年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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トップシークレット③

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 ようやく落ち着いたらしきエレンが、笑い過ぎて溢れ出た涙を指先で拭った。

「あぁ、可笑しい!
 ごめんごめん、あまりにも予想外だったからさぁ。
 奏ってさ、これまでどっちかって言うと、恋愛方面はドライだったじゃん?」

 確かに、コイツの言う通りかも。
 これまで人並みに経験はしてきたものの、ここまで相手に振り回されたり、見返りなんか無くても喜ぶ顔が見たいと思ったりする事は無かった気がする。
 なのに今の俺は、付き合ってもいない千尋さんの笑顔見たさに勝手に奔走し、無垢で警戒心なんか欠片も持たない彼女に翻弄されまくっている。

「......悪いかよ?」

 なんとなく気恥ずかしかったから、顔をそらして答えた。
 するとエレンはククッと肩を揺らして笑い、俺の頭をワシワシと撫でた。

「ううん、悪くない。
 お前にもそういう感情があったんだなって思うと、お兄ちゃんは嬉しいぞ!」

 素の自分を殺した徹底した俺のアイドルっぷりを、この男が密かに心配しているのに気付いてはいた。
 
『奏、まじで無理してない?
 オフの時とか、俺らと一緒にいる時くらいはさ、素に戻っていいんだぞ?』

 時折エレンは困り顔で、そんな風に俺に言う。
 でも俺はそれが悪い事だとは、考えていなかった。
 なんでコイツが俺のメンタル面を案じているのか、本気で不思議だったくらいだ。

 だけど今なら、分かる。
 千尋さんと一緒に過ごす時間に癒され、これまでどれだけ人気が出ようと得られなかった充実感を味わっているから。

 満たされていたようで以前の俺は、渇き切っていたんだと思う。
 ......きっとコイツが言いたかったのは、そういう事なんだろう。
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