暴食の冒険者〜あ、もう少し魔力濃いめで〜

赤井水

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孤児から冒険者へ

18話俺が吸収系スキルを持った理由

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 草木も眠る丑三つ時に、俺は叩き起こされた。
サラと見た事ある光ったお姉様。

「これはこれは光の精霊王様お久しぶりですね。んでこれは?」

『昨日、ヴィンが吸収系スキル発現するのが分かってたって伝えたでしょ?』

「あ、あぁ忘れてた」

ぷりぷり怒り始めるサラ。
微笑みそれを見てる光の精霊王様。

『私が説明致しましょう。ヴィン貴方が生きていた世界では魔力がありませんでしたよね?』

俺は頷く、目に見えない霊力だったり気の力。
呪いの力、呪術は都市伝説的にあったりもしたが魔力は無かったしそれを持つ生物も居なかった。

『貴方の世界に無い物がこの世界にはあり尚且つ、生きる為に絶対に必要な物それが魔力なのです。
しかし貴方の魂には魔力を吸ったり精製したりする力が機能していない事が分かりました。
当たり前ですよね、前世でしてない事をしろと言われても出来なかったのです』

「そういう事ですか……前世で言うと生きる為に息を吸えと言われなくても出来る事が俺にはこの世界で出来ていなかったのですね。脳の活動も魂が影響するんですね」

光の精霊王様は頷く

『私や創造神様も想定外だったのです。脳の行使能力が魂依存だったとは。だからこそ最初に貴方に着けたスキルが魔力吸収と言語理解と精霊眼だったのです。
精霊は貴方のサポートの為に常に魔力吸収が安定するまで魔力を運んでいたのには覚えがありますよね?』

確かに意識が覚醒した後はせっせと魔力を運んで来てくれた事をよく覚えている。

「ん?最初に着けたのは魔力吸収?暴食の王は何なんです?」

そこで光の精霊王様の表情が曇った。

『申し訳ございません。分からないのです。確かに私と創造神様はスキル付与の瞬間を見ていたのですが……付与した瞬間に進化……いやスキルが作り替えられたのです。
なのでその力は貴方にあった力なのか前世で貴方の運命に干渉した物の力なのか分からないのです。
その力は強力故に何が起こるか分かりませんサラ達の報告では肉体を補完する事も出来る事が分かっています。
昨日魔物の肉体を取り込み体を完治させましたね?』

「完治所か、多分強化?されてたかもしれないですね……魔力の通り道が魔物の方が強いと思いますね。
人間は数で守り切る事に特化したが故に体の機能が劣化してると思います。
それを強化、いや先祖返りしてるのかもしれないですね」

その言葉に光の精霊様は考え込み念話を再開したが次の言葉は衝撃的だった。

『ヴィン、先祖返りはいけません。人間種は確かに劣化して今はこうなっていますが。
先祖はヴァンパイアや魔人と呼ばれる種族の血が薄れ今の状態になっています』

「え?ならエルフとか他の種族は?」

『エルフは魔人種ととある属性の先代精霊王の子供が増えた種族です。たまに先祖返りでハイエルフが生まれますが。真祖のハイエルフは半魔人半精霊です。ドワーフも同じく別属性の精霊王の子孫です』

「へぇ、風と土の精霊王様も意外と人間じみてるだなぁ」

『へ?私属性まで言いましたっけ?』

ポカンとした顔をする光の精霊王様。
この人、微笑みか真顔しかしないから初めて見たこの表情はちょっと役得だな。

「いや、推測ですよ推測。俺の前世の物語ではエルフは風の精霊と相性が良くて、ドワーフは土や火と相性が良いって事はドワーフは土か火の精霊王の子孫と考察します。
でも火だと、穴蔵を好む理由が無くなるので土と判断したまでですよ
光の精霊王様もそんな表情なさるんですね?」

そう言うと、光の精霊王様はちょっぴり頬を紅潮させモジモジしてた。

『ヴィンは意地悪ですね』

「真顔や作った微笑みよりそう言う自然な顔を見たいのは当然ですよ。
スキルにある称号の精霊の友人なのに他人行儀で話されるて悲しいじゃないですか」

すると、光の精霊王様は俺に近付き抱き締め

『女の子にそんな事ばっかり言ってるとそのうち刺されますよ?』

とウインクされたけど、俺そんな事言ってたか?

今まで黙っていたサラが

『ヴィン?自覚無いみたいだけど結構してるわよ?』

「え?マジか……気を付ける」

『もう少し大きくなった時に私に同じ事が言えるならデート位はしてあげますよ。うふふ』

「え?それって実現出来るんですか?」

『精霊王や上位精霊には依代を使い現世に姿を表す事が出来るのです。だから大丈夫ですよ。しかししつこいナンパに会うので守れる位強くなってくださいね。後ララに嫉妬されない様にね』

そう言うと光の精霊様は俺のおでこにキスをして消えた。

『アンタ、精霊王様に気に入られるとはやるわね!』

「そんなに珍しいのか?」

『他の精霊王様達は人と交わって引退したりしたけど光の精霊王様は創造神様の側近だからこの世界が出現してからずっと精霊王様してるわよ』

「おぉ……嬉しいがここで精霊王様女神から奪っちまったら恨み言を綴られそうだな。
まぁ、スキルが着いた理由や強くなる理由がもう1つ出来たって事位かな?」

ジト目でサラに睨まれる。

「ん?どうした?」

『んーん何でもない。やっぱりアンタそのうち刺されるわね。その時は女の敵って事で教えないからね』

「いや、そこは教えろよ……」

そんな会話をした後、眠くなり寝るのであった。



ヴィンが寝息を立て始めた時にうるうると潤んだ緑色の瞳が開かれ

「精霊王様がライバルでもヴィンは渡さないもん」

全て聞いていたララの瞳とやる気が燃え盛る事をヴィンは知らなかった。

その様子を見ていたサラは当然ララが起きていた事も知っていたので
念話はララにも聞こえるようにチャンネルを開いていた。

『ほらね、ヴィンやっぱりそのうち刺される』

と呆れた様に呟き、サラの周りで他の精霊達もウンウンと頷くのであった。


「うんしょ、まずは私が側に居るって理解して貰わないと!」

ララは自分の布団をヴィンの布団にくっつかせそして自分の毛布もヴィンに掛けてヴィンの毛布に潜り込む。

「うへへへ。あったかーい。ヴィン君の事は精霊王様より知ってるもん!」

ヴィンの布団に潜り込むララはヴィンの癖を知っていた。
ヴィンはよく毛布を抱き締める様に寝てる。
そこに潜り込むとララを抱き締めながら眠るのだ。

これが好きで、ララはヴィンの布団によく潜り込んでいた。
今回もその隙を狙う為に起きて居たのだがそこに光の精霊王様とバッティングしてしまったのであった。

ララはヴィンの頬っぺにキスをして顔を真っ赤にしつつ
「上書きっ!浮気はダメよ好きっ!」

と言って寝てしまった。

『私達のご主人様はあんなに好き好きオーラを出しているのに気付かないあの鈍感男はダメダメねぇ』

そんな光景をよく見ている精霊達はヤレヤレと2人を眺めるのであった。

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