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しおりを挟む「佐藤さん、この写真……?」
「ああ。毎月お願いされているんだよ。」
「え!毎月?!」
私はバタバタと事務所に入り、先月の広報誌を引っ張り出した。先月は、美しい桜並木の写真が載せられていた。
「こっちも綺麗……。佐藤さん、先々月の物は?」
「うーん、どこにあるかなぁ?」
もう捨てたかも、と呟く言葉に、私は目を剥いた。私は慌てて、クリアポケット付きのファイルを取り出し、ラベルに『広報誌』と記入する。そして先月と今月の広報誌をクリアポケットに入れる。
「これからは保管してください!絶対!」
「元々の写真のデータはあるよ?」
「データと広報誌は違うんです。これは佐藤さんの作品なんだから、保管しておくべきです!」
ここまで言い切ってから、声が大きくなっていたことに気付く。しまった。保育園では、子どもたちの描いた絵や工作などの作品の写真が園だよりに載せるだけで、子どもたちも保護者の方も大喜びだった。私も、ついつい子どもたちの作品が載っている物は未だに捨てられないでいる。それを佐藤さんにも押し付けてしまった。謝ろうとした時、佐藤さんが先に口を開いた。
「梨奈ちゃん、ありがとう。」
「え?」
「自分が撮ったものを大事にして貰えるのは嬉しいからさ。」
佐藤さんと過ごしていると、私の奥底にずっと残っていた彼の言葉が褪せていく。そのことが私の胸の中をざわざわさせる。
「じゃあ、俺の作品の為に手伝ってくれる?」
悪戯っ子のように笑う佐藤さんの言葉に、私は目を瞬かせた。
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