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しおりを挟む「ほんと……申し訳ない……!!」
買い出しから戻った葉名から事の顛末を聞いた旺也は、彼女の予想通り顔を青くしガバリと頭を下げた。
「もう良いですよ。寝てる間に旺也さんへのお説教は済ませておきましたから」
「う……本当にごめん」
「言っておきますけど怒ってないですからね。心配してるんです」
「うん、分かってる」
「なら良いですけど」
珍しく少し不貞腐れたような顔を見せる葉名は溜息を吐いた後で言葉を続けた。
「調子はどうですか?」
「起き上がるのも辛くないし、かなり良くなってるよ。本当にありがとう」
「それなら良かったです。まだ熱は下がってないですし暫く安静にしていてくださいね。落ち着くまではこちらに泊まらせてください」
「ああ、助かるよ。ありがとう」
旺也がそうお礼を伝えても彼女の顔は険しいままだった。
「葉名さん……?」
「ずっと考えていたことがあるんですけど……」
「うん?」
「春から颯ちゃんが幼稚園に入園するじゃないですか。そしたら私ではお迎えにも行けないですよね」
「……ああ」
急に話題が変わったことに戸惑うが、つい最近した入園手続きのことを思い出す。書類には保護者が送迎するように書いてあった。緊急連絡先も保護者や近親者を記入することになっていた。
「今日だって、旺也さんが大きな病気では無かったから良かったけど、もし事故とか急な病気で入院や手術することになったら、私は付き添いできない立場で……それがすごく嫌で」
「うん」
「大事な時に何にもできないのが歯痒くて、寂しいんです」
話がどこに向かっているのか汲み取れず困惑するが、それ以上に目の前の彼女が今にも泣き出しそうでつい手を伸ばした。だが、彼女に触れることはできなかった。
「旺也さん」
「うん?」
「私、旺也さんと颯ちゃんの家族になりたいんです」
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