勇者の恋人兼親友でしたがパーティーから追い出されてしまってなぜだか魔王を倒すこととなりました

小雪 秋桜

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第一章~千年後~

第一話

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俺は、あいつといつも一緒だった。
あいつが、悲しいときも…
あいつが、怒っているときも…
あいつが、嬉しいときも…

いつもあいつの隣には俺が居て、俺の隣にはあいつがいるのが当たり前だった。
だから、あいつの事が好きになった。
親友とは違う気持ちだと気づいたのは何時だっただろうか。

宿の部屋で、思いきって告白した。
気持ち悪がられたら冗談だというつもりだった。
「俺、お前の事好きみたいなんだよ…その、恋愛的な意味で………」
クルノは赤面していた、俺は嫌だったのかと思って慌てて冗談だと言おうとした。
「俺もだよ……俺の方から告白するはずだったのに…」
むくれている姿が可愛くて笑ってしまった。
「何だよ…嘘じゃねぇからな。」
あいつはそう言って、もっとむくれていた。
「いや、ちげぇよ。可愛いなって思ってな。」
俺がそう言うと、ニヤリと物騒な笑みを浮かべてベッドに押し倒してきた。
「お、おい。クルノ様…何をヤッテイラッシャルンデスカ」
俺が赤面しながら言うと
「可愛いって言った罰だ。そっちが可愛いって言うことを教えてやらねぇとな…」
「ちょ、ちょっと待てって…俺がいれられるほうなのかよ。」
俺が焦ってそう言うと、綺麗な笑顔で頷いた。
それが、俺とクルノの初夜だった。

俺がいれられるほうだったのは、予想外だったが不思議と嫌ではなかった。
俺は幸せだったのだ。
あいつの傍に居られることが、とてつもないほどに…


遊びだった…………
そう言われて、悲しかった 悔しかった   惨めだった
クルノの姿が見えなくなって俺は泣いた、声を出さずに泣いた…
あんなに好きだったのに
あんなに大事だったのに
あんなに愛していたのに

とめどなく涙が溢れていた
苦しかった、息が出来なかった……………
死のう…そう思って立ち上がると空は明るくなっていた。
どれだけ泣いていたのかわからなかった……
結局クルノは戻ってこなかった
声が聞こえた、とてつもなく喉が痛くなっているのに気づき自分の声なんだと分かった。
声も枯れ果て、今度こそ本当に死のうと思った。
弱々しく歩いていくと、湖が見えた。
湖に入っていった。
寒さは感じなかった。
湖の場所は遠くまで見渡せ、山にかかった雲が晴れた事が分かった。
クルノ達が魔王を倒した事が分かった。
湖に入って行くと、苦しみがなくなっていくような気がした。
そのまま、水に身を任せていると息が苦しくなってきた。
でも、死ねると思うと怖さはなく穏やかな気持ちになれた。
クルノが、最後に悲しそうな顔をしていたのは俺の見間違いだったのだろう。
「今まで、ありがとう………  さようなら」
声にならない、声を発して俺は意識を手放した。






なぜだか目が覚めた。
息が苦しいそう思って、水から出るようにして上へと泳いでいった。
「ゲホッ ゲホッ 苦しかった」
そう言って、顔をあげると目の前には同い年くらいの少年がいた。
薄い水色の髪に腰には剣が刺さっていた。
「ウワァ…ビックリした。」
少年はそう言うと、俺に手を差しのべてきた。
「おい。大丈夫なのか。俺はクノーって言うんだ。」
俺は手をつかむと引き上げてもらった。
「ありがとうな。俺は、ユキルって言うんだ。よろし……」
俺は、言葉に詰まってしまった。
自分自身が何であんな場所に居たのかが分かってしまったからだ。
「なんで、なんで……俺は生きてるんだ………………」
絶望に染まった思いで俺は顔を歪ませた。
「お、おい。大丈夫か…」
クノーは俺の事を心配してくれたようで伸ばしかけていた手を止めて俺の背中をさすってくれた。
「ご、ごめん。ありがとうな…じゃあ。」
俺はそう言うとまた湖に入っていった。
「お、おい。何やってんだよ…死ぬぞ。止まれって」
俺の手を強い力で引っ張った。
「イタッ。離してくれ。」
俺は捕まれた腕を振り払うように手を振ったが、振りほどけずにいた。
「死にたいんだよ……俺には生きる意味がない。」
俺がそう言うと、クノーは手を緩めてくれた。
諦めてくれたのだと思い、俺は湖に入っていった。
すると、また腕を捕まれた。
「だからな。死なせてくれよ。」
俺が、あきれたように言うとクノーは俺をまっすぐに見つめてきた。
「俺が生きる理由になるのはダメか。」
俺は驚いて、湖に入ろうとしている足を止めた。
「な…何を言っているんだ……」
「俺が、お前の生きる理由になるのは無理なのかよ。」
今度は、叫ぶような大きな声で言ってきた。
「冗談はやめろ…俺が死んでもお前に悪いことは何もないだろうが」
自分でも、思ったより低い冷たい声が出た。
クノーは、体を震わせたが腕を離しはしなかった。
「だから、離せって言って」
「うるさい。俺はお前に生きてほしい、そう思ったからこうやって止めてるんだよ。」
俺の目を見つめてクノーは言ってきた。
「いや…これは、俺の我儘だ。俺のために生きてくれ…」
クノーはそう言うと、俺の腕を引っ張り抱き締めた。
    
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