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一緒に迎えた朝④

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 昨夜同様ダイニングテーブルを挟んで座り、俺が用意した朝食をふたりでとりながら思う。
 ......こんなにも人を信じ過ぎる素直な性格の人が単身海外で暮らすのを、よくもまぁ身内が許したもんだなと。

 悪い人間に捕まっていたならばきっと、疑う暇もなくあれよと言う間に騙されて、闇の世界にご案内されてしまっていたに違いない。

 何事もなく無事帰国出来て、本当に良かったね?千尋さん。
 ......とは言えいま現在進行形で、悪い男に狙われているワケだけれど。

「ところで、千尋さん。
 これから、どうするつもりなの?」

 俺から動かなければ、恐らく俺達の関係は今日で途切れてしまう事だろう。
 出逢ったばかりなのに、何故か彼女と離れたくはなかった。

 千尋さんはまだ少し戸惑ったような様子だったけれど、ポツリポツリと語った。

「えっと......とりあえず、姉と会ってみようと思います。
 最悪彼女の家に、転がり込めばなんとかなると思うので」

 ふむ......なるほど。
 なら俺としては、何としてもそうならないよう阻止しないとだな。

「お姉さんって、一人暮らしなの?」

 さりげなく、情報の収集を試みる。
 すると彼女はぎゅっと眉間に深いシワを寄せ、答えた。

「いえ、結婚していますね。
 旦那さんとは、二回くらいしか会った事がないんですが。
 小六の子供も居るんですけど、その子、今年受験生らしいです」

 それを聞き、またしても勝手に上がろうとする俺の口角。
 だけどそんな顔をこの人に今は見せるワケにはいかないから、ドラマ出演で培った演技力を総動員し、同情するような素振りを見せて好感度を上げようと考えた。
 
 なのに......。

 大きな瞳に涙を溜め、うつむく姿を前にしたら、なんだか本気で可哀想になってしまった。
 だから演技などではなく、素直に思った事をそのまま言葉に変えた。
 
「そうなんだ。大変だね。
 ......千尋さんは、何も悪くないのに」
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