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衝動③
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既にリリース済みの曲だったこともあり、ここは仁が一人で歌う箇所だなんて、皆知っている。
ざわつく、会場内。
嫉妬に駆られ、俺が衝動的に喧嘩を売るような真似をしたせいで、最後の最後でライブをめちゃくちゃにしてしまったかもしれないと思うとゾッとした。
俺が今一番大切にすべきなのは、ライブを見に来てくれた皆に楽しんで貰う事だったはずなのに。
......本当に俺、最低だ。
危うく落ち込み掛けたけれど、今はまだその時じゃない。
せめてこの曲が終わるまでは、俺はJOKERの奏であり続けなければ。
激しく動揺しながらも笑顔を浮かべ、客席に向かってのファンサービス。
しかし今さらこんな半端なところでダンスに戻る事も出来ず、圧倒的な力量の差を見せつけられながらも、歌い続けるしかなかった。
だけど鈴が気転を利かせ、その歌の輪に加わってくれた。
それにエレンと桜輔も続いてくれたおかげで、今日はこういう演出なのだと信じたファンの子達は、黄色い歓声をあげた。
鈴のフォローをするとか偉そうに言っていた癖に、逆にされるとか。
......本当に俺、格好悪い。
客席の千尋さんの様子が気にならないと言えば、嘘になる。
でもこんなにみっともないところを見せてしまったのが、やっぱり情けなくて。
......その後俺は彼女の方を、見る事が出来なかった。
そして俺はライブ後、エレンに言われるまで完全に失念してしまっていた。
理不尽に嫉妬して、仁に無謀な喧嘩をふっかけている場合じゃ無かったのだ。
「え......なんであんな真似をしたのかと思ったら、千尋さんがライブに来てたの!?
なんだよ!俺ずっと、心配してたのに。
お前ちゃんと自分がJOKERの皆川 奏だって、彼女に伝えられたんだな」
ホッとした様子で嬉しそうに笑うエレンの顔を見つめ、考える事数秒。
ヤバい。まだ、言えてねぇ!!
ざわつく、会場内。
嫉妬に駆られ、俺が衝動的に喧嘩を売るような真似をしたせいで、最後の最後でライブをめちゃくちゃにしてしまったかもしれないと思うとゾッとした。
俺が今一番大切にすべきなのは、ライブを見に来てくれた皆に楽しんで貰う事だったはずなのに。
......本当に俺、最低だ。
危うく落ち込み掛けたけれど、今はまだその時じゃない。
せめてこの曲が終わるまでは、俺はJOKERの奏であり続けなければ。
激しく動揺しながらも笑顔を浮かべ、客席に向かってのファンサービス。
しかし今さらこんな半端なところでダンスに戻る事も出来ず、圧倒的な力量の差を見せつけられながらも、歌い続けるしかなかった。
だけど鈴が気転を利かせ、その歌の輪に加わってくれた。
それにエレンと桜輔も続いてくれたおかげで、今日はこういう演出なのだと信じたファンの子達は、黄色い歓声をあげた。
鈴のフォローをするとか偉そうに言っていた癖に、逆にされるとか。
......本当に俺、格好悪い。
客席の千尋さんの様子が気にならないと言えば、嘘になる。
でもこんなにみっともないところを見せてしまったのが、やっぱり情けなくて。
......その後俺は彼女の方を、見る事が出来なかった。
そして俺はライブ後、エレンに言われるまで完全に失念してしまっていた。
理不尽に嫉妬して、仁に無謀な喧嘩をふっかけている場合じゃ無かったのだ。
「え......なんであんな真似をしたのかと思ったら、千尋さんがライブに来てたの!?
なんだよ!俺ずっと、心配してたのに。
お前ちゃんと自分がJOKERの皆川 奏だって、彼女に伝えられたんだな」
ホッとした様子で嬉しそうに笑うエレンの顔を見つめ、考える事数秒。
ヤバい。まだ、言えてねぇ!!
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