくてはいけないわけではない。洗濯機を回すという行為はあくまで自発的に行った行為であり強制ではないからだ。
だがしかし、洗うもの全て洗っておきたいという謎の気持ちが涌き狂って止まらない。
......この時、楽斗には洗濯機を回さず二度寝するという選択肢は思い浮かばなかった。
やがて、楽斗は名案とばかりにポンと手を打ち、呟いた。
「......トングを使うか。確か台所に合ったはずだ」
もちろん、舌(tongue)という意味ではない。料理器具に使うトングだ。
てか、舌とか考えた奴は頭がおかしいと思う。精神科へ行け精神科へ。
━━━正直、料理器具でそんなものを触るのは嫌だが、手で直接触れるよりはマシだと切り捨てる。
そして、すかさず台所に移動して右手にトングを装備した楽斗は、フゥと一度深呼吸をしてトングでブラジャーを掴んだ━━━
━━━瞬間のことだった。
「んー?人がジョギングしてる間に部屋で何をやってたのかなぁ?」
「ね、姉さん!?いつの間に!?いや、これは違うんだ!これには深いわけが━━━」
(帰ってくるの早くね!?)
突如背後から聞こえた声に楽斗は肩を大きく揺らし、慌てて手に持っていたトングを背中に隠そうとする。
が、その不自然な行動が仇となったのか、流音の注目は楽斗の背後へと移動してしまい
「ちょっ!?何その手に持ってるの!?トング!?で、その先は......私のブラジャーじゃない!なんでそんなに汚そうに私の下着を!?」
「なんでって......何か汚そうだったかガハッ......」
「汚くないわよ!!!」
「......ま......て、変なところ入った.....。って、姉さ......ぎゃあああああ!!!!!」
感想。
結局二度寝する羽目になりました。
......強引な手段で。こんなんなら始めから素直に二度寝しとけばと後悔せざるを得なかったです。
突然頭に走った衝撃で目覚めた楽斗は何が起こったんだと辺りをキョロキョロ━━━するまでもなく現状を理解する。
理由は一つ。視界に天井が映っているからだ。このことから衝撃はベッドから落ちたのだろうと推測できる。
(なるほどなるほど)
楽斗は痛みと眠気で涙目になりながら頭を起こし、喋る気力もないのか心の中でそう言って、再度寝ようと目蓋を閉じた━━
「あれ?ベッド!?俺は布団主義者のハズなのに!?」
今度は口に出して勢いよく起き上がる。そして、バッチリ開けた視界を使い、結局辺りをキョロキョロと見渡した。
「うん。おかしい」
いつもとは明らかに違う光景に楽斗はそうハッキリと呟く。
やがて、視線は自分が寝ている場所へ行き、そして思い出した。
「そーいや、俺殴られたんだったな。それで意識を失ったのか......。あれ?玄関でやられたはずだったんだけど......運んでくれたのか。てか、玄関からソファーまで運ぶくらいだったら部屋まで運んでくれよ」
愚痴を溢しつつ、楽斗は携帯を開けようとポケットに手を入れ、気づいた。
(あれぇ?!!?携帯がないっ!!嘘だろ!どこかに落としたのか!?)
ダラダラダラ。額から汗が流れる。
(ヤバいまずいヤバいだろこれは!!!いや、まて俺ッ!まずは冷静になって昨日の事を思い出すんだ!)
数分後、楽斗は真剣な顔でどこか宙を見つめていた。
(確かに俺はズボンのポケットに入れていたはずだ。それは間違いない。家の前でも確認したからな。なのに、なぜ無い!って、あれ?ポケットってこんなにモフモフしてたっけ......何か嫌な予感がするなー)
と、そんな感じで固まっていた楽斗だったが、決心したのか、漫画とかだったら、ぎぎぎ、と効果音が書かれそうな程ぎこちない動きで自分の服を見て、絶叫した。
「あの馬鹿!俺が意識失っている時に、しかも自分の服を!!!ふざけんじゃねえええ!!!!」
それは男としてのプライドを汚されたからか、またはや羞恥心からか顔を真っ赤にしながら叫ぶ楽斗は、対象年齢が明らかに高校生のものでない、プリティーな熊の着ぐるみっぽいパジャマを着用していた。
どういうことだ!
すぐさま犯人で間違いない流音に抗議しようと流音の部屋に向かい、そのドアを開く。
「おい!姉さ......あれ?......まだ六時だぞ」
しかし、そこには居るはずの姉の姿はなく、楽斗の言葉は行き先を失ったまま空中で分解されていった。
「......、」
少しの間、楽斗は誰もいない姉の部屋で無言で突っ立っていたが、ようやく現状が理解できて冷静になったのか、部屋に散乱してる脱ぎ捨てられた衣類を確認すると慌てて目を反らした。
「ったく、なんで学校では出来てるのに家ではこんなにだらしないんだ」
学校と家との違いを鮮明に思い浮かべ、目を反らしながらも、意外と綺麗好きな楽斗はだらしがない姉が散らかした衣類を洗濯機に入れようと手を伸ばし
「うわー。この妙に生々しい温度が絶妙な嫌悪感に変わっていくよ...」
おそらく流音がこの服を脱いでからあまり時間が経ってないのだろう。服越しに感じる生暖かさに、一般の男子高校生なら興奮するべきところを、楽斗は鳥肌を立てながら汚物を掴むようにして洗濯機のところまで運びポイと投げ入れた。
そして、再度姉の部屋に踏み入れた楽斗は、もう洗うものはないかパッと部屋を見渡し開いた口が塞がらなくなった。
「おい......流石に俺でもこれは触れるのは無理だぞ............てか直視はもちろんチラ見すらしたくねぇ......」
楽斗は目を反らす━━━どころか、クルリと「右に回れ」をして部屋に背を向ける形になって頭を抱えた。
布団の上に無造作に落ちていたのは姉のサイズでは必要ないと思われるブラジャーだった。
上の服であれだけ嫌悪感がしたのに、下着類を手に持つなんて考えられない。ましてや、あれは上の服同様に生暖かさを感じる温度になっているという可能性がある。触るなんて不可能だ。
楽斗は考える。
どうやって視界に入れず手に触れず回収しよう、と。
いや、別に楽斗が回収しなくてはいけないわけではない。洗濯機を回すという行為はあくまで自発的に行った行為であり強制ではないからだ。
だがしかし、洗うもの全て洗っておきたいという謎の気持ちが涌き狂って止まらない。
......この時、楽斗には洗濯機を回さず二度寝するという選択肢は思い浮かばなかった。
やがて、楽斗は名案とばかりにポンと手を打ち、呟いた。
「......トングを使うか。確か台所に合ったはずだ」
もちろん、舌(tongue)という意味ではない。料理器具に使うトングだ。
てか、舌とか考えた奴は頭がおかしいと思う。精神科へ行け精神科へ。
━━━正直、料理器具でそんなものを触るのは嫌だが、手で直接触れるよりはマシだと切り捨てる。
そして、すかさず台所に移動して右手にトングを装備した楽斗は、フゥと一度深呼吸をしてトングでブラジャーを掴んだ━━━
━━━瞬間のことだった。
「んー?人がジョギングしてる間に部屋で何をやってたのかなぁ?」
「ね、姉さん!?いつの間に!?いや、これは違うんだ!これには深いわけが━━━」
(帰ってくるの早くね!?)
突如背後から聞こえた声に楽斗は肩を大きく揺らし、慌てて手に持っていたトングを背中に隠そうとする。
が、その不自然な行動が仇となったのか、流音の注目は楽斗の背後へと移動してしまい
「ちょっ!?何その手に持ってるの!?トング!?で、その先は......私のブラジャーじゃない!なんでそんなに汚そうに私の下着を!?」
「なんでって......何か汚そうだったかガハッ......」
「汚くないわよ!!!」
「......ま......て、変なところ入った.....。って、姉さ......ぎゃあああああ!!!!!」
感想。
結局二度寝する羽目になりました。
......強引な手段で。こんなんなら始めから素直に二度寝しとけばと後悔せざるを得なかったです。
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